改訂 建築・設計・製図

改訂 建築・設計・製図 住吉の長屋・屋久島の家・東大阪の家に学ぶ
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安藤忠雄、堀部安嗣、岸和郎の名作住宅3題

安藤忠雄/住吉の長屋、堀部安嗣/屋久島の家、岸和郎/東大阪の家。名作住宅3題で製図、パース・模型制作、プレゼンを学べる必携入門書、待望の改訂。作図作法、縮尺別の表現解説、スケッチやCGパース作例を増補。中庭型という共通点、RC・木・S造の空間特性、周辺環境や時代と呼応する設計手法等、建築読解も充実。

貴志雅樹 監修/松本明・横山天心 著

体裁 A4変判・101頁(2色56頁、折図5枚)
定価 本体2800円+税
発行日 2025-12-20
装丁 木村幸央
ISBN 9784761529451
GCODE 1106
販売状況 予約受付中 (店頭発売:2025年12月18日頃)
ジャンル
教科書分野
授業支援
目次著者紹介はじめにレクチャー動画関連イベント関連ニュース

●目次

はじめに
prologue

住宅を考える

・戦後住宅の変遷
・3つの住宅の特長

設計図面とは

・設計のプロセスに応じた図面
・CADからBIM へ
・折図 3つの住宅の原図
〈住吉の長屋〉1階平面図兼配置図・断面図兼アクソメ図
〈屋久島の家〉1階平面図・立面図・矩計図
〈東大阪の家〉3階平面図・断面図
S=1/50スケールによる平面図の比較
住吉の長屋・屋久島の家・東大阪の家

chapter 01 住吉の長屋

Introduction〈住吉の長屋〉について

section 01 平面図とは

・1階平面図を描く
・2階平面図を描く

section 02 断面図とは

・断面図Aを描く

section 03 立面図とは

・西立面図を描く

section 04 パースを描く

・1点透視図を描く
・2点透視図を描く

section 05 模型をつくる

column 読解〈住吉の長屋〉

chapter 02 屋久島の家

Introduction〈屋久島の家〉について

・折図〈屋久島の家〉 平面図・立面図・矩計図

section 01 木造軸組構法とは

section 02 平面図を描く

・1階平面図を描く

section 03 矩計図を描く

section 04 構造伏図を描く

・基礎伏図・床伏図・小屋伏図を描く

section 05 配置図を描く

section 06 軸組模型をつくる

column 読解〈屋久島の家〉

chapter 03 東大阪の家

Introduction〈東大阪の家〉について

section 01 基本図面を描く

・平面図を描く
・立面図を描く
・断面図を描く

section 02 展開図を描く

section 03 構造図を描く

section 04 階段詳細図を描く

・らせん階段・直階段を描く
・折り返し階段を描く

section 05 アクソメ図を描く

column 読解〈東大阪の家〉

chapter 04 資料編

section 01 製図の基本

・製図を始める前に
・図面の種類と役割
・縮尺による図面表現
・線の太さと線種、文字の書き方
・断面図の寸法のおさえ方
・図面の表示記号
・建築図面の図法

section 02 建築設計の流れ

・設計のプロセス
・プレゼンテーションをする
・CGを用いた空間表現
・ダイアグラムをつくる
・スケッチとエスキース
・3つの住宅を読み解くキーワード
・模型と模型写真

●監修
貴志雅樹(きし・まさき)
(1949~2015)元富山大学芸術文化学部教授、貴志環境企画室主宰、一級建築士。1949年和歌山県生まれ。1975年神戸大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。安藤忠雄建築研究所にて「住吉の長屋」を担当し、1978年に独立。2004年高岡短期大学教授、2005年より富山大学教授に着任。2015年1月に逝去。

●著者
松本明(まつもと・あきら)松本明建築研究所主宰、一級建築士。1957年香川県生まれ。1983年神戸大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。小河建築設計事務所、浅井謙建築研究所勤務を経て、1994年松本明建築研究所開設。2008~2024年近畿大学建築学部建築学科教授。

横山天心(よこやま・てんしん)
富山大学芸術文化学部建築領域准教授。ヨコヤマダ建築設計事務所主宰、一級建築士。1975年富山県生まれ。1998年東京工業大学工学部建築学科卒業。第一工房、長谷川逸子・建築計画工房勤務を経て、2005年に山田秀徳と共に独立。2006年東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻博士課程満期退学。2006年より富山大学助教、2016年~現職。

