建築工事の祭式
地鎮祭から竣工式まで


書 評


『新建築住宅特集』(叶V建築社) 2002.4
 建物が完成するまでにはいくつかの祭式が行われる。地鎮祭、上棟式などは建築に携わっていない人でも知っている習わしになっているが、大きなビルになると地鎮祭の後に安全祈願祭、起工式、立柱式、上棟式、定礎式、修祓式、竣工式、落成式、落成披露と10もの祭式が行われる。すべての祭式について通暁する必要はないが、その祭式が何のために行われるかを知っておくことによって、建物に対する理解がより深まると思われる。本来、祭式は建築主が行うのだが、実際には施工者側が代行させることが多い。本書に収められた「実務マニュアル」と英文での祭式の紹介は、実務者にとって役立ちそうなページである。


『建築士事務所』((社)日本建築士事務所協会連合会)  2002.3
 建築工事の祭式の概略を写真やチャート図などを使ってわかりやすく解説する本書は、関係者と神職の入念な打ち合わせ、隅々まで行き届いた設営、参列者への心配り、これらについて長年にわたる経験に基づき蓄積されたノウハウを各社が持ち寄り、惜しげもなく披瀝したものである。祭壇の具体的事例、祭場設営レイアウト、事前準備のチェックリスト、挙行時の司会者の対応、用語集など、実務マニュアルとして常備しておきたい一冊。


『新建築』(叶V建築社) 2002.2
 ときに地鎮祭などの建築工事の祭式風景を見かけることがある。21世紀に入った今もそれは受け継がれている。祭式は広く関係者のコミュニケーションの向上を促す意味も含まれていよう。そのうえでも祭式は滞りなく進めたいもの。本書は建築祭式を図面やチャートなどを使って解説したもので、実務マニュアルとしても、祭場設営レイアウト、事前準備のチェックリスト、用語集などが掲載され、実用的なものとなっている。


『室内』(轄H作社) 2002.2
 建物を建てるということは、神々が領(うしは)く土地に手を加えるということである。土地を領有するその神に許しを請うというおこない=祭式が、いまでも脈々と受け継がれている。大事な祭式であるからこそ、間違いがあってはならない。本書はその建築工事の祭式の概略を、写真やチャート図などを使ってわかりやすく解説したものである。間違えないためのただのマニュアルではない。なぜその祭式は執り行われるのか、その意味をきちんと理解した上でどのように進行すべきかが分かるようにまとめてある。
 編集委員は竹中工務店や松村組、熊谷組など複数の会社のスタッフから成る。「門外不出」になりそうなノウハウが多数公開されていること、自分たちの失敗を踏まえて編集されていることもあって、非常にわかりやすい。地方ごとのしきたりにもふれていて、たとえば個人住宅の上棟行事では5円玉をまく地域があれば、餅あり、50円玉あり、さまざまだ。実際にこの本が必要になってからあわてて読むのではなく、その流れを理解するためにもゆっくりと通読しておけば、気持ちよく地鎮祭から始められるはずである。
(登)








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