現場写真でわかる! 建築設備の設計・施工管理

現場写真でわかる! 建築設備の設計・施工管理 
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内容紹介

一目瞭然!現場の基礎と、トラブル予防の肝

設備のトラブルは、どの現場も似たようなケースで起こる。給排水・空調・電気とあらゆる機器が同居し“教科書どおりにいかない”実務の知識を、長年現場監理に従事してきた著者がまとめる集大成。今更聞けない基礎知識・トラブル予防の肝が現場写真で一目瞭然!知識不足なままに即戦力として現場に送り込まれる若手必見の書。


定久秀孝 著
著者紹介

体裁B5変判・216頁(オールカラー)
定価本体3800円+税
発行日2016-09-01
装丁フジワキデザイン
ISBN9784761532239
GCODE4532
販売状況 在庫◎
ジャンル 建築設備・環境
目次著者紹介紙面見本はじめにおわりに

1 メーターボックス

01 メーターボックスの基本
02 メーターボックス内部の壁・床貫通
03 電気とガスの分離
04 ケーブルと金属管の離隔
05 絶縁材を用いた離隔措置
06 ケーブル敷設後の養生:モルタル付着のトラブル事例
07 集合住宅の低圧分岐付き幹線ケーブル
08 ケーブル用途の表示
09 給水管の結露防止
10 メーターボックス内の排水処理
11 配管の 止め塗装
12 給水立管最頂部のバルブ設置
13 点検時の不具合修正
14 設備更新への配慮

2 樹脂管

01 先分岐工法の施工管理(1)
02 先分岐工法の施工管理(2)
03 ヘッダー工法の基本
04 サヤ管ヘッダー工法
05 サヤなしヘッダー工法
06 ヘッダー設置と分岐数
07 樹脂管の交差処理
08 鋭利な金属との接触回避
09 天井配管の固定
10 さまざまな管材
11 給水・給湯配管の水圧テスト

3 給排水機器設置

01 器具まわりの設備配管
02 洋式トイレの基本
03 キッチンシンクの基本
04 デスポーザーの基本
05 洗面化粧台の基本
06 洗濯機用防水パンの基本
07 サービスシンクの基本
08 ガス給湯器の基本(1)
09 ガス給湯器の基本(2)
10 増圧給水設備の基本
11 受水槽の基本
12 受水槽の衛生管理

4 排水配管

01 排水用特殊継手と脚部継手
02 特殊継手の設置方法
03 耐火二層管と立管排水
04 排水管の勾配確認
05 最下階排水は単独系統
06 排水立管とパイプスペース
07 配管更新への配慮
08 排水騒音の伝播防止
09 排水立管の遮音
10 階で用途が異なるときの排水管
11 脚部継手と横管の防振
12 共用部排水管の遮音
13 汚水槽通気の臭気防止
14 通気管の開放部
15 分散排気で臭気低減

5 ピット・排水槽・桝

01 ピット内の排水横主管
02 排水水中ポンプの設置
03 排水水中ポンプ吸込みピット
04 運転騒音の軽減
05 排水槽のバルブと腐食対策
06 排水水中ポンプの起動と釜場の深さ
07 ベルマウス付き排水水中ポンプ
08 ベルマウスの円滑な排水
09 予旋回槽とベルマウス付きポンプ
10 雨水貯留槽の基本
11 網カゴとポンプ設置例
12 雨水抑制と浸透施設
13 雨水桝と落葉対策
14 ガソリントラップとポンプ排水
15 桝設置と沈下防止
16 道路面より低い場所の排水
17 排水管の系統分離

6 消火栓・消防機器

01 補給水槽の設置
02 外部消防機器の維持管理
03 消火配管とラッキング
04 屋内の消火ポンプ設置
05 屋外の消火ポンプ設置
06 外廊下設置の屋内消火栓
07 放水口・消火栓の設置高さ

7 換気・ダクト

01 ダクトに必要な勾配
02 ファン稼働時への配慮
03 点検口の内部の納まり
04 換気が引き起こす空気抵抗
05 排気ダクトの断熱
06 取合い部の施工順序
07 換気設備の排気場所
08 結露水・油脂を落下させない
09 屋上排気ダクトの施工
10 ファンの騒音・振動対策
11 ショートサーキットの予防
12 内部廊下の臭気防止

8 エアコン

01 エアコン配管設計の例
02 エアコン設置後の試運転
03 エアコンのドレン排水の排出
04 室外機設置時の騒音・排水対策
05 集合住宅中部屋のエアコン設置
06 竣工後のエアコン設置
07 吹出し口の結露

9 遮音壁

01 遮音壁の穴は塞ぐ
02 遮音壁の電気ボックス

10 分電盤・スイッチ・コンセント

01 電気配線の設計
02 分電盤の基本
03 設置高さの明示
04 インターフォンとスイッチ類の整理
05 コンセントは目的に合わせて選ぶ
06 屋外設置の共用コンセント
07 将来用のコンセント

