魅せる!実践CADパース
内容紹介
建築パースはいまやCADやCGが主流だが、パースの基本を押さえていないと冴えない仕上がりになってしまう。本書では、構図やアングルといった基礎知識から魅力的なプレゼン法まで、実例をもとに説得力のあるパースを描くために最低限押さえたいコツをやさしく解説。これだけ覚えれば、誰でもカッコイイパースが描ける!
体 裁 B5変・104頁・定価 本体2200円+税
ISBN 978-4-7615-2598-9
発行日 2015/07/15
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史
第1章 パースの基礎知識
1 パースとは
1 何のために描くか
2 図面ではわかりくい!
2 遠近法
1 自然遠近法の例
2 重複遠近法の例
3 立体空間に存在する3つの方向性
1 間口・奥行き・高さ
2 HL─目の高さの水平線
3 VP─消点
4 パースの種類
1 1消点パース
2 2消点パース
3 3消点パース
5 陰と影
1 陰─SHADEの役割
2 影─SHADOWの役割
6 構図を決める
1 外観
2 インテリア
7 点景
1 CGによる点景の種類(外観)
2 CGによる点景の種類(インテリア)
3 外観の点景配置
4 インテリアの点景配置
8 色彩の基礎知識
1 色の基本的な分類
2 色相環とトーン表
3 カラーコーディネート
4 イメージスケールの活用
5 色彩心理
第2章 実践! 外観パース編
1 かっこいい外観パースのコツ
1 目の高さを決める─HLの設定
2 正面と側面の見せ方
3 画面内の構図を決める(トリミング)
4 陰影を入れる
2 いろいろな演出方法
1 空のバリエーション
2 森・林のバリエーション
3 地面
4 窓
5 車
6 背景
7 外構
3 スタイル別 外観イメージ
第3章 実践! インテリアパース編
1 かっこいいインテリアパースのコツ
1 目の高さを決める─HLの設定
2 画面内の構図を決める(アングル)
3 画面内の構図を決める(トリミング)
2 インテリアの演出方法
1 点景のワンポイント
2 点景によるイメージづくり
3 照明による演出
3 スタイル別 インテリアイメージ
第4章 パースを活用したプレゼンテーション
1 プレゼンボードをつくろう
作例1 新築提案におけるプレゼンボード
作例2 リフォーム提案におけるプレゼンボード
2 プレゼンボードづくりのポイントとコツ
3 作品集
裏技編 CADを活かした手描きパース
1 外観パースのつくり方
2 インテリアパースのつくり方
パースを描くようになって、かれこれ半世紀になろうとしています。建築を始めとした「ものづくり」の世界においては、設計者と施主とのコミュニケーションがもっとも重要なポイントとなりますが、お互いの思いが一致しているかどうかの確認には、パースが最も早く、わかりやすい手段だと、様々な場面を経験し実感してきました。
手描きによるパーステクニックは、それなりの熟練度が必要になり、道具も絵の具から色鉛筆、マーカー、エアーブラシと変遷を重ねてきました。近年ではあたかも竣工写真のようなCAD、CGが主流となっています。ソフトがいとも簡単に完成予想図を制作してくれるようになりましたが、平面図を入力するだけでパースが立ち上がり、ただ立体像が見えるだけでは、パースの本来の意味は半減してしまいます。長年パースの仕事をしてきて思うのは、今も昔も「想い」は同じだということです。施主に夢をもたせ、「創りたい」と思ってもらうといったところは変わりません。
数年前、実務面においてパースの意味をよく理解している、CADソフトを扱う専門家の方と出会う機会に恵まれました。パースを描く上で最も重要と思われる「魅せ方」の要点を話し合い、その経験をもとにCAD、CGにおけるポイントを重点的に本書にまとめました。パースの専門家でなくても、このポイントさえチェックしておけば、プロ顔負けのCADパースが出来上がる、お互いの持てるノウハウを十分に話し合い、実務に役立つ本を制作したつもりです。
㈱イオグランツの山中社長はじめスタッフのご理解と協力がなければ、この本が日の目を見ることはなかったことでしょう。
ぜひ、この本を参考にしていただき、「今までに描いたパースと全然違う!」という驚きを体験していただきたいと思います。
平成27年5月
(株)コラムデザインセンター
宮後 浩
本書は、初めに手描きでのパースの描き方のポイントをしっかりと踏まえた上でCADなどを使用したCGパースの話へと進むように構成されていますので、今までパースを描かれた経験のない方にも、わかりやすい内容になっています。
私は10年以上前に住宅メーカーで働いていましたが、その頃は図面とカタログの写真や模型だけで話を進めていましたので、完成後に「イメージが違う」などといったクレームをよく聞いていました。
そういったことを解消するためにもパースは必要不可欠なものになっています。
さらに今ではパースは単なる完成予想図ではなく、お客様にその空間での生活を想像していただき「そこに住んでみたい」「そこに行ってみたい」と思っていただくためのプレゼンツールにもなっています。
そういったプレゼンツールとしてのパースを作成していただくための助けとなるように本書は構成されております。
今回、宮後先生とともに本を書かせていただくという話が上がった時、当初は何をしたらよいか頭を抱えていたことを今でも思い出します。
ですが、実際に話がスタートしたら、今まで自分が行ってきたこと、学んだことの集大成のような内容で話が進み、自分なりの整理もできました。
今回は初めての出版作業ということで、私がもたついた時にも辛抱強く対応していただいた学芸出版社の中木様はじめ皆様には本当に感謝申し上げます。
本書が皆様のお役に立てれば幸いです。
伊藤茂男