建築のウンチク


山田 修 著

内容紹介

身近な建築の不思議を歩いて探った面白雑学

「ふすま・障子はなぜ右手前か」「ネクタイのストライプは右上がり左上がり」日常の習慣と割り切り、何故そうなったかを見逃しているものにこそ、建築の根本原理や発想、面白さが隠れている。長年建築教育に携わってきた著者が、建築へのつきない問いを探って町中を歩き回り、建物にまつわる不思議・物語を集めたオモシロ雑学。

体 裁 四六・208頁・定価 本体1800円+税
ISBN 978-4-7615-1197-5
発行日 2005-01-30
装 丁 上野 かおる


目次著者紹介まえがきあとがき書評

はしがき

第1章 ふすま・障子はなぜ右手前か

1 人は右手が利き手である
2 着物はなぜ右前に合わすか
一口メモ1 新郎は新婦の右側に位置する
3 時には左前が優先の理由
一口メモ2 大きな内裏ビナ
4 ふすまの作法と自転車の乗り方
5 洋服のボタンづけは右か左か
6 電燈のスイッチは右手を使う
一口メモ3 大きな三枚引違い扉
7 左脳と右脳の働きは?
8 蚊とり線香は右巻き左巻き?
9 シメ縄の根元は右か左か
10 鬼門はなぜ嫌われるのか

第2章 建築物は法の傘下で建っている

1 建築の法律への入門話
2 法令用語はむずかしい
一口メモ4「が」と「は」の一字ちがいは
3 法令集はタテ書きかヨコ書きか
4 法文の成り立ちと構成は
一口メモ5 建ぺい率ものがたり
5 法令集は怒りをこめて読め
6 建築基準法とはこんなモノ
7 道路は住宅の中廊下?
8 みなし道路の幅員は
一口メモ6 ヌレ縁ものがたり
9 民法とはこんなモノ
一口メモ7 住宅品確法の性能表示制度
10 境界線をめぐるトラブルの話
11 所有権に時効制度があるの?
一口メモ8 ホルムアルデヒド物語

第3章 45度の斜線は建築の核である

1 コンクリートの記号は三本線
一口メモ9 コンクリート物語
2 三角形は安定を生む
3 トラスは三角形の連続体
一口メモ10 キングポストトラス物語
4 屋根の勾配は45度がよい
一口メモ11 遺芳庵の小さな茶室
5 厳島神社配置に見る斜線
一口メモ12 カエルまた(蟇股)ものがたり
6 わが家でピタゴラスの定理を見つけた
一口メモ13 玄昌石ものがたり
一口メモ14 ピタゴラスの定理に思う
7 ネクタイのストライプ斜線
一口メモ15 ネクタイ物語
8 案内図に見る斜線
9 料理に見る斜線
一口メモ16 木造建築の遣方とイスカ切り
10 阪神大震災を思う
一口メモ17 五角斗ものがたり

第4章 頭の体操をしよう

1 階段の設計をしよう
一口メモ18 階段(快談)ものがたり
2 バルコニーの機能は
一口メモ19 出窓の効用
3 用語の定義に挑む
一口メモ20 傾斜したときの地盤面は
4 民法の例題は
一口メモ21 学校の規則に思う
5 橋の構造物を解明する
一口メモ22 三ヒンジアーチを軽く見せる
6 木造の梁の設計は

あとがき

山田 修(やまだ おさむ)

大阪市立大学生活科学部・大阪市立デザイン教育研究所講師
韓国古文化研究会・修(しゅう)建築事務所主宰
伊丹市図書館協議会委員
日本建築学会・日本建築協会・大阪府建築士会の役員・委員をなす。

著 書:

「だれにもわかる建築法規の実際」オーム社
(日本図書館協会選定図書・全国学校図書館協議会選定図書)
「わかりやすい住まいの法律」相模書房
(朝日新聞で紹介され、八重洲ブックセンターで売り上げベストテン)
「建築法規読本」学芸出版社
(全国学校図書館協議会選定図書)
「韓国古寺探訪」学芸出版社
(日本図書館協会選定図書)
「韓国古刹ハイキング」相模書房
「韓国古寺探訪の魅力」学芸出版社
(韓国・ソウルの教保文庫でも発売)
「建築パトロール・新しい住まいの法律」相模書房
「やさしい建築の構造力学」オーム社
「やさしい建築の構造設計計算」オーム社
(中国・北京の科学出版社より翻訳出版:2000年)
「初めての建築数学」学芸出版社 など。

受 賞:

日本建築士会連合会長賞(1979年)、韓国観光公社賞(1987年)
釜山広域市建築士会功労牌(1998年)、駐大阪大韓民国総領事感謝状(2002年)

作 品:

大鹿の家・羽曳野の家・石切の家(以上、雑誌「新住宅」に掲載)
島定商店ビル(伊丹市)など。

読者の皆さん!『ふすま・障子はなぜ右手前か』と、考えたことがおありでしょうか?

