都市美の「発見」へ
「都市美」の理念とは何か
第1章 イタリアの都市美ルネサンス
──変わらない古典的な美意識 |
1 イタリアの三つの時代
2 ローマ帝国時代の都市美
3 中世の美学的始動―シエナ市の条例
4 ルネサンスの都市再生
5 近代都市計画における歴史地区の戦略
第2章 フランスの「都市の美化」
──理念の萌芽と発展 |
1 中世ロマン主義の功罪
2 フランス・ルネサンスと「都市の美化」の概念の萌芽―16世紀初頭から17世紀前半まで
3 古典主義期における「都市の美化」の概念の拡張と技法の洗練―17世紀中盤から19世紀前半まで
4 オスマンによる「都市の美化」の概念的・技術的完成―19世紀中盤から20世紀初頭まで
第3章 フランスの都市美保全施策
──その誕生と昇華 |
1 ユルバニスムの概念と都市美保全論の萌芽―20世紀初頭から中盤まで
2 「都市景観」の概念の萌芽と土地占用プラン―20世紀後半
3 「都市景観」から「オーダー・メイド」の街づくりへ―20世紀末
第4章 ドイツの国土美化と郷土保護思想
──美を与えることと美を見いだすこと |
1 「国土美化」前史―ドイツにおけるイギリスの庭園様式の受容
2 国土美化の提唱とその展開
3 工業化時代における国土美化の不振
4 郷土喪失と郷土保護
第5章 ドイツの都市条例
──建築外観規制による都市景観の形成 |
1 条例による建築外観規制の起源
2 条例による美観保護のための外観規制の発達
3 条例による都市の歴史的地区の保存
4 条例による都市景観の「継承」と「形成」、その発展と葛藤
第6章 イギリス田園都市の都市美思想とアメニティ
──美と都市計画制度 |
1 19世紀イギリスにおける工業化と田園美への回帰
2 田園都市とその空間美
3 アメニティ概念の登場と都市計画制度の発展
4 イギリスにおける都市美の復興
第7章 ベルギーの都市美運動
──個性ある町並みを求めて |
1 都市問題の解決と失われた町の個性
2 町の歴史の再発見
3 町の個性を活かした街路とオープンスペースの計画
4 個性ある町並みを求めて
第8章 スペインの都市美思潮とバルセロナでの展開
──形態美から公共空間の回復へ |
1 「平等な都市空間」形成の夢─セルダ計画をめぐる議論
2 「南のパリ」建設の夢─二つの万国博覧会 と「グラン・バルセロナ」
3 ガックパックとマシア計画─機関誌『AC』に見る都市美
4 開発至上主義と市民運動─旧市街と海岸線の再開発をめぐる議論
5 「ミクロな都市計画」による歴史的市街地の保全再生
6 形態美から公共空間の回復へ
第9章 アメリカのシティ・ビューティフル運動
──都市の美しさを追求した市民と専門家たち |
1 都市美運動の再評価
2 都市美運動の先駆者フレデリック・ロー・オルムステッド
3 都市美運動の指導者ダニエル・バーナムとチャールズ・ロビンソン
4 都市美運動の隆盛
5 都市美運動の批判者ベンジャミン・マーシュ
6 都市美の守護者チャールズ・チーニー
7 都市美運動の継承者ロサンゼルス郡地域計画委員会
8 都市美運動から学ぶこと
第10章 アメリカの建築条例の起源と都市美
──建物高さ制限の成立・変遷に見る都市景観の理想と現実 |
1 シカゴにおける建物高さ制限の成立と変遷
2 ニューヨークにおける建物高さ制限
3 シティ・ビューティフルからシティ・プラクティカルへ
第11章 アメリカのニューアーバニズムが創造する都市美理念
──都市づくりの規範とプロセスから生み出される新たな価値 |
1 ニューアーバニズムの背景と活動
2 ニューアーバニズムの理念と手法
3 環境を創造するデザインの規範
4 ニューアーバニストの実践から学ぶ
5 明日の都市美に向けたニューアーバニズムのデザイン思想
第12章 日本の都市美運動
──市民社会への精神史 |
1 シビックアートと都市美運動
2 橡内吉胤の都市美運動
3 石川栄耀の都市美運動
4 都市美運動を回復することの意味
第13章 日本における風景認識の変遷
──近代における自然の風景の発見と価値づけ |
1 風景の獲得と風景の価値
2 日本における自然風景観の変遷
3 土地・生活と風景
第14章 都市美創出の道筋をたどる
──「都市美」とは何であったか、「都市美」とは何であり得るか |
1 都市にとって「都市美」とはいかなるものであったか
2 「あるもの」としての都市から「なるもの」としての都市へ
3 都市計画の成立と「都市美」の後退
4 20世紀半ばの「都市美」へのアプローチ
5 再び欧米での「都市美」「デザイン」「風景」への関心の高まり
6 欧米の議論から見えてくるもの─いくつかの対立項
7 私たちはこれからどのような「都市美」を目指すのか
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