みんなのまちゼミ

みんなのまちゼミ 頼りにされるお店と街をつくる方法
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内容紹介

お店とまちのファンを増やす方法、教えます

商店主や店員などが講師となり、プロならではの知識を少人数・無料のゼミ形式でお客様に伝え、店とまちのファンを増やす「まちゼミ」。2003年に愛知県岡崎市で始まり、今や450地域、2000商店街、3万事業者にまで拡大中。しくみや始め方、続け方といった基本から、新事業展開や地域づくりまで、まちゼミのすべてがわかる本。


著者:松井洋一郎 取材・構成:山本明文
著者紹介

体裁四六判・240頁
定価本体1800円+税
発行日2023-09-15
装丁中川未子(紙とえんぴつ舎)
ISBN9784761513832
GCODE5672
販売状況 在庫◎
ジャンル 都市・中心市街地再生
目次著者紹介はじめにレクチャー動画関連イベント関連ニュース

はじめに お店とまちのファンを増やすコミュニケーション事業

第Ⅰ部 入門篇~まちゼミで商売の面白さを再発見しよう~

第1章 まちゼミを知ろう

・まちゼミはこうして生まれ、形作られた
・5つの波を経て全国へ普及・浸透
・なぜまちゼミは広がるのか、誰もが続けるのか?
・リーダーたちの登場こそ、まちゼミの最大の成果
まちゼミ物語「電動アシスト自転車」講座で大きな成果。だが本人は…?―北野義晴さん(大東まちゼミ)

第2章 初めの一歩を踏み出そう

・講演会、参加説明会、講座検討会、事前説明会でまちゼミを知る
・各事業所の立場でもう一度詳しく見ていくと
・ここまでやれば準備万端
・チラシは重要なPRツール
まちゼミ物語まちゼミで事業復活、新規開設も―北原清子さん(飛騨金山まちゼミ)

第3章 続け方と仲間の増やし方

・さあ、講座をやってみよう
・3年以内に2つのヒット講座を
・いくつも試して、その中から長続きし売上につながる講座を見つける
・再来店者を増やす3つの方法
・新規の事業者を増やすために
・PDCAを回せ!続けるほどノウハウが蓄積する結果検証会
・支援者の役割を理解し、まちゼミを発展させる
まちゼミ物語若い層と新規事業者に響いた「ガイドブック」―今井治さん(八王子まちゼミ)

第Ⅱ部 発展篇~まちゼミで店と街を変えていこう~

第4章 より深く、より強固につながっていくために

・お客様とつながり、固定ファンを獲得する
・大胆な試みでまちゼミを活性化
・新商品、新サービス、新規事業への展開
まちゼミ物語まちゼミで磨いた「講座」をビジネスに。さらに事業継承も―吉田幸果さん(川越まちゼミ)

第5章 まちゼミが地域を強くする

・まちゼミから発展、新イベントへ―まちをつくるまち商人たち
・支援者も地域を変えていく
・立ちあがった地域ブランド―高橋由記子さん、古田昌也さん(さつまdeまちゼミ)
まちゼミ物語小学生といっしょに商店街の課題解決―松野良明さん(生麦deまちゼミ)

第6章 「全国一斉まちゼミ」で新次元に

・新型コロナでまちゼミは滅びる!?
・オンラインまちゼミで復活
・ついに「全国一斉まちゼミ」開催
まちゼミ物語新地平を拓いた「ながさき県下一斉まちゼミ」―松尾康正さん(新大工まちゼミ)

おわりに

松井 洋一郎(まつい よういちろう)

1968年愛知県岡崎市生まれ。株式会社みどりや専務取締役。専門学校卒業後、OA機器販売会社を経て、家業である化粧品専門店 株式会社みどりやに入社。岡崎まちゼミの会代表、株式会社まちづくり岡崎の代表取締役として、「まちゼミ」を中心に岡崎でさまざまなまちづくり施策に取り組む。また、内閣府 地域活性化伝道師、経済産業省 タウンプロデューサーとして全国各地の中心市街地・商店街の活性化に関わっている。著書に『まちゼミ さあ、商いを楽しもう!』(商業界)、共著書に『100円商店街・バル・まちゼミ お店が儲かるまちづくり』(学芸出版社)。

(取材・構成)

山本 明文(やまもと あきふみ)

ルポライター。大学卒業後、出版社勤務を経て独立。主にビジネス、地域活性、科学技術の分野で執筆。著書に『多摩のものづくり22社』『千葉の注目20社』(ダイヤモンド社)、『12人の優しい書店人』『誰かのためにできること』(商業界)、『日本の保健所・検疫所』(コープ出版)など。取材・構成に『まちゼミ さあ、商いを楽しもう!』(商業界)。