わたしは『建築関係法令集はどうして薄くできないのか』と、いつも考えてきました。世の中は、すべてのモノがよりコンパクトに、より軽く進化していくのに、法令集だけは「より複雑に、より重く」なっていきます。不思議な現象です。「法は簡単なモノほど良い」という鉄則を忘れた進み方には、悩んできました。

また『ネクタイのストライプは右上がりか左上がりか、その角度は何度か』と思いあぐね、眠れなくなった経験は、おありでしょうか? わたしは体験しました。
以上の三句をバカバカしきことなり、と侮るなかれ。実は、日常の習慣と割り切り、なぜそうなったかを見逃しているモノに、建築の根本原理や発想、そして面白さが隠されているのです。

筆者は、これらのモノを検証すべくマナジリを決して町中を歩き回り、建物にまつわる物語を探ってみました。とくに実例写真の収集には一苦労しております。
当本は、建築業界の初心者はもとより、すべての人びとに読んでいただきたく、建築面白読物を目ざして無我夢中で制作した小説風?の工学書です。

読者の皆さんには、ページに関係なくお好きなところよりお読みくだされば幸いです。一口メモだけを一瞥くださっても結構ですよ。

さらに欲ばって、建築関係者はもちろん一般の方がたに「頭の体操」をしてもらうため、建築士用に似せた演習を用意してみました。一度、チャレンジしてみてください。間違ってもよいのです。人間は、間違いを重ねながら成長していく動物ですから……。

最後になりましたが、本書を制作するに当たり、何かとご苦労をおかけしました㈱学芸出版社取締役編集長の吉田隆氏・同編集部の越智和子さんには深謝もうしあげます。
ありがとうございました。

2004年12月
山田 修

読者の皆さん! 楽しくお読みいただけましたでしょうか。案じております。
この本は、最初「初めての建築知識」として初学者向きの話題を揃えていました。次に「建築レシピ」と名を変えて45°方向に進路を転換します。三度目は90°回転して本題のようになりました。

編集者とわたしの間では、何度もやりとりがあり、思ったより多くの時間を費やしました。モノを造りだす苦しみに、楽しみながら耐えていた、ということです。

校正をやり終えたときは、肩から力が抜けていきました。それは、読者に対する責任を感じていたからです。「いい本を作りたい」「面白い工学書をめざしたい」は、わたしの長年の願望でした。体験を重ねて、やっとこんな本が作れたかなァーと、思っております。

本造りには、知力・知恵が必要ですが、それ以上に体力・耐力がいることを今さらのように痛感しています。

読者の皆さんも、知力・体力・耐力の訓練を積まれ、さらなる向上と発展をされることを、感謝の念と共にお祈りしております。

『新建築住宅特集』((株)新建築社)2005. 4

駄洒落のようなタイトルからも察せられるように、数字や表が並んだいわゆる工学書らしいところは全編を通じてほんのわずかで、著者いわく「小説風?の工学書」が目指されている。「ふすま・障子はなぜ右手前か」から始まりモノゴトの右・左について語られた章、境界線についてなど建築法規を平易に述べた章、建築において何かとお世話になる三角形や45度に関する章、最後に建築士試験を想定した「頭の体操」の章、という章立てで、雑多な内容が束ねられている。ネクタイの斜線の柄や洋服のボタン穴についてなど、一見建築と関係ないような身近なものの観察を含むウンチクや、根気づよく歩いて集められた実例写真が楽しい。

『室内』((株)工作社)2005. 3

著者の山田修さんは、建築・設計業に永く携わってきた。その中で、建築関係の法令集はどうしてこんなに分厚いのかと、永年思っていたという。近ごろ世の中で人気を集めているTVや携帯電話、そして家具は、よりコンパクトで、軽量化を目指している。それなのに、法令集だけは、より複雑により重くなっているからだ。そこで、法の意味や起源を簡単に説明し、もっと建築を身近に感じてもらおうと本書をまとめた。

「ふすま・障子はなぜ右手前か」「建築物は法の傘下で立っている」「45度の斜線は建築の核である」「頭の体操をしよう」と題して、4章に分かれている。いずれの章も、日頃の習慣を取上げ、その中に秘められた建築の根本原理や発想を解説する。

山田さんが町中を歩き回って探した実例写真も数多く収められているのがいい。一見どこにでもある建物ばかり。けれど実は、どれにも興味深いエピソードが詰っている。

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