改訂版 図説 わかるメンテナンス

改訂版 図説 わかるメンテナンス 土木・環境・社会基盤施設の維持管理
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定本教科書を刷新、口絵カラー+本文2色刷

構造物の維持管理に関する知識を豊富な図版・イラストで分かり易く解説。構造物の老朽化が急速に進む今、点検・調査・診断の手法、補修・補強技術に関する知識が欠かせない。コンクリート構造・鋼構造、各分野のベテラン執筆陣が基本事項に最新事項をコンパクトにまとめたロングセラー定本テキスト。口絵カラー+本文2色刷

宮川 豊章 監修 森川 英典 編 

体裁 B5変判・128頁(2色刷(うちカラー16頁))
定価 本体2700円+税
発行日 2025-12-10
装丁 KOTO DESIGN,Inc
ISBN 9784761529475
GCODE 5724
販売状況 予約受付中 (店頭発売:2025年12月5日頃)
ジャンル
教科書分野
教科書シリーズ 図説わかる(土木工学)シリーズ
授業支援
目次著者紹介まえがきレクチャー動画関連イベント関連ニュース

はじめに

カラー口絵
さまざまな点検・検査・補修作業によって維持管理されているインフラ・社会基盤施設
長く使われてきた土木構造物
コンクリート構造物のさまざまな劣化の症状
コンクリート構造物の補修・補強
コンクリート構造物の点検の方法
鋼構造物の点検の方法
鋼構造物のさまざまな劣化の症状と補修・補強

1章 メンテナンスの現状と課題

1 構造物の一生とメンテナンス
2 構造物の現状と課題
3 技術者の確保

2章 構造物の機能・性能とメンテナンスの基本

1 構造物の機能と性能
2 メンテナンスの基本

3章 構造物の劣化──症状としくみ

1 コンクリート構造物の劣化の症状としくみ
2 鋼構造物の劣化の症状としくみ

4章 構造物の点検の方法

1 点検の種類と方法
2 コンクリート構造物の点検の方法
3 鋼構造物の点検の方法
4 構造物のモニタリング

5章 劣化予測・評価の方法

1 コンクリート構造物の劣化予測
2 鋼構造物の劣化予測
3 構造物の性能評価、判定

6章 補修・補強の方法

1 補修とは、補強とは
2 コンクリート構造物の補修・補強
3 鋼構造物の補修・補強

7章 構造物のマネジメント

1 構造物のマネジメントとは
2 マネジメントの役割
3 メンテナンス・マネジメントの実例
4 将来への課題

索引

〈監修者〉

宮川豊章/京都大学名誉教授

〈編者〉

森川英典/神戸大学名誉教授

〈執筆者〉

鶴田浩章(1・3・7章)/関西大学環境都市工学部都市システム工学科教授
大島義信(2章)/株式会社ナカノフドー建設取締役副社長
野阪克義(2・6章)/立命館大学理工学部環境都市工学科教授
山本貴士(2・6章)/京都大学経営管理大学院教授
大西弘志(3章)/岩手大学理工学部理工学科社会基盤・環境工学コース教授
三方康弘(4・5章)/大阪工業大学工学部都市デザイン工学科教授
山口隆司(4・5章)/大阪公立大学大学院工学研究科都市系専攻教授
東山浩士(6章)/近畿大学理工学部社会環境工学科教授

〈編集協力〉
河野広隆/京都大学名誉教授
井上晋/大阪工業大学工学部都市デザイン工学科教授
坂野昌弘/NPO法人橋守センター理事長
熊野知司/摂南大学理工学部都市環境工学科教授
杉浦邦征/京都大学名誉教授
尼﨑省二/立命館大学名誉教授
鎌田敏郎/大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻教授
服部篤史/一般財団法人土木研究センター 企画・審査部部長

我が国におけるインフラの老朽化問題は、1970年代からあらわになり始めました。橋梁等のRC床版の陥没事故が多発するようになったのです。1980年代にコンクリート早期劣化問題が報道で取り上げられると、社会的にも注目されはじめます。そこで土木学会や日本コンクリート工学協会(当時)は維持管理に関する指針類を規定し、各インフラ管理機関においては調査活動や維持管理体制の強化が進められました。さらに1999年6月には山陽新幹線福岡トンネルにおけるコンクリート塊落下事故(建設後24年後)が発生し、新幹線の一部運休を伴うトンネル安全総点検が実施され、社会に大きな影響を及ぼしました。その後も、土木学会は2001年1月に『コンクリート標準示方書[維持管理編]』を制定、維持管理戦略の構築を本格化させるためのフレームワークを整備し、大学や高専などにおいても、維持管理教育の導入が進められていきます。

しかし、それまでのメンテナンス工学は、基礎土木工学から応用土木工学分野を包含する広範囲かつ高難易度の工学領域であり、当時の専門書の多くは難易度・専門性が高く、講義はもっぱら大学院レベルで行われる状況でした。一方、社会的なニーズから広く大学学部生・高専生に対しても、基礎的なメンテナンス工学教育が必要とされると、従来の材料学、コンクリート工学、鋼構造学、橋梁工学などの科目の中でメンテナンスの内容に触れる、あるいは、メンテナンス単独の科目を新設する大学・高専も増えていきました。

