場のデザインを仕事にする
建築×不動産×テクノロジーでつくる未来
おわりに
「場のデザインとはどんな仕事なのか?」
「場をつくる会社にしよう!」と「ツクルバ」という社名をつけたものの、まず僕ら自身が自問自答しながら、「場のデザイン」という仕事をつくってきました。「こんなものがあったらいいのに」と社内の雑談から始まるプロジェクトや、他の会社から依頼をいただいて始まるプロジェクトなど、さまざまな種を蒔きました。そのうちのいくつかは芽が出ましたが、ちゃんと育つのは片手で数えられるくらいでした。そのくらいの確率です。でも蒔いた種の数だけ、自分たちが考える理想の「場」に形を与えてきました。
仕事は誰かに与えられるものではなく、自分でつくるものだと思います。自分から仕掛けていく仕事はわかりやすいですね。誰にもお願いされないわけですから、自分が動くしかありません。一方で、任されるところから始まる仕事もある。最初の仕事は小さくても、主体的に取り組むことで仕事の成果が信頼につながり、より大きな仕事が舞い込みます。未来にどんな仕事が待っているかは、過去の仕事次第です。つまり、どんな始まり方をするにせよ、未来の仕事は自分でつくるものなのだと思います。
同じく、場も与えられるものではなく、自ら参加してつくるものだと思うのです。楽しそうにしている人の近くには、楽しい時間を過ごしたい人が集まってきます。本気で仕事に情熱を注いでいる人の近くには、想いを共にする人たちが集まります。でも、人々が集まるきっかけをつくった張本人だけでは場になりません。そこに集まった人々が主体的に参加していくことで、そこに場が生まれていくものです。
「場をデザインすること」と「仕事をつくっていくこと」。自分から主体的に関わっていく姿勢は、この二つに共通していることです。
この本の始まりで、
あなたがつくりたい「場」はどんな場ですか?
そして、どんな「仕事」をつくってそれを実現していきますか?
そんなことを頭の片隅に考えながら、この本を読んでみてください。
と書きました。
つくりたい「場」を想像しながら、「仕事」をつくり、それを形にしていく。この本で書きたかったのは、そのプロセスです。ツクルバという会社を事例に、そのプロセスでどんなことを考えてアクションをしてきたのかをまとめました。それを参考にして、あなたが何か自分なりの一歩を進めてくれたとしたら、こんなに嬉しいことはありません。
最後になりましたが、この本を書くきっかけをいただき、編集を担当して下さった学芸出版社の宮本裕美さん、co-ba花巻で出会い編集協力をしていただいた北山公路さん、エッジの効いたブックデザインを手がけてくれた柴田慧さん、そして社内で出版プロジェクトを担当してくれた柴田紘之、多久美聡、ありがとうございました。それぞれの協力がなければ、この本は生まれなかったと思います。
「場の発明を通じて欲しい未来をつくる」という旗を掲げた僕らの旅は、まだまだスタートしたばかり。この本で書いた内容を越えて、もっと先を目指します。あなたの旅と僕らの旅が交差するところで、またお会いしましょう!
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