コンパクトシティの拠点づくり
内容紹介
市民の拠り所をつくる方法
我々、都市計画やまちづくりに関わる専門家は、人々が集まる拠点を計画したりデザインすることに一度は憧れるものである。単体の建築やオープンスペースではなく、それらが一体となった豊かな都市空間、周辺のまちとの緩やかな空間的連続性。そこでは人々が談笑したり子供たちが遊び回るといった様々なアクティビティが展開される。そのような魅力的な拠点をどのように計画・設計・管理していけばいいのかを説いたのが本書である。
我々には、都市計画マスタープランや立地適正化計画、公共施設再編計画の中で、拠点がどれほどのリアリティをもって計画されているのか?本当に魅力的な拠点形成はどうやったら可能なのか?という疑問があった。
一方、市民が主体的に拠点づくりに取り組む事例も増えつつある今、行政主体ではなく、様々な主体が拠点づくりに取り組む時代に突入している。そうした時代には事前確定的な行政計画も柔軟に変わっていく必要があるのではないか。
こうした疑問に対して地方都市で少しずつ作られている魅力的な拠点を紹介・分析しながら答え、個々の拠点づくりが持続可能な都市再生に繋がる方法を示したい。
野嶋慎二・松浦健治郎・樋口秀
体 裁 B5変判・188頁・定価 本体3600円+税
ISBN 978-4-7615-3265-9
発行日 2020/10/20
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史
はじめに
序章 都市・地域における拠点とは何か
▶野嶋 慎二
①拠点がまちをつくる
②西欧のコンパクトシティの地域拠点
③拠点の3類型と都市づくりにおける意義
④拠点づくりに向けた課題
⑤市民・民間の誘発による拠点化の方法
事例編 魅力的な拠点づくりで街・地域が変わる
1章 公共施設の再編により都市の中心拠点をつくる
拠点内連鎖型再開発
01 市民協働と連鎖型再開発事業による拠点形成
長岡市:アオーレ長岡▶森 民夫・樋口 秀
①市役所の中心市街地回帰と市民協働拠点形成
②アオーレ長岡を嚆矢とした中心拠点形成と課題
02 LRTとまちなか広場による拠点形成
富山市:富山ライトレールとグランドプラザ▶樋口 秀
①お団子と串によるコンパクトな都市構造の実現
②串:全国に先駆けたLRTによる公共交通整備
③お団子:まちなか広場と再開発事業の展開
④連鎖型再開発事業による都市拠点の形成
⑤まちなか・公共交通沿線居住の推進
03 市街地再開発事業を核とした公的施設の連鎖的整備
北九州市:リバーウォーク北九州▶内田 晃
①市街地再開発事業の概要
②公共施設等の再配置による拠点形成
③再開発事業の評価
④都心全体での連鎖的機能更新による拠点性向上
04 玉突き的跡地活用による公共施設の連鎖型建替
諫早市:中心市街地への民間誘導▶小野寺 一成
①諫早市中心市街地の目指した方向
②跡地活用の連鎖による公共施設の建替
③中心市街地づくりへの効果、民間への展開
拠点内公共施設群集約型
05 施設集約型拠点の整備とその効果
都城市:市立図書館と未来創造ステーション▶池田 宜永・内田 晃
①女性に焦点をあてた公共施設の集約
②階層的な拠点を位置づけ、持続可能な都市形成を目指す
06 軸線上に市役所と複合図書館を整備する
新発田市:イクネスしばた+ヨリネスしばた▶倉知 徹
①全世代が集まるイクネスしばた
②毎日市民が集う市役所・ヨリネスしばた
③二つの施設に挟まれたエリア
07 「融合」をキーワードに公共施設の複合化を図る
須賀川市:市民交流センターtette▶小椋 弘佳
①震災復興をきっかけとした拠点づくり
②建築計画 活動と活動を融合する
③プロジェクト推進体制 人と人を融合する
④融合することで生まれる多様な居場所
08 市民の「場所」を生み出す連鎖するまちなか編集
八戸市:はっち、マチニワそして…▶北原 啓司
①会所場づくりプロジェクト
②八戸ポータルミュージアム「はっち」の誕生
③ハコがなくても「空間」は「場所」になる
