聴く!技術士総合技術監理部門のツボ

ビジネスマン自立実践会 著

内容紹介

国家資格・技術士の最難関「総合技術監理部門」の攻略書。傾向がつかめない本試験は、単なる受験対策問題集では太刀打ちできない。本書では、技術士の本質を理解することで、合格するための仕組みを伝授する。各部門4連続一発合格を果たした著者が、合格の秘訣を語る。試験改正にも対応した最新版。聴きながら学べるCD付。

体 裁 A5・168頁・定価 本体3000円+税
ISBN 978-4-7615-3205-5
発行日 2013/06/01
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史


目次著者紹介はじめにおわりに

第1章 技術士総合技術監理部門に一発合格する条件

1-1 あなたにとって“総監技術士”とは?
1-2 あなたが総合技術監理部門に一発合格する条件

第2章 技術士総合技術監理部門 試験実施の概要

第3章 総監一発合格のための学習プラン立案のツボ

3-1 総監一発合格に必要な学習メニュー
3-2 一発合格のための学習プラン立案のツボ
3-3 学習プランを実行する2つのポイント

第4章 技術士総合技術監理の本質

4-1 総合技術監理の本質
4-2 本質を構成する3要素

第5章 総監版体験業務整理のツボ

5-1 体験業務整理の必要性
5-2 総監版体験業務整理法

第6章 総監筆記試験 択一式問題対策のツボ

6-1 択一式問題の出題傾向と特徴
6-2 択一式問題対策法

第7章 総監筆記試験 記述式問題対策のツボ

7-1 記述式問題対策の基本事項
7-2 総監記述式問題対策“7つの鉄則”
7-3 7つの鉄則 適用例

第8章 総監口頭試験対策のツボ

8-1 総監口頭試験対策の事前準備
8-2 総監口頭試験の実践的対策法

著者

ビジネスマン自立実践会

ビジネスマン自立実践会は、組織に隷属するのではなく、主体的に組織に働きかけるビジネスマンを一人でも多く育成することを趣旨として設立いたしました。技術士合格の仕組み講座やメールマガジン、iTunesによる音声情報の配信など様々な実践活動を通じて、“主体的に人生を歩んでいく覚悟を決めたビジネスマンとしての技術者”を養成することを目的としています。

執筆者

山崎 恭司(やまざき きょうじ)

1969年東京生まれ。中央大学文学部卒業後、営業職として㈱三協精機製作所(現 日本電産サンキョー㈱)入社。その後、山口大学工学部へ学士入学。卒業後、㈱東京設計事務所入社。2008年下水道新技術推進機構へ出向。2010年復職後、退社。現在、ビジネスマン自立実践会にて技術士受験指導に携わる。1999年度技術士補(水道部門)および下水道技術検定第1種、2004年度技術士(上下水道部門)、2006年度技術士(総合技術監理部門)にいずれも一発合格。著書『聴く! 技術士二次試験論文のツボ』(学芸出版社)。

あなたも知っているように、技術士総合技術監理部門の受験者のほとんどは、各技術部門における百戦錬磨の“技術士”である。

これまでに長い業務経験を重ね、専門分野の筆記試験を通過し、それらの実務経験を体験論文としてまとめ上げ、そして口頭試験という修羅場もくぐり抜けてきている、そんな優れた技術者達なのである。

しかし……毎年、7~8割程度の受験者が筆記試験で、そして筆記合格者のうち1割程度が口頭試験で不合格の憂き目に遭っているのが実態だ。
技術者として高い評価を得ている優秀な技術士達が、ことこの総合技術監理部門においては、筆記試験で大量に振り落とされ、さらに口頭試験でも振り落とされて、“総監技術士”の称号を手に入れるチャンスを逃しているのである。

少なくとも一度は技術士試験のプロセスで成功体験を収めているだけではなく、責任技術者として数多くの重要な業務を鋭意こなしてきている、そんな立派な技術士達なのに……である。
そんな、総監試験に、本書の執筆者である私は、一発で合格を果たした。
年齢は38歳、試験申し込み時の技術業務の経験年数は受験資格ギリギリの7年での合格だった。

