〈情報アクセスブック〉の構成について



 ここに示したいくつかの図表は、〈情報アクセスブック〉の内容に沿って、建築・都市・住宅・土木分野の情報をとりまく状況をとらえたものである。

 図1 情報アクセスの全体イメージ

 図2 情報にアクセスしようとするそれぞれの立場

 図3 インフォーマル情報とフォーマル情報

 図4 情報源の種類

 図5 情報・資料にアプローチするためのレファレンスブックの例示

 〈情報アクセスブック〉はおおよそ、これらの種類と区分に沿っているので、各ページにおいて情報源のジャングルに踏み迷ったら、ここの数枚の図表に帰っていただきたい。

 同時に、情報アクセスとは個人的方法・企業的方法をそれぞれに構築することにほか ならないので、各人各機関の情報と情報源をめぐる図表が描かれることを期待したい。

図1 情報アクセスの全体イメージ

 情報アクセスの全体像イメージを示せば図1のとおりである。自身にとっての、あるいは機関にとっての[情報源]をデータベース化して活用することがポイントである。

図2 建築・都市・住宅・土木情報にアクセスしようとする様々な立場(例示)

 建築・都市・住宅・土木分野の情報にアクセスしようとするそれぞれの「立場」を示した。これ以外にもいろいろな立場があるだろう。また立場は重複するものであり、一概にこれと決めつけられないだろう。情報を集めよう、捜そうという場合、漠然とした立場というものは無いはずである。各々の立場があって、その情報行動、目的意識も異なるものである。たとえば、情報を広く浅く求めようという人と狭く深く求めようとする人、あるいは情報リテラシーを身につけることを求められる人とそうでない人とでは、情報に対するアプローチのしかたも、情報源活用の姿勢も、基本的にちがうものである。

 まず、自分はいまどのような立場にあって、情報を捜そうとしているのかを知ることは、情報アクセスにとって大切なことである。立場があきらかになれば自ずと目的も、求める内容も明確になるだろう。

 もし〈情報アクセスブック〉のような情報アクセスのためのガイドブックが世に受け入れられるならば、つぎに各々の立場を考慮した情報アクセス術のガイドブックが成り立つはずである。その意味では、〈情報アクセスブック〉はいろいろな立場を想定して書かれた最初の共通的情報アクセスガイドといえるものである。

図3 インフォーマル情報とフォーマル情報―その入手経路

 日頃接する情報群をフォーマルとインフォーマルという区分から分けてみる。これらをあまり意識しないで受け入れているのが、私たちの日常であるが、情報を積極的に活用するという場面においては、このような区分に沿って、効率的なアクセスとその活用法を考えてみることも必要だ。

図4 建築・都市・住宅・土木分野における情報の種類

 図3ではフォーマル情報とインフォーマル情報という区分により示したが、この図、は別の観点から情報の媒体とその内容についてアウトラインを示したものである。日頃、どの部分を自身の情報としているか、これからどの方面の情報が必要となるのか、あるいはどれが必要な情報でどれが不要な情報か、そのような観点からランクづけをしてみるのもよいかも知れない。

 建築・都市・住宅・土木分野をめぐって情報といわれるものを区分して示した(図5)。前述の立場の図3とからめて、日頃どれを情報としているのか、これからどの方面の情報が必要となるのか、あるいはどれが必要な情報でどれが不要な情報か、ランクづけをしてみるのもよい。

図5 建築・都市・住宅・土木分野のレファレンスブックの例示

 〈情報アクセスブック〉には活字化された情報源であるさまざまなレファレンスブックが登場するが、それらの名称とその位置づけを明らかにするために、本図を作成した。ただし概念図であるので、実際には縦横に使っている。数多くの一次資料にアプローチする(あるいは手掛かりとなる)ための、本図の右側の資料群がこれである(〈情報アクセスブック〉のレファレンスブックはだいたいこれらを解説している)。各名称についての定義があるわけではないので、同じような種類のものもある。情報リテラシーとは、データベースの活用とならんで、これらのレファレンスブックをいかに多く知り使いこなせるかにかかっているといってもよく、〈情報アクセスブック〉もその紹介に多くのページを費やしている。これらのいろいろな組み合せによって、求める情報にアクセスアプローチができる。「情報捜し」はつねに本図のような全体像を描き、各々の細部についてよく知り、使いこなせることが要求されるものである。建築・都市・住宅・土木の分野においても、今後さまざまな有用なレファレンスブックあるいはデータベースが出現することが望まれる。

 図5では図4に示しきれなかった情報源資料・データ(二次資料とかレファレンスブックともいう)の種類を示した。すなわち図Wの数多くの一次資料にアプローチする(あるいは手掛かりとなる)ための資料・情報群である。情報リテラシー(とりわけ収集能力)は、これらの二次資料をいかに多く知り使いこなせるか、にかかっているといってもよく、〈情報アクセスブック〉もその紹介に多くのページを費やした。

 これらは互いに関係があり、いろいろな組み合せによって、求める情報にアプローチできるものである。

 レファレンスブックとは

 レファレンスブックは参考図書と訳され、二次資料といわれるものの総称である(〈情報アクセスブック〉は二次資料を紹介したものであるから三次資料といってもよい)。

 身近な例では列車や航空機の市販の『時刻表』はレファレンスブックである。駅などに掲示されている列車時刻などのテーブルは一次資料(情報)である。それを全国レベルで統一編集し、路線図や見出しや索引をつけ、キップの買い方から入線時刻や食堂車の有無などの情報を付加したものが二次資料である『時刻表』である。私たちは、駅や空港に直接赴いて一次情報により行動をしてもよいが、『時刻表』を見てから旅をしたほうがはるかに合理的である。一次情報にアプローチするためにも、使いこなすためにも、二次資料に対する知識は欠かせないものである。これらは情報捜しのルールというものである。ちなみに、欧米で発達した図書館学のなかにはレファレンスワーク(参考調査業務と訳されている)という分野があり、これはレファレンスブック類を駆使して相手の立場に立って「情報を捜す」ということを業務としている。欧米の図書館ではとくにこれが発達していて、図書館といえばものを尋ねるところという観があるそうだ。



情報アクセスブックの目的 

情報アクセスブックの使い方

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