11 ケーブル配線・配管

01 V VFケーブルの施工例
02 ユニットケーブルと省力化
03 強電線と弱電線は接触させない
04 ケーブルはボックス内で接続
05 ダクトに接触させない
06 マルチメディアコンセントの隔壁
07 電線管打込みの基本
08 耐力を損わない打込み
09 下階へ雨水を入れない
10 工事写真を撮る
11 ケーブルの保護方法
12 取付けビスによる損傷
13 ウレタン付着による性能低下
14 結束本数を許容する温度
15 隠れる場所のケーブル配線

12 照明

01 照明器具の熱
02 人感センサーと照明の自動点滅
03 共用廊下の照明
04 アルコーブの照明
05 器具に雨を入れない
06 床埋め器具とケーブル
07 電灯分電盤の基本

13 受変電・動力・弱電設備

01 電力会社の変電設備
02 ハンドホール内のケーブル配線
03 主幹盤類の腐食防止
04 自家用の受変電設備
05 屋外電気機器の雨・雪対策
06 屋上の電気ボックスの漏水
07 屋外ケーブルの接続と防水
08 水槽類への電気配線
09 弱電盤施工の基本
10 弱電盤の増設対策
11 機器の発熱に換気口
12 住戸のテレビ配線

14 避雷針・アンテナ

01 避雷針の保護角と機器
02 避雷針の唸り音
03 アンテナは避雷針と離す
04 避雷針まわりの施工

15 防犯機器

01 集合玄関のインターフォン
02 屋外の防犯カメラ

竣工検査
おわりに
参考図書
索引

定久 秀孝(さだひさ・ひでたか)

株式会社共同設計事務所相談役所長。
1947年北海道生まれ。一級建築士、建築設備士、設備設計一級建築士。 東京写真大学(現、東京工芸大学)卒業後、設備設計事務所、建築設計事務所勤務を経て、1977年に株式会社共同設計事務所を創業し、現在に至る。

建築設備の設計・施工管理は、多岐にわたる広範な知識が求められます。
本書は、建築設計や設備設計、現場の施工管理に携わる初学者に、建築設備工事を理解する手引きとして役に立つようにと、実際の集合住宅の施工現場を例にとり、基礎的な知識から間違いが起こりがちな実務の落とし穴までを理解できるように、解説を付けました。

現場に出る機会が少ない設計者やデザイナーにも理解してもらえるよう、使用材料などについても説明を併記しています。

給排水・空調・電気と多くの機材が同居する設備の現場を、あらゆる角度から理解できるように、できるだけ丁寧な表現を心掛けました。

しかし、本書は基礎的な内容に絞った入門書であって、それも要約した簡単な説明に過ぎません。学術的な部分やより詳しい知識については、数多の優れた著者による技術書がすでに発行されていますので、それらを参考に、より知識を深めていただきたいと思います。しかし、どの書籍を参考にするかの判断も初学者には悩ましく、迷うところです。そこで知識を深める端緒になる参考図書や条文などを要所に明示しました。参考にされ、より深い知識を身につけていただきたいと思います。

最後に本書が、建築設備の設計・施工管理への理解を深める手引きとなり入門書の役割を果たすなら幸いです。

2016年7月
定久秀孝

長年、現場を監理しながら気が付いたことがあります。どの現場も同じ箇所、似たような部分で間違いが起きているということです。間違いを少なくできないものかと、設計図に、こと細かく記載することも試みましたが、図面上にすべてを網羅することは不可能といっても過言ではありません。そこで、これまで起こった間違いや注意点、設計の意図や決まりを事前に示して注意を喚起しようと、現場写真を交えてつくった資料が本書のもとになっています。

資料と言っても基礎的な事柄を解説したにすぎませんが、配線や配管、機器の据付け、維持管理への配慮など、教科書にはない現場の知識と臨場感を感じてもらえたのではと思います。

作図では、事務所スタッフの栗原直久君、大久保宏明君、田中公康君、相川拓君、三輪野曜君に協力してもらいました。私は、設備設計事務所の実務を通して設計を習得した独学、浅学の徒にすぎません。参考として掲げた図書は、私が過去に目を通したものですが、引用するにあたり、改めてその内容の豊富さに感心致しました。本書を入り口に、参考図書でより知識を深めていただきたいと思います。

かつて、学芸出版社の書籍で大庭孝雄先生の『給排水設備の設計法』がありました。私の事務所に新人が入ると、まずこの本を読むことからスタートさせました。お世話になった学芸出版社よりの出版は感無量の思いがあります。

本書が簡潔で、当初の資料を超えるものになったのは、ひとえに学芸出版社編集部と担当の岩切江津子氏のご尽力によるものです。心から感謝いたします。

2016年7月
定久秀孝