といっても、特別に優れた技能を持っているわけではない。むしろ、技術者としては、経験の少なさも含め、実力不足を痛感することも多い。
既刊『聴く!技術士二次試験論文のツボ』(学芸出版社刊)でも書いたように、あまりに続くミスに堪忍袋の切れた顧客から会社にクレームを挙げられたことすらある。正直に白状すると、もう、どこにも逃げ場がなく、苦しくて苦しくて、死んでしまいたいとさえ思ったことすらある。

しかし、そんな挫折続きのダメ技術者である私が、ある学習方法を実践することによって、技術士の最上級資格とも言うべき総合技術監理部門に一発で合格してしまったのだ。しかも、それは相当な自信をもった中での合格だった。

その理由は……やはり技術士試験には、技術者としての実力とは別の“ツボ”のようなものがある、としか言いようがない。
そのツボとは、“総監の本質”や“青本の学習ノウハウ”“記述式問題の答案作成ノウハウ”など、抽象的なものから具体的なものまで多岐に渡る。
だが、いずれも総合技術監理部門の一発合格を果たすうえで極めて重要なツボであると、私は考えている。

私は本書で、あなたにその“総監一発合格のツボ”をお伝えしたい。

……もっとも、私はこれからあなたに情報を提供するに過ぎない。
提供された情報を活用するかどうかは、あなた自身が自分に責任を持って判断すべきことだ。

本書の内容を100%理解しなければ合格しないというわけではないし、これ以上の方法がもしかしたらあるのかもしれない。

ただ、本書の読後、あなたの答案作成方法や意識、思考、価値観に何らかの変化が少しでも生じれば、それで十分に意義深いと私は考える。
なぜなら、あなたの変化は、あなたの進化に他ならないからである。
わが国における科学技術の流れは、新規開発・整備の時代を終え、サステナビリティ確保の時代へと移行しつつある。

このような時代の流れの中、あなたが我々の先輩技術者と同じような人生の道のり、技術者としての成長の道を盲目的に歩んで行くことは、必ずしも正しく、安定した道とは言えない。

言い換えると、あなたがこれから歩む道は、これまでの先輩が歩んできた道とはおのずから方向とテンポが異なっていなければならないのだ。しかも、その道とテンポは、あなた自身が選び、考え出すしかない。
では、あなたは新しい時代に、どう変わり、どう行動するべきなのか。
実は、そのヒントが、この総監受験学習の中できっとあなたに訪れる。
なぜなら、総合技術監理部門とは、視野を広げ、自立を促すという点で、あなたにとってきわめて有意義な資格だからだ。
それでは早速、総監技術士一発合格の第一歩を、あなたも踏み出そう。

“アベノミクス”が流行語になりつつある。

政権交代に機を合わせたかのような円安に株高が続き、景況感は大きく改善されようとしている。特に建設業者は、震災特需も相まって、東北を中心に活気が戻りつつあるという。製造業も輸出企業を中心に円安歓迎ムードが広がり、業績浮上の期待感が高まっている。

工学に携わる技術者として、建設業、製造業が活況を呈するのは、本来、望ましいことであるはずだ。

しかし、「何かが違う……」と感じてしまう。

終戦から高度成長を経て、バブルで贅を尽くした果てにその崩壊を経験し、失われた10年まで味わってきた今、“景気回復至上主義”が多くの人々から当然のごとく希求されていることに、強い違和感を覚えるのだ。

翻って、「高い倫理観」を持つべき総監技術士の立場からこの模様を改めて眺めてみても、かつてのような「建てよ、造れよ」という手垢にまみれたスローガンに、たまらなく物足りなさを感じてしまう。
そこに、時空的な観点からの評価に耐えうる理由も欲しくなるのである。

すなわち、50年後や100年後の時代から見た場合に現在の判断がどう映るのか、我が国の経済という狭小な規模だけではなく人と自然の複合体である地球という大きな規模からみた場合に、現在の我々の判断はいったいどう評価されるのか、ということである。

総監技術士が誕生したその歴史的意義は、いみじくもこの技術者の持つべき志向性の転換を促すことにあるのではないだろうか。

このようにして、経済至上主義に代わる新たな価値軸が我々技術者も含めた多くの人々の心に根付き始めたとき、初めて本物の明るさが我が国に灯るような気がするのである。

最後になりますが、学芸出版社㈱編集部の中木保代様へ。あなたの数多くの助言によって、こうして本書を読者の方にお届けすることが叶いました。深く感謝いたします。誠に有難うございました。

平成25年春 ビジネスマン自立実践会