ROOM 測って描いたインテリアデザイナーの部屋72
内容紹介
家への飾らない拘り、愛情溢れる間取り図集
デザイナーたちの住まいを実測スケッチで再現。住人が大切にしている家具や雑貨、食事など暮らしぶりの記録には、プロならではの設えは勿論、住まいへの飾らないこだわりと愛情が溢れ出る。一人暮らし、二人暮らし、三人以上の住まい別に、住宅・インテリア関係者をはじめ、住まい好きなら誰でもほっこり楽しめる間取り図集
はじめに
手で測って描くことのススメ
●1人暮らし Room for One
#01 偏愛的趣味の部屋
#02 好きが凝縮された部屋
#03 エスニックな部屋
#04 ナチュラルーム
#05 DIYルーム
#06 置きものたちと暮らす部屋
#07 ほぼバルコニー
#08 ええかんじの部屋
#09 吹き抜けブロックルーム
#10 趣味を愛する秘密基地
#11 ミニマリストのメゾネット
#12 読書家の住処
#13 ビッキーの男の部屋
#14 単身赴任の部屋
#15 サボテンと暮らす部屋
#16 音人の住処
#17 「マフィア」の住処
#18 ミニマルシェアハウス
#19 スパイスの効いた北欧家具の部屋
#20 シェフ’s ルーム
#21 THE・女子の部屋
#22 料理系男子の住処
#23 音人の住処2
#24 細ながーい部屋
#25 ギタリストの住処
#26 愛しい家具に囲まれた家
#27 青いラグの部屋
#28 イケてるプリンスキャッスル
#29 和室とテラスがある家
#30 こだわり屋の部屋
#31 都心の景色と暮らす部屋
#32 はじまりの住処
●2人暮らし Room for Two
#33 アウトドア夫婦の住処
#34 湘南ベース
#35 愛猫家のダンディハウス
#36 チェアコレクターハウス
#37 北欧家具と愛犬ジジの家
#38 スカイツリーが見える部屋
#39 酒蔵の家
#40 ひとつなぎのワンルーム
#41 心地よいこだわりの部屋
#42 TATAMI のある部屋
#43 太陽の塔が見える部屋
#44 偏愛的趣味の部屋2
#45 いい夫婦の部屋
#46 嗜好の住処
#47 毎日温泉に入れる家
#48 スキップフロアの家
#49 坪庭とガレージのある住処
#50 天窓から空が見える家
#51 スパイス香るヴィンテージハウス
#52 運河を臨むリノベルーム
#53 彫刻家とデザイナーの住処
●3人以上の暮らし Room for Three and More
#54 京の家
#55 緑あふれる家族の拠所
#56 5人と2匹の憩いの住処
#57 ホワイトハウス
#58 丁寧な暮らしの部屋
#59 スイートなホーム
#60 狭小敷地の積層の家
#61 白とRANCHUの家
#62 カフェのある家
#63 高台のテラス
#64 テラスに挟まれた部屋
#65 趣味没頭 実家部屋
#66 和洋混沌ルーム
#67 ゾウさんとキリンさんとミツさんの家
#68 超建築家的住処
#69 スカイツリーが見える部屋2
#70 特大リビングハウス
#71 自然を楽しむ大きな窓の家
#72 紫の住処
おわりに
この本のスケッチは、55人のインテリアデザイナーが同僚の部屋を実際に訪ね、測って描いたものです。もともとは、若手の表現力トレーニングを兼ねて始めた社内報「NSD+」での企画でしたが、スケール感の習得やレイアウトの把握だけが目的ではなく、先輩やその家族と接し、日常の中で、住む人が何を大切にしているか、こだわりがどこに表れているかを、会話しながら探り当てることも期待していました。
それは形として目に見えるものだけではなく、同僚をもてなす行為や料理を準備してくれた時間、共に働いた記憶の中にあるものかも知れません。先輩達の日常のこだわりが、デザイナーとしての人格や哲学にどう結びついているかを考える機会にもなります。そして、そこから得られる気づきが「発想力の源」として培われるのです。
あらためてスケッチを見返すと、結婚したり引っ越ししたり、家族の状況や人生のステージにあわせて住まい方を更新していく様子が見て取れ、デザイナーたちの住まい手としての成長も強く感じます。
スケッチは上手さより、たとえ不器用であっても、自身の発想をいかに訴えられるかが大切です。テクニックを習得すれば上手くはなりますが、創造力や発想力の表現手段とは別ものです。著名デザイナーや有名建築家のスケッチに共通していることは、独特な味わいと深みがあって、見る人の心に強く刻まれることです。その域に達することが一流デザイナーの証とも言えるでしょう。
本書でも、特別な何かを発見した訪問者のスケッチ画には、一際力の込められた表現がどこかにきっと隠されているはずです。読者の皆さんも、楽しみながら一緒に探してみませんか?
株式会社日建スペースデザイン
代表取締役社長 大久保 豊
手で測って描くことのススメ
デザイナーとは、鋭い感覚で時代や社会をリードする人たちのひとり。感動をつくり出すには「まず手で考える」ことが大切です。
だから本書のように、仲間が縮尺50分の1でお互いの部屋を描き合うことや、また描かれたものをみんなで見て「ふーん」と思う機会は貴重です。仲間の部屋と比べて「これでも意外に広いんだ」とか「ここは狭いけどもっと工夫ができるな」「あの人のこだわりはここにあるのか」などと思うことは、スケール感が磨かれて仕事に役立つばかりでなく、同僚や先輩たちの生活ぶりをのぞき見ることにもなるからです。
インテリアデザインとは内装や家具ばかりではなく、すべての環境を考えることです。デスクの上の器物や建物の外観、街のつくりやファッションも、私たちは区別なくその中にいて、そんな世界をトータルに提案しなければなりません。描くことでそれがわかります。
私自身、国内外で泊まったホテルのゲストルームをメジャーで実測し、レターペーパーに手描きして着色するという変わった趣味を40年も続けていて、いまや相当な数になります(詳しくは『測って描く旅』(彰国社)または『旅はゲストルーム』(光文社・知恵の森文庫)をご参照ください)。
ホテルと住宅は大きく異なりますが、どちらもヒューマンスケールが最大の拠り所となっている点は共通しています。
仕事の図面はCADでなければもはや通用しませんが、手描きのスケッチはその何倍もの情報量に溢れています。
とても恥ずかしいのですが最近「ウラカズヤごっこ」なる遊びがあると聞きました。自分の部屋や家具や備品をメジャーで実測して手で描くことのようです。
遊びはともかく、測って描きましょう!
自分や友人の部屋を手で測り描くことで共通するもの、相違点などを発見し、そこから新たな創造の端緒を見出せるようになります。
浦一也デザイン研究室
浦 一也(元日建スペースデザイン代表)
開催が決まり次第、お知らせします。