基礎講座 建築環境工学
内容紹介
カラー・2色の豊富な図・写真で基本を網羅
空気・熱・光・音のほか建築・都市環境について、身近な自然現象から建築計画への応用まで、環境工学の基本を学ぶ。カラー・2色刷の図・写真、コラムを多数掲載し、必要な数値や情報は表やグラフにまとめた、わかりやすく読みやすい入門教科書。建築士試験のキーワードを網羅、章末の練習問題で習得度もチェックできる。
体 裁 B5変・200頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2746-4
発行日 2020/08/01
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史
第1章 建築環境
1. 建築環境の概要
2. 外部気候
3. 室内気候
〇✕問題
第2章 熱環境
1. 伝熱
2. 熱貫流
3. 室内への熱の出入り
4. 断熱
5. 蓄熱
6. 湿気
7. 結露
空気線図の読み方の練習問題
〇✕問題
第3章 空気環境
1. 室内の空気汚染
2. 室内換気
3. 換気計画
4. 換気対策
5. 通風
〇✕問題
第4章 光環境
1. 太陽の動き
2. 日照と日影
3. 日射
4. 採光
5. 照明
6. 色彩
〇✕問題
第5章 音環境
1. 音の性質
2. 室内音環境
3. 騒音と振動
4. 室内音響
〇✕問題
第6章 都市環境
1. 都市の空気環境
2. 都市の熱環境
3. 都市の光環境
4. 都市の風環境
5. 都市の音環境
6. 都市の水環境
7. 都市の緑環境
〇✕問題
建築環境は、建築における健康で快適な生活環境を与える重要な要素であります。建築環境工学とは、「自然現象を数値化して、それを客観的に解釈し、工学的手法で解いてゆく学問」といえます。この自然現象を科学的に理解できればもっと正確で繊細な建築計画が可能であります。そして、建築環境工学の知識を持っていればもっと良い建築の設計ができるはずです。
しかもその専門分野は、建築だけでなく、地球上におけるすべての自然現象にまたがっており、さらに近年、「都市環境」は、わたくしたち人類にとって、捨ててはおけない存在になっています。建築環境工学は今まで多くの研究と発展で、細分化と専門化が進み、その難易度はますます大きくなっています。
本書はこのような難易度を乗り越えるために、度が過ぎる専門性は排除して、環境工学分野で必ず必要な基礎部分を漏れなくわかりやすくまとめました。
本書の内容は建築環境と気候の基礎知識を土台にし、建築環境工学で必修項目である「熱」「空気」「光」「音」環境という順序で解説しました。その上に、最近の趨勢である都市環境の重要性から、建築環境工学と都市環境との関連性を述べました。
本書の特徴は、長年にわたる独自の建築環境工学の講義録や研究論文をベースにし、図版、表、写真を多用してわかりやすく編集しました。また、各章に親しみやすいコラムを入れております。なお、各章の最後には〇✕形式の練習問題を入れており、読者がどの程度理解しているかを試すことができます。
いままでの、建築士試験傾向をみると、“合否の「カギ」は、「環境・設備」の分野”であるといっても過言ではありません。この本は建築各分野で活躍する方々や建築専攻分野の学生たちの教科書または参考書であると同時に、「建築士」を目指すためのテキストとしても十分対応できる内容であり、幅広い活用ができるようになっています。
したがって、本書が建築を志す皆様方にとって、最良の伴侶となることを望みます。
2020年6月
朴 賛弼・伏見 建
本書は、はじめて建築を志す方をはじめ、建築士受験のための参考書として、「基礎講座シリーズ」の建築環境学入門書として企画し、出版されるものです。建築環境学は、「はじめに」にも記したように、建築設備と並んで学習すると学習効果が上がります。本書を手に取られた方は、学芸出版社発行の『図説やさしい建築設備』や『基礎講座 建築設備』の併読を強くお奨めします。
建築環境学は、建築学上「基礎中の基礎である学問」のひとつと位置付けられています。建築学は、日々発展している学問です。本書では極力最新の建築技術に適合させるようにしましたが、部分的に、現在ではあまり使用されない工法、材料、呼称等が記されているものがあることは否めません。また本書には古建築・古民家の写真が随所に挿入されています。これらは、古人の建築環境学的思考のエッセンスが凝縮されているといっても過言ではありません。ここからも建築への夢を膨らませてください。
また姉妹書籍ともいえる『絵で見る建築環境学』が韓国技文堂から、わたくしたちの著作により出版されています。本書を通じ日韓両国の技術交流と発展を希望します。
今回の出版に関して、原稿から出版に至るまで、多くの助言を頂き、奔走された学芸出版社編集部の、中木保代様はじめ、スタッフの皆様方に感謝いたします。
2020年6月
伏見 建・朴 賛弼
本書は電子版も発行しております。大学・専門学校等の教科書、もしくは研修等のテキストとしてのご採用をご検討の場合は、こちらをご覧ください。