④拠点づくりの活動が「場所」をつなげていく
拠点内大規模未利用地充填型
09 シビックコア・城址公園・駅前広場の一体整備
甲府市:駅北口地区▶松浦 健治郎
①シビックコアを契機に始まった駅北口再整備
②歴史・文化と一体となった拠点開発
10 公民連携と逆算方式の挑戦的マネジメント
紫波町:オガールプロジェクト▶北原 啓司
①塩漬けにされた町有地
②黒船がやってきた
③魅力的な公共空間が稼ぎを創出する
④オガール紫波(株)の成立構造
⑤オガールでまちがつくられていく
2章 コミュニティの拠点を再編集する
11 住民自治の仕組みと生活の拠点
名張市:市民センター▶松浦 健治郎
①コミュニティ政策とコミュニティセンター
②地域づくりの拠点としての市民センター
③都市計画における市民センターの位置づけ
12 公民連携により生活拠点を整備する
野々市市:にぎわいの里ののいちカミーノ▶内田 奈芳美
①公民連携による生活拠点:ののいちカミーノ
②ののいちカミーノの運営ポイント
13 住民参加による公共施設再編とまちの拠点づくり
四国中央市:川之江ふれあい交流センター▶石村 壽浩・山田 快広
①川之江地区の新たなまちづくり計画
②地域交流拠点の整備
③まちの拠点づくりと施策の一貫性
14 地域の広場となる拠点づくり
鹿角市:道の駅おおゆ▶尹 莊植
①歴史ある温泉郷、大湯地区
②多目的運動施設構想から道の駅の整備へ
③地域の活動と文化を育む道の駅おおゆ
3章 中山間地域における小さな拠点を核としたまちづくり
15 中山間部の持続的な暮らしを支える仕組みと拠点形成
飯田市:千代地区▶浅野 純一郎
①中山間地域を支える行政体制と拠点形成
②飯田市の自治体制と地域自治組織
③千代地区にみる拠点構成とまちづくり活動
④中山間地域の持続可能性とは
16 中山間部の地域資源を活用した多世代交流の拠点づくり
由利本荘市:鳥海山木のおもちゃ美術館▶尹 莊植
①地域資源を活かす
②地域からの発意と継続的な連携
③木を媒介とする多世代交流の拠点の実現
17 個人が中山間部の拠点を担う
柏崎市:イーリーカフェ▶長 聡子
①個人で拠点をつくる
②拠点を運営する
③個人が担う拠点の役割
考え方編 拠点づくりのための方法
4章 新しい行政計画の枠組み
科学的な分析
18 様々なデータ分析を基に拠点を設定する▶小林 剛士
①計画策定を支援するデータ活用
②空間基盤データを活用した都市構造評価
③オープンデータの活用と拠点に関する検討
④オープンデータを活用したシビックテック
⑤Society5.0における拠点
19 集約型コンパクトシティに向けた公共施設の集約再編
夕張市を例に▶瀬戸口 剛・小原 史・上木 翔太
①公共施設の維持管理コストの試算
②夕張市地区別の将来人口
③夕張市の将来都市構造パターン
④公共施設を集約化する判断
⑤将来都市構造における公共施設維持管理費用の試算
⑥公共施設の集約再編による財政効果
⑦公共施設の集約再編手法
立地適正化計画のあり方
20 立地適正化計画に拠点を位置づける
多核ネットワーク型都市構造を実現する拠点の形成▶小野寺 一成
①都市構造を形成する核としての拠点へ
②地方都市再生の理念と拠点
③立地適正化計画における拠点配置と将来都市構造
④活動の場としての拠点から都市構造の核へ
⑤地方の都市づくりを実現する立地適正化計画
21 郊外型大型店と拠点
ドルトムントと石巻市を例に▶姥浦 道生
①商業「拠点」と都市計画
②ドイツの郊外型商業拠点の計画とその実現
③ドイツの計画の三つのポイント
④郊外型SCの積極的拠点化計画の可能性
22 誘導効果をふまえた立地適正化計画の使い方
金沢市における計画策定を通して▶木谷 弘司
①立地適正化計画の機械的適用への疑問
②金沢市集約都市形成計画の概要
③集約都市形成計画策定時の拠点形成に向けた議論
様々な行政計画・政策が連動した計画
23 都市計画マスタープランに拠点を位置づける▶石村 壽浩
①位置づけられた拠点の実態