本書初版はそのような状況のなか、2011年11月に刊行しました。大学学部生や高専生を主な対象にした、インフラメンテナンスの講義用テキストとして、基礎と応用を、図表を多用しながら、わかりやすく、体系的にまとめています。また、全構造物の領域について網羅的にとりあげるのではなく、比較的メンテナンス技術が進んでいるコンクリートおよび鋼構造物を対象とすることで、メンテナンスの概念から基礎、応用に至るまで体系的な流れに沿って理解ができることを重視しています。各章の流れは次のとおりで、各章の中でコンクリート構造物と鋼構造物を対比しながら理解を進めていける構成です。

1章 メンテナンスの現状と課題
2章 構造物の機能・性能とメンテナンスの基本
3章 構造物の劣化──症状としくみ
4章 構造物の点検の方法
5章 劣化予測・評価の方法
6章 補修・補強の方法
7章 構造物のマネジメント

また、最新の知見についても、コラムで学べるよう配慮しています。本書の内容は、15回の講義の内、12~13回でカバーできるものを想定しており、この他に講義ご担当の先生方独自の身近なケーススタディの事例と併せていただくと、より効果的な授業が構成できると考えています。使用している用語は、いわゆるメンテナンス工学分野における専門用語(学会などで規定されている用語や慣用的に使用されている用語)を多用するのではなく、敢えて一般用語も含む形でわかりやすく表現し、考え方や方法論を理解させることに主眼を置きました。したがって、詳細な専門用語の習得については、他書に譲るものとしています。また、コンクリート構造物と鋼構造物の分野でメンテナンスの手法が異なる部分も多いため、それぞれの特徴に対応したまとめ方をしています。例えば、コンクリート構造物と鋼構造物の分野で、慣用的に用語の使い方やニュアンスが異なる場合がありますが、これらは敢えて統一せずに、それぞれの分野で異なるものとして使用しています。これら二領域でのメンテナンスを、対比しながらまとめて理解・習得することは非常に重要であると考えています。このような考え方のもと、コンクリート工学分野と鋼構造学分野での研究の最前線におられる関西圏の大学の先生方(2010 年当時)に執筆およびサポートをお願いし、本書をまとめることができました。このことはメンテナンス教育の領域にとって大きな成果であると言えます。

しかし、インフラの老朽化問題は現在も益々深刻さを増しています。本書を刊行した2年後の2012年12月には、中央自動車道笹子トンネルでコンクリート天井板が約138メートルにわたって崩落(建設後47年後)し、3台が下敷きとなって9名が死亡する事故が発生しました。この事故を踏まえて政府は2013年を「インフラメンテナンス元年」と位置づけ、インフラ長寿命化基本計画を策定します。その根幹として、2013年に道路法改正、2014年に道路法施行規則が改正され、橋梁やトンネルを5年に1度定期的に近接目視点検(打音検査を含む)することが義務化され、予防的な修繕と計画的な架け替えを基軸とする長寿命化修繕計画の策定が本格化されるとともに、新技術導入推進による効率的メンテナンス戦略の構築が進められてきました。また高速道路では2015年度から「大規模更新・修繕事業」が着手されました。東海道新幹線では2013年度から大規模改修事業が着手され、山陽新幹線でも2028年度から着手される予定です。一方、道路、鉄道以外においても、2021年10月に和歌山市の六十谷水管橋が崩落(架設後48年後)して大規模な断水が生じる事故が発生し、2025年1月には埼玉県八潮市において下水道管破損により道路が大規模に陥没(建設後42年後)し、1名が死亡する事故が発生するなど、水道や下水道施設の早期劣化・老朽化対策も喫緊の課題であることが浮き彫りになりました。

そのような中で本書は、刊行後15年を迎えるにあたり、さらに内容を充実させるための改訂を行うこととしました。初版の刊行以来、全国の多くの大学・高専で、初学者用授業のテキスト教材として採用していただき、すでに第5刷を重ねたことは、教育機関やインフラ管理機関での人材育成の一助となっているものと感謝しております。

今回の改訂では、新たに口絵を設け、本文を2色刷とすることで維持管理の流れや状況をより理解しやすくしたほか、最新の知見で必要なものをコラムや本文に取り入れることにより、現場の実態に即した教育が行えるよう充実を図りました。一方、この15年で維持管理に関する規定類や研究、技術開発は進展しましたが、初学者用教材として基礎に重点を置く本書の本質的な部分は変わることはありません。本書でその基礎を学んだ読者のみなさんが、将来、メンテナンス工学分野を大きく発展させていただくことを切に望んでいます。

初版以来、イラストを担当して頂いた野村彰氏、改訂版の口絵イラストを担当して頂いた池谷夏菜子氏には、読者の視点に立ったイラストを創造して頂き、また学芸出版社の井口夏実氏には編集にあたり、献身的な努力のみならず、読者の視点に立った多くの指摘を頂き、学ぶ意欲に訴える柔らかいイメージを本書に持たせることができました。ここに厚くお礼申し上げます。

2025年11月

監修者 宮川豊章
編 者 森川英典

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