都市交通のユニバーサルデザイン


書 評


『建築士事務所』((社)日本建築士事務所協会連合会) 2002.4
 今日の都市はトータルな交通計画の欠如から高齢者や障害者にとって移動しやすいまちになってはいない。
 移動性の確保には公共交通をはじめとした交通手段の見直しが必要なのは言うまでもない。
 交通バリアフリー法からモビリティ社会へ。本書は都市構造の見直しから交通・社会システムのあり方、道路や車両・設備など、個々のパーツのデザインまで、欧米での事例や浜松市、小倉都心地区、さいたま新都心地区、湘南台、阪急伊丹駅、鎌倉といった国内の交通実験など、豊富な事例を駆使して提示する。巻末には、誰もが移動しやすい街を実現するための交通バリアフリー法など関連資料を整備。


『建設通信新聞』(日刊建設通信新聞社) 2002.2.12
 最近よく耳にする「ユニバーサルデザイン」「バリアフリー」などは、アクセシブルデザインの概念がなかったら、日本に輸入されなかったかもしれない。著者は前書きのなかでそう記している。
 いまの都市はトータルな交通計画が欠如しているため、高齢者や障害者にとって移動しやすい街になっていない。交通弱者にとっても楽に移動ができるように、公共交通機関をはじめとする交通手段の根本的な見直しが必要だ。
 ようやく交通バリアフリーへの流れが加速しつつあるが、なお不十分だ。何が足りないのか。理解度、意識度、資金といろいろと足りないものはあるだろう。欧米先進国との違いを探るには最適の1冊に違いない。


『地方自治職員研修』(公職研) 2002.3
 本書は、局部的な発想を超えることのできなかったこれまでのバリアフリーデザインの哲学をまち全体に広げ、都市設計、交通設計の考え方そのものに広げて論じる。それは単に車椅子利用者や視覚障害者、高齢者といった、特定の対象者を想定するのではなく、また移動の自由の確保から都市密度を高める方策へと発想の転換が提示される。段差をなくす、スロープを付ける、といった初歩的発想からはなしえない、国内外のまちづくりの実例もふんだんに紹介されている。








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