オランダの持続可能な国土・都市づくり

目次

はしがき

1部 国土づくりの歴史
1章 干拓と治水による国土づくり

1・1 低地の国・オランダ
1・2 干拓と治水の方法
1・3 集落コミュニティから都市自治体へ

2章 中世期の都市づくり

2・1 都市づくりのタイポロジー
  (1)堤防都市
  (2)堤防・ダム都市
  (3)海港都市
  (4)城塞都市
  (5)水面都市
2・2 干拓と治水で培われた文化遺産
  (1)計画と合意を重んじる精神的風土
  (2)空間形成をコントロールする制度

2部 膨張過程における都市の成長管理
3章 アムステルダムの都市拡張計画

3・1 都市成長の歴史的背景
  (1)シティコアとセンターの形成
  (2)3大運河の建設
  (3)都市の急成長
3・2 アムステルダムの都市拡張計画案
  (1)ファン・ニッフトリック案
  (2)カルフ案
3・3 住宅法から始まった空間計画制度
  (1)住宅法制定の社会的背景
  (2)総合的な住宅法
  (3)住宅法から空間計画法へ
3・4 時代区分別の市街地形成
  (1)ベルラーヘの南部拡張計画──第1期:系統的成長期
  (2)アムステルダム総合拡張計画──第2期:集中的成長期
  (3)ニュータウン政策──第3期:計画的分散期
  (4)コンパクトシティ策による都市再生──第4期:コンパクトシティ期
3・5 都市再生に向かうアムステルダム
3・6 成長管理を導いた要因

4章 多心型環状都市──ラントスタットにみる成長管理

4・1 国土計画と多心型環状都市──ラントスタットの位置づけ
  (1)ラントスタットの特異な形態
  (2)ラントスタット計画の背景
  (3)西部オランダ委員会報告──ラントスタット・ドクトリンの確立
4・2 国土計画の展開
  (1)ラントスタット理念の確認──第1次国土計画
  (2)集中的分散策──第2次国土計画
  (3)ニュータウン策──第3次国土計画
  (4)コンパクトシティ策──第4次国土計画
  (5)シティ・リージョンへ──第4次国土計画修正版(VINEX)
  (6)デルタ・メトロポリス構想──第5次国土計画
  (7)新自由主義路線への傾斜──国土空間戦略
4・3 ラントスタット・ドクトリンの確立

5章 成長管理を支えた空間計画制度の特徴

5・1 EU、国、州、自治体の空間計画制度
  (1)EU法とガイドライン
  (2)国の計画──中核空間決定と政策文書
  (3)州の地域計画──基本計画
  (4)自治体の計画──基本計画と土地利用計画
  (5)水管理委員会
5・2 3層レベル(国、州、自治体)の相互関係
5・3 協議型プランニング・システム
  (1)垂直調整
  (2)水平調整
5・4 3つの計画理念
  (1)ルール&オーダー
  (2)プランニング・ドクトリン
  (3)戦略的プランニング
5・5 戦略的プランニングの優位性
  (1)プロジェクト・プランと戦略プラン
  (2)テクノクラート型プランニングとソシオクラート型プランニング

3部 持続的発展をめざす挑戦
6章 住宅政策の改革──住宅協会の民営化

6・1 社会住宅の王国
6・2 社会住宅の歴史
  (1)社会住宅の始まり
  (2)戦後の社会住宅建設
6・3 社会住宅に関する国・自治体・協会の役割
6・4 90年代改革の社会的背景
  (1)増大する社会住宅関連支出
  (2)住宅不足解消とミスマッチの増大
6・5 改革への道程
  (1)ヘルーマメモが方向づけ
  (2)持家政策の推進
  (3)住宅協会の民営化
  (4)社会住宅管理運営令と住宅関連補助令
6・6 新たな課題への挑戦
  (1)残余化の進行
  (2)総合社会住宅計画の実施
  (3)居住地再生計画の展開
6・7 持家化社会への傾斜──2000年新住宅政策
6・8 オランダモデルの行方