②拠点を位置づけるにあたっての課題
③“地域”と“拠点”の関係性
④拠点づくりの実現に向けた課題
24 まちなか居住を実現する▶樋口 秀
①まちなか居住施策の目的
②まちなか居住の実現のために
25 旧町村の日常サービスとセーフティネットを保障する
東広島市を例に▶浅野 純一郎
①日常サービスとセーフティネットを保障する拠点とは何か
②拠点形成の手法と公共施設の再編
③東広島市の公共施設再編を契機とした拠点形成
④今後の課題 立地性とアセットマネジメント
26 広域都市圏で拠点を計画する
最上エコポリス構想を例に▶松浦 健治郎
①広域都市圏で拠点を計画する意味
②広域的な拠点計画の実際
5章 公民連携による拠点化の方法
市民・民間との連携
27 拠点像を市民と共有する
市民に使われる拠点に向けた段階的ワークショップ手法▶石村 壽浩
①市民は拠点に何を求めるか
②拠点像を共有する方法
③拠点像の共有の実践
④拠点像を共有する効果
28 拠点に求められている役割と活動のプログラム▶内田 奈芳美
①拠点を役割とプログラムから考える
②「拠点」の位置づけとプログラム
③これからの「拠点」に求められるもの
29 空き家・空き地を活用して官民で拠点をつくる▶石村 壽浩
①空き家・空き地の活用に向けた動き
②点から拠点への展開
③点から拠点へのプロセス
公が先導する拠点化の方法
30 大規模跡地活用による拠点形成
社会の変化に応じた複合化と多様化▶長 聡子
①地方都市中心部での大規模跡地の発生
②大規模跡地の活用タイプ
③大規模跡地活用で地域価値向上
31 公共施設の再編で拠点をつくる
シビックコア地区整備制度から学ぶ▶松浦 健治郎
①中心駅・中心市街地との位置関係
②シビックコア地区の計画規模
③シビックコア地区の計画内容
④中心市街地で公共施設再編を展開する
32 公共交通の促進と連動する拠点
路面電車と拠点の関係を例に▶内田 晃
①立地適正化計画における拠点と交通
②路面電車運行都市における拠点の位置づけ
③拠点間をつなぐ新たな交通ネットワーク
④公共交通によって強化される拠点の役割と展望
6章 拠点を設計する
33 拠点の空間像▶野嶋慎二・石原 周太郎
①成り立ちから見た拠点の空間特性
②拠点が目指す空間像
③空間像の実現に向けて
34 周辺とのつながりを創出するアーバンデザイン
金沢21世紀美術館を例に▶菅野 圭祐
①都市と連続した歩行空間のデザイン
②都市骨格と21美のつながりを強化する
35 公共空間のデザインが個々の建築を先導する
新潟市上古町と札幌駅前チ・カ・ホを例に▶倉知 徹
①都市空間の構成
②新潟市上古町での公共空間整備
③札幌市の地下歩行空間の整備
36 歴史性・自然と一体となった拠点のデザイン
英国コルチェスターと福井市中央公園を例に▶松浦 健治郎
①英国コルチェスターの場合
②日本の城下町都市の場合
37 地区将来計画を介した公民連携による拠点デザイン
福岡市天神地区将来計画を例に▶長 聡子
①エリアマネジメント組織による地区将来計画
②福岡市天神地区でのハード・ソフトの拠点デザイン
③公民連携を実現する民間と行政の信頼関係
7章 拠点を運営する
38 市民の居場所づくりを内包する拠点の運営
徳島小松島港・万代中央ふ頭を例に▶小川 宏樹
①居場所づくりに市民が参加する意義
②万代中央ふ頭での臨港地区再生まちづくり
③運営に参加できる拠点の意義
39 地域ベースの活動主体による拠点の運営
さいたま市アーバンデザインセンター大宮を例に▶内田 奈芳美
①拠点運営のパターン
②地域ベースの活動主体と拠点(UDCOを例として)
③拠点をまたがって地域で運営していくこと
40 地方中小都市でのまちづくり会社による拠点の運営
飯田市の中心市街地を例に▶浅野 純一郎
①飯田市の拠点はどこか
②中心市街地活性化事業とまちづくり会社
③認定中活計画とテナントミックス事業
④民間によるコンバージョン
⑤都市縮小時代におけるエリアマネジメント