製図の教科書を、いつか手掛けたいと考えていました。
私は40年ほど前に、安藤忠雄建築研究所のスタッフとして〈住吉の長屋〉の担当をしておりました。矩計図を描きながら、屋上のシート防水の立上がりの納まりと逆梁の寸法、
1階、2階の中庭側スチールサッシュの納まりなど検討していた時、現場から帰ってきた安藤さんとこのような会話をしました。

安藤さん 「実施設計図はできたか」
貴志   「今、詳細図を描いています」
安藤さん 「責任の持てんことは、いいかげんに描くな。やめとけ」

私は、ディテール集などで調べながら描いているつもりでしたが、素材、工法、意匠的な意図など、全てを考え、また、全てを知って描いているとはいえなかったのです。当時は安藤さんの指摘を正確に理解できていませんでしたが、設計という仕事に関わるほど、1枚の図面のもっている意味の大きさに気づきました。設計者の描いた1枚の図面は、50倍、100倍になって、施工会社によって実際につくられるのです。安藤さんはその1枚の図面を、実物の建築と等価に見ていたに違いありません。それ以来、機会があれば建築を学ぶ学生が初めて描く建築図面の意味、重要さ、面白さに少しでも触れてもらえる本を手掛けたい、との想いがあり、本書の執筆に至りました。
本書では以下の4つの基準によって、掲載する3つの住宅作品を選定しました。
① 著名な建築家が設計した名作住宅であること
② 外部空間を取り込んだシンプルな箱型の住宅であること
③ 設計当時の手描きの図面が掲載可能なこと
④ 木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)といった構造種別が明快であること

まず、①に挙げた建築家の住宅は、皆さんがこれまで慣れ親しんできたハウスメーカーなどの手掛ける量産型の住宅とは異なり、土地固有の環境や家主の想いが丁寧に読み解かれています。住むことの本質を捉えなおし、細部まで設計者の思想や流儀が徹底して反映された住宅から、新たな価値や魅力を設計する姿勢を学んでほしいと考えます。
②には、ミース・ファン・デル・ローエの著名な格言「Less is More(より少ないことはより豊かなことである)」にあるように、複雑な空間構成でなく、極限まで削ぎ落とされた単純明快な空間構成にも多様性や豊かさを生み出せることを知ってほしい、という思いを込めています。3つの住宅はどれも単純な箱型の建築でありながら、外部空間を取り込むことで豊かで美しい空間が実現していることがわかるでしょう。③に示す手描き図面の参照も重要です。本書に掲載した折図から、図や文字の細部まで配慮の行き届いたオリジナルの図面にみられる緊張感や、建築家が図面に込めた想いを肌で感じ取ってほしいと思います。そして最後に④の構造種別です。本書で取り上げるのは小規模建築の基本構造である木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)に限定しています。構造といえば、他にも、組積造や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)やプレキャストコンクリート造、さらにそれらが組み合わさった混構造などさまざま挙げられますが、まずは3種の基本構造の違いを単純な空間構成で明快に示し、それぞれの構造および構法への理解を深めてほしいと考えました。
上記の基準によって、木造は堀部安嗣さんの〈屋久島の家〉、鉄骨造は岸和郎さんの〈東大阪の家〉、鉄筋コンクリート造は安藤忠雄さんの〈住吉の長屋〉を選びました。
これから皆さんが学ぶ「図面の模写(トレース)」は、単に図面を描き写すだけの作業ではありません。三角スケールで各寸法を確認し、かつ、線の太さや線種の意味を考えながら線を描き、建築家が図面に込めた想いを読み解く作業です。時間をかけてじっくりと取り組むことで、建築への理解がより深まっていくことでしょう。

2015年10月 貴志雅樹

旧版を刊行して10年、ありがたいことに多くの学校で、建築製図を学ぶ学生の皆さんの入門書としてご活用いただいてまいりました。この度、教育現場でお使いになられている多くの先生方にご意見をお寄せいただきながら、より使いやすい一冊となるよう、作図の手がかりとなる寸法値や縮尺表現の過不足を見直し、改善を図っています。また、手描きの図面や手描きにしかできない表現・情報伝達を重視しつつも、〈東大阪の家〉では近年の設計現場で多用されるCGモデルの作例を新たに収録し、prologueではBIM の台頭に触れるなど、時代に合わせたトピックも追加しました。手描き図面や手描きパース・スケッチ、模型写真、CAD図面やCGモデル、BIMなど、建築製図の先に広がる多様な表現の世界を見渡しながら、読者一人ひとりが自分なりの作図表現を修得してくれることを願っております。そんな道のりの初めの一歩に、引き続きお役立ていただければ幸いです。

2025年11月 松本明・横山天心

開催が決まり次第、お知らせします。

メディア掲載情報

公開され次第、お伝えします。

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