7章 ベイルマミーア高層住宅団地の再生計画

7・1 入居後早くも“問題団地”に
7・2 ベイルマミーアの住宅地計画
  (1)立地選定
  (2)計画理念とハネカム型高層住宅
  (3)合意形成を欠いたマスタープランの作成過程
  (4)ベイルマミーア計画の概要と特徴
7・3 失敗の連鎖反応
  (1)問題が一挙に噴出
  (2)住宅嗜好・生活様式とのミスマッチ
  (3)計画・デザイン上のミスマッチ
  (4)国土計画上のミスマッチ
7・4 再生事業に至る経過
  (1)団地再生への道程
  (2)緊急対策の限界
  (3)抜本的再生への取り組み
  (4)再生の基本方針
  (5)統合的アプローチの手法
7・5 統合的アプローチによる再生事業
  (1)高層住宅の低層住宅への建替え
  (2)アムステルダム第2の都心建設
  (3) 住民の自立をめざす社会・経済的再生
  (4) 管理面での再生と住みやすさの向上
7・6 事業の評価と支援事業
  (1)住民の意向調査──満足度は高い
  (2)当局の事業評価──おおむね成功
7・7 再生事業支援の国施策
  (1)住宅協会の分割と自立
  (2)コンパクトシティ策の援用
  (3)大都市政策で社会・経済的再生

8章 国土生態系ネットワークによる自然回復計画

8・1 壮大な自然回復プロジェクト
8・2 自然衰退の現状と課題──半減した自然
8・3 3次にわたる自然政策計画の策定
8・4 生態系NETの空間システム
  (1)コアエリア
  (2)生態系開発エリア
  (3)管理エリア
  (4)生態系コリドー
  (5)バッファゾーン

8・5 生態系NET事業の実施例
  (1)工場を撤去して自然を回復
  (2)エコブリッジの設置で分断化を防止
  (3)デ・フェネンの戦略的プロジェクト
8・6 生態系NETの面積
8・7 生態系NETの多面的機能
8・8 生態系NETの推進体制
  (1)計画部門
  (2)事業実施部門
8・9 自然エリアの管理
  (1)独立行政法人 森林管理事務所(SB)
  (2)オランダ自然保護協会(NM)
8・10 生態系NET事業の総括
8・11 生態系NET事業成功の要因

9章 ヘルダースバレ土壌汚染地域の環境再生計画

9・1 国連リオ会議・アジェンダ21
9・2 空間計画と環境計画の統合──ROM計画
  (1)土壌汚染対策が出発点
  (2)ROMプロジェクトの開始
  (3)運営委員会の設置
  (4)ステークホルダーそれぞれの立場
9・3 合意形成のプロセス
  (1)ステークホルダー別・課題別マトリックス
  (2)協議の進め方
  (3)調整と意思決定
9・4 再生事業の内容
  (1)事業の目標
  (2)事業の成果
9・5 教訓とすべきこと

4部 持続可能性をめざすオランダモデルの行方
10章 20世紀型オランダモデルの到達点

10・1 空間的特質と空間形成3特徴
10・2 オランダモデルを支えたもの
10・3 社会的特質と政策3要素
10・4 政策3要素がいかに生かされたか
10・5 オランダモデルの可能性と限界

11章 21世紀型オランダモデルの模索

11・1 国土政策の転換
11・2 グローバル化に向けた対応
11・3 空間計画法の改正
  (1)開発指向への規制緩和
  (2)土地利用計画での国と州の権限拡大
11・4 自然政策計画の規制緩和
  (1)オランダの農村は変わる
  (2)自然とランドスケープの質の確保
11・5 オランダ関係者の評価
11・6 持続可能性の新たな追求

図・写真 出典
参考文献
索引
あとがき