建築設備 基本を学ぶ

大西正宜 編著/乾 孝士・大和義昭 著

内容紹介

初めて学ぶ人のための設備テキスト。給排水衛生設備、空気調和・換気設備、電気設備、防災設備、搬送設備の各分野の基礎となる事項を多数の図表とともに簡潔に解説した。環境問題や持続可能性、省エネなどの視点を盛り込み、日々進歩する設備機器等には深入りせず建築技術者が常識として知っておきたい基本事項を整理した。

体 裁 B5・168頁・定価 本体2500円+税
ISBN 978-4-7615-2606-1
発行日 2015/11/10
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史

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目次著者紹介はじめに

第1章 建築設備の概要

1・1 建築設備の必要性
1 建築物の備えるべき性能
2 建築設備の種類
3 建築設備の性能
1・2 地球環境と建築設備
1 地球環境の現状
2 サステイナビリティー(持続可能性)
3 省エネルギーの推進

第2章 給排水設備

2・1 給排水設備の概要
1 給排水衛生設備の歴史
2 水資源
3 生活用水の流れ
4 飲料水の水質
2・2 給水設備
1 給水方式
2 水の使用量と給水圧力
3 水槽の構造・容量・材料
4 給水管
5 飲料水の汚染防止
6 給水設備の衛生管理
7 給水管径の計算
2・3 給湯設備
1 給湯の基本事項
2 給湯方式
3 給湯のための機器
4 給湯機器容量の計算
2・4 排水・通気設備
1 排水の基本事項
2 排水管
3 トラップと阻集器
4 各種排水用機器
5 通気方式
6 雨水の排水
2・5 排水の処理と利用
1 浄化槽
2 排水再利用
3 雨水利用
2・6 ガス設備
1 ガス設備の概要
2 ガスの種類
3 ガスの配管
4 ガス機器の給排気方式
5 ガスの安全装置

第3章 空気調和・換気設備

3・1 空気調和・換気設備の概要
1 空気調和とは
2 暑さ・寒さの感覚と指標
3 空気調和設備の基本構成
3・2 空気調和の基本事項
1 湿り空気線図
2 湿り空気の状態変化
3 外気条件
3・3 空気調和方式
1 全空気方式
2 全水方式
3 水 – 空気方式
4 冷媒方式
3・4 空調設備を構成する機器
1 熱源装置
2 空気処理装置
3 搬送装置
4 制御装置
3・5 換気設備
1 必要換気量
2 換気設備の計画
3・6 冷暖房負荷
1 冷房負荷計算
2 暖房負荷計算
3・7 空気調和設備の省エネルギー計画
1 省エネルギー性に配慮した空気調和設備の計画
2 空気調和設備のシミュレーション
3 省エネルギーに配慮した空調設備の運用・管理

第4章 電気設備

4・1 電気設備の概要
4・2 電力設備
1 電源設備
2 配電方式
3 配線工事
4 動力設備
4・3 照明設備
1 照明設備の基本事項
2 光源の種類
3 照明方式
4 照明器具
5 照明設計
6 照明の点滅器
4・4 通信設備
1 電話設備
2 LAN
3 インターホン設備
4 拡声放送設備
5 テレビ共同聴視設備

第5章 防災設備

5・1 防災設備の概要
5・2 消火設備
1 火災の種類と消火の原理
2 屋内消火栓設備と屋外消火栓設備
3 スプリンクラー設備
4 特殊な消火設備
5・3 消火活動と避難に必要な設備
1 連結送水管と連結散水設備
2 非常コンセント設備と無線通信補助設備
3 排煙設備
4 ドレンチャー
5 非常用照明と誘導灯
6 避難器具
5・4 警報設備
1 自動火災報知設備
2 その他の警報設備
5・5 避雷設備
1 避雷設備の設置
2 避雷設備の構成

第6章  搬送設備

6・1 搬送設備の概要
6・2 エレベーター
1 エレベーターの種類
2 エレベーターの構造
6・3 エスカレーター
1 エスカレーターの種類
2 エスカレーターの構造
6・4 駐車設備
1 駐車施設とは
2 駐車設備の種類
6・5 物品搬送設備
1 小荷物専用昇降機
2 ボックスコンベア・自走台車・気送管
6・6 福祉用移動設備
1 福祉用移動設備とは
2 福祉用移動設備の種類

索 引

大西正宜(おおにし まさのり)

1981年、大阪大学工学部建築工学科卒業
大阪府立西野田工科高等学校 建築都市工学系建築システム専科教諭
一級建築士
著書に『環境と共生する建築25のキーワード』『住みよい家―快適・環境・健康』(以上、学芸出版社)、共著書に『新しい建築の製図』『初めての建築環境』『初めての建築法規』『〈建築学テキスト〉建築製図』『〈建築学テキスト〉建築行政』(以上、学芸出版社)、『建築法規用教材』((社)日本建築学会)、『建築計画』『環境工学基礎』(実教出版)など。

乾 孝士(いぬい たかし)

1973年、近畿大学理工学部機械工学科卒業
大阪府立布施工科高等学校 建築設備系設備システム専科教諭
共著書に『初めての建築設備』(学芸出版社)、『図説建築用語事典』(実教出版)など。

大和義昭(やまと よしあき)
2002年、京都府立大学大学院生活科学研究科住環境科学専攻修士課程修了
国立呉工業高等専門学校 建築学科 准教授
博士(学術)
一級建築士
共著書に『建築計画』(実教出版)など。

建築設備とは、建築物に設ける給排水設備、冷暖房設備、換気設備、電気設備、ガス設備、消火設備、排煙設備、汚物処理設備、昇降機、避雷針などをいう。建築設備は建築物にとって不可欠のものであり、これなしには建築物が建築物として成立しないといっても過言ではない。建築工事において、設備工事費の総工事費に占める割合を見ても、集合住宅・学校は約20%、事務所・店舗は約20-40%、病院・福祉施設は約30-50%となっている。

建築設備は、人々の利便性・快適性の追求の中で生まれ、近現代に急速に発展・普及した。一方、この発展の過程は、エネルギー使用の増大と地球・都市の環境悪化の過程でもあった。今日では環境保全を抜きにした技術は語れず、建築設備においても高効率化と情報化などによる省エネルギー技術は日々進化を遂げている。建築技術者が設備を学ぶ意義はますます高まっている。

本書は、建築を学ぶ学生や建築士の資格取得を目指す若い技術者などのためのものであり、建築技術者として知っておきたい建築設備の基本をまとめたものである。したがって、個々の建築設備について深く掘り下げて詳述することは避け、広い視野で全体をとらえ、過不足なく必要最小限の事項をわかりやすく記述するように努めた。本書を読み通すことで、「建築設備」の全体が概観できるものと確信しており、本書が初学者の皆さんに大いに役立つことを願ってやまない。

本書の発刊に当たり、資料の提供を賜った皆様に深い感謝の意を表します。また、長期にわたる執筆の過程を根気強く見守り、適切な助言をいただいた㈱学芸出版社の編集部の皆様に厚く御礼申し上げます。

著者一同