建築工事の祭式
地鎮祭から竣工式まで


あとがき


 長い1年間でした.昨年11月,同じ職場の出版小委員会委員長仲本尚志氏から本書の出版協力の依頼を受け,日本建築協会出版委員会に参画し,原稿作りと編集に精力を傾けて来ました.ここで本書の企画から出版に至る経緯を簡単に振り返ってみたいと思います.
 平成12年6月に発足した出版小委員会に11月から参画し,本書の構成と原稿作りに着手しました.各社より祭式の事例並びに関連資料や原稿の提供を受け,同年12月に本の構成についての概要を決定しました.以後の実質的な編集作業は,仲本尚志小委員会委員長,樋口勲委員と松尾の3名で進めて来ました.編集に当たり,この本に盛込みたかった要点は次の2点です.
 まず第一は,建築の祭式を建築主,設計者,施工者など読者の目でとらえ,系統立ててわかりやすく,読みやすくすること.そして読者にとっての最小限の基礎知識が得られる本にしたいということでした.そこで,内容の記述の手順に気を配りました.
 次に,建築の祭式と人々の生活との関係は暦や慣習,初詣・節分・宮参り・結婚式など身近な行事を通じて関連しており,歴史,民族,地域性に根差した共通項を持っていることを伝達したいということでした.難解な儀式も日常生活の慣習とつながっている面があります.
 編集担当者としてこの本に寄せる期待は,まず祭式の組立てが単純な原理に基づいており,それがわかれば全体像が理解しやすいこと.祭式の表層の所作がその意味と結び付けて理解されること.祭式関係者の基礎情報となること.建設会社の祭式実務担当者が編集に参加したことにより,現実に執行されている内容が記録されており,実務に役立つこと,などが挙げられます.ただし,内容の不十分な点や理解の足りない点については読者諸兄のご叱正をお寄せ頂きたいと思います.
 最後に,本書の出版に当たりお世話になった学芸出版社・吉田隆編集長,知念靖広氏,原稿資料の収集・整理作業での竹中工務店・上田晴司氏,表紙デザインのアドバイスをいただいた竹中工務店・堀口利晴氏,その他数多くの方々にこの場を借りて深く感謝致します.

平成13年 11月
「建築工事の祭式」出版小委員会
編集担当 松尾純二