図とキーワードで学ぶ 建築設備
内容紹介
設備総論、空気調和設備、給排水・衛生設備、電気設備、省エネルギー技術、消防・防災・バリアフリー設備、そして設備図面の描き方について、図とキーワードで解説した。さらに、資格試験に出された問題を取り入れ、理解チェックを図れるよう工夫した。建築設備の基本知識が体系化され、その面白さが実感できるテキスト。
体 裁 B5変・192頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2498-2
発行日 2010/12/10
装 丁 KOTO DESIGN Inc.
1章 建築設備 概論
1‐1 室内に、清浄で快適な空気が届くしくみ
1‐2 安心・安全な水を享受し、滞りなく放流するしくみ
1‐3 照明や電気製品を存分に使うためのしくみ
1‐4 建築設備と地球環境
〔コラム1〕 建築設備の勉強のポイント
2章 空気調和設備
2‐1 いろいろな空調方式
(1)中央熱源方式
(2)個別熱源方式
2‐2 冷凍機と冷却塔
(1)中央熱源方式に使われる冷凍機
(2)個別熱源方式に使われる冷凍機
(3)冷却塔のしくみ
2‐3 ボイラー
2‐4 送風機とダクト
(1)送風機とダクトの構造
(2)圧力損失
2‐5 吹出口と吸込口
2‐6 熱交換器
2‐7 換気設備
(1)混合換気、置換換気
(2)風力換気、温度差換気
(3)機械換気の方式
2‐8 空気の状態変化
(1)湿り空気線図の読み方
(2)冷暖房時の空気の状態変化
2‐9 クリーンルーム
〔コラム2〕 冷房を「4点」で考える
3章 給排水・衛生設備
3‐1 給水設備
(1)給水システム
(2)注意点
3‐2 給湯設備
3‐3 衛生器具
(1)便器
(2)衛生器具の構成技術
3‐4 排水・通気設備
(1)建物内配管
(2)阻集器、ます
3‐5 排水処理・排水再利用
(1)雑用水システム
(2)BOD・COD・SS・DO
3‐6 ガス設備
3‐7 配管材料
3‐8 集合住宅の給排水・衛生設備
〔コラム3〕 ポンプの「揚程」とは
4章 電気設備
4‐1 受変電設備
(1)電気の引き込み
(2)変圧器とは
(3)キュービクル
4‐2 契約電力
(1)需要率、負荷率、不等率
(2)契約電力の概算方法
4‐3 電気配線
(1)建物内配線
(2)電線と電線管
4‐4 動力設備
(1)三相誘導電動機のしくみ
(2)減電圧始動方式・接地工事
4‐5 照明設備
(1)照明の基礎
(2)ランプの種類
4‐6 情報通信設備
(1)電話交換設備、インターホン設備
(2)LAN、テレビ共同受信設備
4‐7 避雷設備
4‐8 搬送設備
4‐9 発電設備
4‐10 蓄電池
〔コラム4〕 フェルミ推定とは
5章 省エネルギー・保全・管理
5‐1 室内気候と気象
(1)温熱環境評価指標
(2)デグリーデー、TAC温湿度
5‐2 省エネルギー手法
(1)パッシブシステム
(2)熱負荷削減
(3)蓄熱式空調システム
(4)コージェネレーションシステム
(5)省エネルギー給湯
5‐3 省エネルギー基準
5‐4 CASBEE
5‐5 エネルギー消費の実態
5‐6 保全・管理
〔コラム5〕 列車の空調排熱とホームの熱環境
6章 消防・防災・防犯・バリアフリー
6‐1 消防設備
(1)消火設備の考え方
(2)屋内消火栓設備
(3)スプリンクラー設備
(4)その他の消火設備
(5)連結送水管・連結散水設備、ドレンチャー設備
6‐2 防災設備
(1)自動火災報知設備
(2)排煙設備・加圧防煙設備
(3)非常用照明設備、非常用放送設備
6‐3 防犯設備
6‐4 バリアフリー設備
〔コラム6〕 遮熱フィルムの熱負荷削減効果
7章 建築設備計画図
7‐1 水蓄熱空調システム配管系統図
7‐2 氷蓄熱空調システム配管系統図
7‐3 コージェネレーションシステムとの連係による空調配管系統図
7‐4 飲料水給水・給湯配管系統図
7‐5 雑用水給水・排水配管系統図
7‐6 空調ダクト計画図
7‐7 換気ダクト計画図
7‐8 給水・排水・通気 配管計画図
7‐9 空調および電気設備計画図
7‐10 単線結線図
7‐11 機械室配置計画図
7‐12 建築設備の基本計画
〔コラム7〕 「資格試験」で自分を磨け!
資料:湿り空気線図
索引
参考・引用文献
建築物を快適に、永く使い続けていくために、建築設備はなくてはならない存在である。長い歴史の中で人々が培ってきた一つ一つの建築設備技術をひもといたとき、無味乾燥に思える機械室設備群の価値を実感できるであろうし、また、設備設計の緻密さにロマンを感じるのではないか、とも思う。
本テキストは、大学や専門学校などで建築設備を学習する学生諸氏のために執筆した。全7章において、建築設備総論、空気調和設備、給排水・衛生設備、電気設備、省エネルギー技術、消防・防災・バリアフリー設備、そして設備図面の描き方について、順次、詳細な解説を試みた。また、将来の建築士試験などをもにらみ、各種資格試験に出題された問題になじむ工夫も取り入れた。全148問を掲載しており、これらを確認するだけでも相当な実力となるであろう。
筆者の大学における建築設備の授業の経験からいえば、初学者は、個々の知識をバラバラに記憶しはじめるのではなく、まず最初に、建築設備の全体像をイメージすることから始めるべきであると考えている。そのため、導入部では、空調、給排水、電気設備をまず描いてみる、というスタンスで解説を始めている。さらに、最終章において、建築設備設計の基本コンセプトをまとめ上げるプロセスにも言及した。本書を精読することによって、建築設備の基本知識が体系化され、また、建築設備のおもしろさを実感できると考えている。
身近な設備見学会の機会があるならば、ぜひ積極的に参加され、本書の知識をより確実なものとしていただきたい。また、自身の建築設計作品に建築設備を落とし込みながら、実践的に理解を深めていただけたら、と思う。そして、我々の住む地球環境を守る立場から、建築設備を適切に設計し運用していくことの大切さに、少しでも思いをはせていただけたなら、この上なく幸いである。
2010年10月
飯野 秋成
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