終章 変化する時代に対応するプロセスプランニング
▶野嶋 慎二・松浦 健治郎・樋口 秀
①プロセスプランニングとは何か、なぜ必要か
②ダイナミックな変動と不透明な将来に対応する
③様々な主体(特に市民)の発意に対応する
④変化する時代に対応した目標像を実現する
編著者略歴・著者略歴
我々、都市計画やまちづくりに関わっている専門家は、人々が集まる拠点を計画したりデザインすることに一度は憧れるものである。単体の建築やオープンスペースではなく、それらが一体となった豊かな都市空間が拠点では提供され、周辺のまちとは緩やかな空間的連続性がある。拠点内では、人々が談笑したり子供たちが遊び回るといった様々なアクティビティが展開される。
そのような魅力的な拠点をどのように計画・設計・管理していけばいいのかを説いたのが本書である。我が国の地方都市のまちづくりについて研究や実践をしている同志が「拠点づくり」というテーマのもとに集まり、取りまとめたものである。
近年、各都市が策定している都市計画マスタープランでは、様々な拠点が位置づけられ、それらの拠点を現実化するための計画の一つとして立地適正化計画が策定されつつある。また、人口減少や公共施設の老朽化、行財政への負担軽減などの観点から公共施設再編計画が様々な自治体で取り組まれており、その中でも拠点が再編成されつつある。
しかしながら、我々の問題意識として、「これらの計画の中で、それぞれの拠点がどれほどのリアリティをもって計画されているのか?」や「現在の立地適正化計画や公共施設再編計画で本当に魅力的な拠点形成が可能なのか?」という疑問があった。行政計画の中での拠点と実際の拠点との間に乖離があることはしばしばみられるが、その乖離をどのように埋めていくべきなのだろうか。
人口減少・少子高齢化社会が進む以上、都市計画の戦略として、「個々の拠点を充実させて、それらを公共交通でネットワークさせる」という大きな方向性に間違いはないだろう。しかしながら、各拠点をどのように計画・設計・管理していけばよいかについての指針はほとんどみられないのが現状である。
そもそも、人々が集まって生活するようになって以来、都市の大小に関わらず、人々が集う拠点はいつの時代にも存在していた。しかしながら、車社会の進展や流通形態の変化等により、いくつかの拠点は拠点性を失い、新しい拠点が自然発生的に生まれるなど、ダイナミックに拠点のあり様が変化しつつある。
例えば、市民が主体的に拠点づくりに取り組む事例も増えつつあることから、行政主体ではなく、様々な主体が拠点づくりに取り組む時代に突入していると言えよう。そうした時代には事前確定的な行政計画も柔軟に変わっていく必要がある。
このような中で、地方都市では魅力的な拠点が少しずつ作られている状況にある。筆者の経験で言えば、ここ数年で、本書の事例編で取り上げたアオーレ長岡(1章01)、富山市の中心市街地(1章02)、都城市立図書館Mallmall(1章05)、福島県須賀川市市民交流センターtette(1章07)、青森県八戸市のはっち・マチニワ(1章08)、甲府市シビックコア(1章09)、石川県野々市市にぎわいの里ののいちカミーノ(2章12)、長野県飯田市千代地区(3章15)、最上エコポリス(4章26)、金沢21世紀美術館(6章34)、イギリスのコルチェスター(6章36)、飯田市中心市街地(7章40)などを訪れて、それぞれの拠点の都市空間としての素晴らしさや拠点に集う人々の活き活きとした表情に感銘を受けてきた。これらの拠点に学び、魅力的な拠点づくりのための方法論をまとめたものが本書である。
本書の目次を検討している際に、「「まち」と「街」のどちらの言葉を使うべきか?」という議論になったことがある。漢字の「街」はハードな空間としての都市空間が想定され、国土交通省がよく使う言葉、「町」は地方公共団体の一つとして想定され、総務省がよく使う言葉、平仮名の「まち」はその中間で様々な意味が内包された言葉だと言えるだろう。個人的には平仮名の「まち」を多用していることもあって、その議論の際にも「平仮名の「まち」でいいのでは?」と意見したのだが、結論としては、「都市空間としての「街」にもう一度、光をあてるべきであり、「街」でいきましょう」ということになった。