はじめに~お店とまちのファンを増やすコミュニケーション事業の実践~

まちゼミの勢いがとまりません。
店主や店のスタッフたちが講師となって、地域の消費者を対象に行う無料講座、まちゼミが始まって20年。
まちゼミは、いま全国47すべての都道府県へ広がり、450地域の約2千の商店街で取り組まれています。参加している店舗は推定3万店におよびます。
厳しい状況にさらされている全国の商店街ですが、まちゼミに取り組むことで、店には再びお客様が訪れるようになり、店主やスタッフは元気を取り戻しました。地域に根を張る事業者のみなさんが、頼りにされるお店になろうと、意欲と気力を振り絞り、地域全体の活気を高めようとしていったのです。
かく言う私の地元、愛知県の岡崎がまさにそのような状況です。
かつての岡崎の中心市街地では、閉店、撤退する店が相次いでいました。どんな手を打ってもその流れを変えることができず、このまま商店街はなくなってしまうのだろうかと、私自身、首をうなだれる思いをしたことは一度や二度ではありませんでした。
しかし、そんな憂いを一掃させてくれたのがまちゼミでした。
2003年、愛知県の岡崎で初めてまちゼミが行われた時、参加した店舗はわずか10店、受講者は190人でした。
それから20年が経った2023年春現在、岡崎まちゼミに参加する店は100店以上、受講者は1000人を超えます。まちのにぎわいの復活は、もちろんまちゼミだけの成果ではありませんが、あれだけ空き店舗が目立ち、寂しかった岡崎の商店街に、新しい店がオープンし始め、いつしかかつての人通りが復活してきたのです。
店主やスタッフの多彩な努力、地域産業の復興を支えてきた自治体の人々、まちづくりを仕事とする人たち、もちろん住民のみなさん……。地域を思うあらゆる人たちの、あらゆる努力と取り組みの末に成し遂げたことです。
しかし、その中でも、まちゼミが大きく貢献してきたことは間違いありません。
まちゼミによって「商売の面白さを思い出した」という店主やスタッフたちが続々と現れました。直接、消費者の方々と触れ合う機会ができたことで、各店では、品揃えを変えたり、売場を新しくしたり、サービスを工夫し始めました。あれもこれもやりたいと、店主たちにとってやりたいことはどんどん膨らみ、実際にお客様が来店するようになり、売上もあがっていきました。
まちゼミの開催のため店どうしで連絡を取り合うようになると、みな、自分の店だけでなく、商店街全体のことを、気にかけ始めました。図書館や小中学校などとの付き合いも始まり、みな、まち全体、地域全体のことを考え始めたのです。
そしてみな、この地域で自分がなぜ店を開き、商売を続けているのか。その意味を考えるようになりました。
地域全体を見る目を持つようになった店主たちは、「まだまだやれることがある」ことに改めて気づきました。そうして、やればやるほど、地域での店と自分の役割を理解していったのです。
引退しようと考えていた店主が、まちゼミに取り組むことで、もう一度、商売をやってみようかと考え直しました。まちゼミを機会に、それまでやったことのなかった新しい分野の商売を始めた人もいます。まちゼミに取り組む店主たちに背中を押され、新しく店を開業した人もいます。後継者が現れた店もあります。店主はうれしそうに若い後継者に仕事を教えています。
2019年末から世界的な流行を見せた新型コロナウイルス感染症は、店内で講座を開くことを基本としていたまちゼミにとって大きな打撃をもたらしました。実際、全国の4割ほどのまちゼミが、開催を取りやめたり、延期したりしました。
しかし、だからといってみなあきらめたわけではありませんでした。感染対策のために活発に情報交換をし、人を集めなくともできる方法はないかと必死で考えました。知恵を絞って生まれたのがオンラインまちゼミです。Zoomを使って講座を行うのです。
まちゼミの受講者の多くの方は60代、70代の方です。講師を務める人たちだって高齢の方はたくさんいます。「本当にできるのだろうか」という不安でいっぱいでしたが、現実は「案ずるより産むが易し」です。
各地でITに強い人たちを中心にみな勉強を始めると、店主もスタッフも受講者もZoomを使いこなせるようになりました。以前から、全国の商店街ではまちゼミの連絡のためにフェイスブックが使われていましたが、コロナ禍により、いっそうネットのツールの利用にはずみがついたのです。
ネットを使えば遠方の人たちともたやすくコミュニケーションがとれると気づいた店主たちは、さらに地域の輪を広げ、各地で地域連携を始めました。各地で同じような取り組みが広がっていった結果、2022年秋、ついに「全国一斉まちゼミ」が実現しました。一定期間に、全国各地でいっせいにまちゼミを行う企画です。まだコロナ禍により、世の中には不安が渦巻いている中での開催でした。
コロナはまちゼミにとって絶体絶命のピンチでしたが、まちゼミをやめたくない、諦めたくないと知恵を絞りに絞った事業者たちが、大きなチャンスに変えたのです。まちゼミは一躍、世の中に知られ、大きく飛躍することになりました。
いまこの瞬間でも、まちゼミはどんどん進化しています。
本書では、前半は、まちゼミを実践するための基本的な原則から始め、後半には、現実に起きている成果、最新の取り組みをお伝えしていきます。また、最終章では、新型コロナという大きな壁が立ちはだかる中、「全国一斉まちゼミ」実現のために関わった人たちの奔走の様子をお伝えします。
まちゼミに取り組むことで私自身大きく変わりました。全国を飛び回り、各地のまちゼミ関係者とお会いするたびに大きな刺激を受けます。各地では実に多様な取り組みがなされていますが、それでもどんどん新しいことが始まっているのです。
まだまだやれることはある。私自身、全国でまちゼミに取り組む方々にお会いするたびにそう気づかされます。そんな私の驚きや興奮も、本書を通してお伝えできれば幸いです。
これからまちゼミを始めようとしている方も、また、すでに何度もまちゼミを経験してきた方も、ぜひ、本書に目を通していただければと思います。まちゼミが持つ大きな可能性に、改めて気づいていただけるに違いありません。
そして、あなた自身が発火点となり、店を変え、まちを変え、地域を変えていく、そんな一人にぜひなってください。ともに手を携え、店を、地域を変えていきましょう!

2023年秋 松井洋一郎

開催が決まり次第、お知らせします。

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