図解レクチャー 構造力学
内容紹介
力の基礎から静定・不静定構造、構造物の崩壊までを一冊で学習することができる、一級建築士試験にも対応したテキスト。苦手意識を持たれやすい構造力学の分野だが、図解で丁寧に繰り返し解説することで基礎から応用まで網羅。四則計算のみで解説しているため、デザイン系の学生にも活用できる、初学者のための入門テキスト。
体 裁 B5変・200頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2523-1
発行日 2011/11/20
装 丁 KOTO DESIGN Inc.
第1章 力の基礎
1・1 力の表現と種類
1 一点集中する力
1)力の和
2)力の分解
2 力のモーメント
1)距離の考え方
2)偶力のモーメント
3 分布する力
1・2 力の釣合い
第2章 静定構造の解き方
2・1 構造物の分類と表現
1 構造物の分類
2 構造物のモデル化
2・2 反力
1 単純梁の反力
1)集中荷重を受ける単純梁
2)分布荷重を受ける単純梁
3)モーメント荷重を受ける単純梁
2 片持ち梁の反力
3 ラーメンの反力
2・3 梁・ラーメン部材に生じる力
1 部材に生じる力の種類
1)曲げモーメント
2)せん断力
3)軸方向力
2 部材に生じる力の計算法
1)単純梁:集中荷重の場合
2)単純梁:分布荷重の場合
3)単純梁:モーメント荷重の場合
4)片持ち梁:集中荷重の場合
5)片持ち梁:分布荷重の場合
6)片持ち梁:モーメント荷重の場合
7)単純ラーメン:集中荷重の場合
8)単純ラーメン:分布荷重の場合
9)ヒンジのあるラーメン
3 曲げモーメントとせん断力との関係
1)せん断力の値は曲げモーメント図の傾き
2)曲げモーメントの値はせん断力図の面積
4 重ね合わせの原理
2・4 トラス部材に生じる力
1 切断法
1)単純梁型の場合
2)片持ち梁型の場合
2 節点法
3 図解法
第3章 断面と応力度
3・1 断面に関する数量
1 図心
2 断面2次モーメント
3 断面係数
3・2 応力度
1 引張(圧縮)応力度
2 曲げ応力度
3 せん断応力度
4 許容応力度
5 許容曲げモーメント
6 曲げ応力度と引張・圧縮応力度との組み合わせ
第4章 不静定構造の解き方
4・1 たわみ・たわみ角
1 単純梁のたわみ・たわみ角
1)両端にモーメント荷重を受ける場合
2)中央に集中荷重を受ける場合
3)分布荷重を受ける場合
2 傾斜によるたわみ
4・2 たわみ・たわみ角式を利用した不静定梁の解法
1 ローラー─固定梁の解法
2 両端固定梁の解法
4・3 剛床仮定のラーメン
1 水平剛性の算定
2 水平力の分担
3 多層ラーメンの水平変位
4・4 たわみ角法
1 不静定ラーメンの変形
2 たわみ角公式の誘導
3 たわみ角公式による解法
4 せん断力、軸方向力、反力の計算
4・5 固定モーメント法
1 曲げモーメントの伝わり方
2 固定モーメント法の基本的解法
3 対称門形ラーメンの解法
4 2層対称門形ラーメンの解法
第5章 座屈・構造物の崩壊
5・1 座屈
1 弾性座屈荷重
2 弾性座屈荷重の梁による影響
5・2 静定構造の崩壊
1 崩壊の過程と全塑性モーメント
2 崩壊荷重の算定
5・3 不静定構造の崩壊
1 不静定構造の崩壊過程
2 不静定構造の崩壊荷重の算定
3 崩壊機構の検討
4 圧縮を考慮した全塑性モーメント
附録 基本公式の誘導
1 微分・積分の基礎知識
2 断面2次モーメント公式
3 片持ち梁のたわみ式・たわみ角式
4 弾性座屈荷重の公式
公式一覧
さくいん
2004年に出版された姉妹書『図説やさしい構造力学』は、数学や物理学がどうも苦手……という方々にも構造力学を理解していただきたいという思いを込めて執筆いたしました。うれしいことに、その後多くの読者から励ましのお便りをいただきました。多くの方々のお役に立てたことは著者にとってこの上ない喜びであり、感激・感謝に絶えません。
お便りの中には「不静定構造についてもっと詳しい本を書いてほしい」というご意見もございました。向学心旺盛な皆さんのご要望に答え、さらなる構造力学理解の手助けができればと考え、今回の出版に至りました。図説やさしい構造力学では2級建築士を目指す方々のために執筆いたしましたが、今回は大学でも使えるもの、1級建築士をめざす方々にも十分使っていただけるものを目標に執筆いたしました。
本書の特徴
- 本書は前半に力の基礎、静定構造を収め、後半に不静定構造の内容を収めました。1冊で力の基礎から不静定構造、さらに構造物の崩壊までを学習することができます。
- ストーリーは力の釣り合い、重ね合わせの原理という基礎的な力学の考え方のみでできあがっております。片持ち梁に端を発し、これら2つの考え方から如何にして不静定構造を構築していくかをご覧ください。
- 不静定構造の解法としてたわみ角法、固定モーメント法を解説しております。手計算で不静定構造を解けるようになることは大切なことです。不静定構造が解けるということは、構造骨組の中を力がどのように伝わるのかを理解することにほかなりません。計算機がすべてをやってくれるまことに便利な時代になりましたが、そんな時代だからこそ、力の伝わり方を理解できるようになっていただきたいと願います。
- 本編は四則計算のみで解説をしています。文系、デザイン系の方にも学習していただけますよう配慮いたしました。
- 本編中に現れる重要な式は公式として紹介しておりますが、向学心旺盛な読者のために公式がどのようにして導かれたのかを本書の最後に附録として収めました。ここでは、微分・積分を積極的に使っております。微分・積分の基礎的内容から解説を始めておりますので、ぜひこの機会に微分・積分にも挑戦してみてください。
本書がみなさんの目標達成の一助となりますことを心より願っております。
末筆ながら、本書作成に多大なご尽力をいただきました学芸出版社知念靖広様、中木保代様、市場調査をもとに本書内容にご意見をいただきました学芸出版社村井明男様、いつも親しみのあるイラストで本書を飾っていただいております野村彰様、作成にあたりご意見をいただき、いつも激励していただきました京都工芸繊維大学教授森迫清貴先生、この場をもって厚く御礼申し上げます。また、読書の皆様には多くの励ましのお便りをいただきました。厚く御礼申し上げます。大きな励みとさせていただきます。ありがとうございました。
平成23年10月
浅野 清昭