プレイスメイキングに代表されるように、近年では、ハードとしての都市空間ではなく、どのように空間を使いこなすかというソフトに重点が置かれつつある。空間としての「スペース」ではなく、居場所としての「プレイス」である。使い手がどのように空間に関わることができるかについては重要な論点ではあるものの、やはり前提としての都市空間が魅力的である必要があるのではないかという主張をあえてしてみたい。
最後に、本書の構成について俯瞰してみよう。
序章では、「都市・地域における拠点とは何か」について、イギリスなどの事例を参照しつつ解説する。イギリスでは、市街地内に3種類の階層の拠点があるのに対して、本書では、郊外部も含めて3種類の拠点を提示している。
次に、ボディとして2編を用意した。まず、事例編では、魅力的な拠点づくりの事例をテーマごとに紹介し、それらの詳細や拠点形成が可能になった条件等を整理する。本書では上述したように拠点を大きく3種類に分けており、それぞれの拠点ごとに解説している。都市の中心部を構成する「都市の拠点」では、「公共施設の再編」という共通性を有しており、拠点整備の手法として、「連鎖型再開発」「公共施設群集約型」「大規模未利用地充填型」の三つを挙げ、それぞれの手法ごとに具体的な事例を紹介している。一方、近隣レベルの「生活の拠点」では、地域住民の関与がより重要視されることから、「住民自治の仕組み」「公民連携」「住民参加による公共施設再編」「地域の広場」という四つの切り口から事例を紹介する。最後に都市の郊外部に位置する「中山間部の拠点」では、集落自体を維持・継承していくことが中心的な課題であることを踏まえて、「中山間部の持続的な暮らしを支える仕組み」「中山間部の地域資源の活用」「個人が拠点を担う」という三つの切り口から事例を紹介する。
考え方編では、これからの拠点づくりのための方法について四つの視点から整理する。第一に、新しい行政計画の枠組みである。これまでの行政計画を超えて、どのような新しい計画の枠組みを作り、拠点を位置づけるべきかについて、「科学的な分析」「立地適正化計画のあり方」「様々な行政計画・政策が連動した計画」という三つの観点から具体的な方法を述べる。第二に、拠点を形成するためには市民の動きを誘発する必要があることから、公民連携による拠点化の方法について、「市民との連携」「公が先導する拠点化の方法」という二つの観点から解説する。第三に、冒頭に述べたように都市空間としての魅力化を図るための拠点のデザインについて、「空間像」「周辺とのつながり」「個々の建築を先導する公共空間のデザイン」「歴史性・自然との一体性」「公民連携」という五つの観点から解説する。第四に、ハードとしての拠点が完成した後のソフトとしての拠点の運営について、「市民の居場所づくりの内包」「地域ベース活動主体」「持続的な運営」という三つの観点から解説する。
本書の最後には、「変化する時代に対応するプロセスプランニング」について紹介することで、読者が拠点づくりのために具体的にどのような取り組みを進めていくべきかについて解説する。なお、プロセスプランニングとは「長期的な展望に向かって目標像を実現化するための、時間軸を有した計画の仕組み」である。
本書が、これからの我が国の魅力的な拠点づくりを進めていくための第一歩になることを期待したい。
松浦 健治郎
開催が決まり次第、お知らせします。
終了済みのイベント
2020年11月21日に開催された本書の関連イベント「早稲田まちづくりセミナー#09コンパクトシティと拠点づくり~withコロナ・afterコロナ時代の拠点のあり方とは」の記録集(コメンテーターによるコメント・パネルディスカッション/PDF)が公開されました。
なお開催時のセミナーの案内HPは【こちら】です。