職住共存の都心再生
創造的規制・誘導を目指す京都の試み


書 評



『建設通信新聞』 2003.3.28

歴史都市再生のヒント満載
 伝統的な町家が数多く残る京都の街にもマンションが相次いで建設されている。マンションが京都の景観を損ねている。
 だが、京町家は、見た目の美しさとは裏腹に、現代のライフスタイルに合わず、使い勝手が悪い。盆地で寒暖の差が激しく、京都の暮らしに慣れている人でなければ住みづらい。
 本書では歴史都市の再生は、東京や大阪の都市再生とは違い、人びとの営みを大切にしなければならないと指摘する。町家に住むには維持管理費もかさみ、木造であるため、耐震化、防災化が求められる。一個人で町家を再生していくには難しく、公的支援の必要性も述べられている。歴史都市の再生のヒントとなるはずだ。

『Argus-eye』((社)日本建築士事務所協会連合会) 2003.3
 歴史的集積を宣伝文句にしながら、それにただ乗りして自ら破壊するマンション建設が後を絶たない京都。そんな京都の危機に瀕する街を救うためには、都市計画は何をなすべきなのだろうか。規制緩和という流れに反して、あえて規制を強化する創造的再生への第一歩を踏み出す京都の試みをレポートする。編著者は京都大学大学院工学研究科教授で、「京都市都心部まちなみ保全・再生に係る審議会」に都市計画学識者として名を連ねている。
 同審議会の提言や具体的な都心再生の試み、経済同友会の提言、パネルディスカッションの内容など「文化と生活価値を育むもう一つの都市再生」のあり方、方向性を明らかにする。










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