建築現場のコンクリート技術
内容紹介
現場ではなかなか勉強の時間がとれない、若手~中堅の建築技術者必携!コンクリートの基本知識、発注の仕方から、品質管理、調合、打込み、劣化・検査と維持補修まで、現場の仕事の流れにそって「そこが知りたい」「今さらきけない」ポイントを図・写真・マンガでわかりやすく解説。工事現場でよくあるトラブル事例集付き。
体 裁 四六・220頁・定価 本体2000円+税
ISBN 978-4-7615-2625-2
発行日 2016/07/01
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史
はじめに
第1章 コンクリートの基本知識
1-1.コンクリートの種類と特徴
1-2.コンクリートはなぜ固まるか(水和反応・水和熱)
1-3.運搬・施工から補修までの流れ
第2章 コンクリートの発注
2-1.生コンクリートの注文の仕方
2-2.工場調査
2-3.運搬方法の注意点
第3章 コンクリートの品質管理と調合(配合)
3-1.耐久性
3-2.コンクリート強度論
3-3.流動化剤とJIS表示
3-4.空気量
3-5.コンクリートの調合と配合
3-6.骨材・混和材料(結合剤含む)
3-7.塩化物含有量
3-8.コンクリートの強度推定式と限界強度
第4章 コンクリートの打込み
4-1.打込み準備
4-2.鉄筋・せき板の組み立て
4-3.打ち込み前の配筋検査
4-4.加工寸法と許容差
4-5.かぶり厚さ
4-6.コンクリートの打ち継ぎ位置
4-7.継ぎ手と定着
4-8.打込み時間と、打重ね時間
4-9.コンクリートの打継ぎと打重ね
4-10.タンピングの重要性
4-11.バイブレーターによる締め固め
4-12.施工の不具合
4-13.型枠によるコンクリートの硬化不良の防ぎ方
4-14.どの程度の雨なら打ち込みできるか
4-15.せき板・支保工取り外しのタイミング
4-16.湿潤養生の目的と工法
第5章 工事のトラブル事例
5-1.配筋検査を実施せずにコンクリートを打ち込んだ
5-2.生コンクリートに現場で水を加えた
5-3.使用するコンクリートの圧縮強度が不足した
5-4.せき板存置期間と湿潤養生期間を守らなかった
5-5.アンカーボルトの位置がずれていた
5-6.ベースコンクリートの寸法が不足していた
5-7.RC造の建物に結露が発生した
5-8.基礎コンクリートがひび割れしていた
第6章 劣化・検査と維持補修
6-1.構造体の耐久性能(計画供用期間)
6-2.基礎コンクリートから発生する水分
6-3.中性化
6-4.エフロレッセンス(白華)現象を少なくするには
6-5.ひび割れ補修
おわりに
現代の建築現場では、必ずコンクリートが使用され、建築に携わる技術者は、コンクリートについて学校で学び、また各種資格取得を目指す際に勉強しているわけですが、現実に現場で現物を見ると、判断に迷うこともあります。その経験を積み重ねることによって、初めて一人前の技術者に成長していくわけです。
建築の技術者は、仕事が忙し過ぎて、勉強時間を確保しにくい場合が多いです。疑問に思っても、すぐに調べられない場合、教えてもらう適切な人がいない場合もあります。ベテランと呼ばれる年齢になりますと、今さら人に聞くこともできません。
本書は、建築の基本であるコンクリートに絞って、技術者として知っておくべき知識、さらに建築紛争に対処するための知識を提供しています。忙しい仕事の合間に目を通していただくことで、もっている知識の再確認、新たな知識の吸収に役立つものと思います。
建築業界に入ると、多くの建築主と接することになります。その過程で、多くの職種の、多くの職方とも接します。工事監理者は、建築主・職方に対し、それぞれ適切な説明を行い、説得する必要があります。
建築は必ず、材料誤差・施工誤差を伴い、バラツキがありますが、遵守すべき基準も多くあります。基準を知った上で、妥当な判断を行わなければなりません。より妥当な判断ができる技術者になってほしいと願って、本書をまとめました。これを契機に、さらなる向上をし、有能な技術者に成長してほしいと願っています。