〈情報アクセスブック〉の使い方


外部情報と内部情報

 情報の区別の重要なひとつに外部情報と内部(自社)情報という分け方がある。〈情報 アクセスブック〉は個人または組織の立場から言えば「外部情報をいかに活用するか」と いうことに視点をおいて書かれている。外部情報について、どの方法、どの手段をとれ ば、集められるかということについて書かれている。内部情報の集め方・インデックス 類の作成については、それぞれの工夫が大切である。


〈情報アクセスブック〉の構成について

 〈情報アクセスブック〉は、1.〈情報アクセスブック〉の目的・使い方・情報源の全体 像、2.情報探索事項別の紹介(本文)、3.情報を捜すための文献紹介、4.索引、それにコ ラムからなる。2.が本文部分で、ある事柄についての情報を捜す際のポイントとそれに 対応する情報源や関係機関を解説している。3.は〈情報アクセスブック〉の記述を補足 するための文献と〈情報アクセスブック〉では触れ得なかった情報の捜しかたについて の参考文献を紹介している。4.は〈情報アクセスブック〉で触れたそれぞれの情報源の 名称についての50音順索引である。コラムは本文と関係ある事柄についての記述であ る。


〈情報アクセスブック〉の読み方

 〈情報アクセスブック〉は、上記の2.から入ってもよいが、建築・都市・住宅・土木の 分野に関する情報の局面や情報を捜すための手段である情報源はなにかについて触れた 3.もぜひ読んでいただきたい。すでに〈情報アクセスブック〉のような性格の図書が存 在していれば、3.の箇所は必要ないかも知れないが、たぶんこの分野におけるわが国初 めての情報の捜しかたのガイドブックということもあって紙数を費やしたものである。ま た、すでに情報源の名前が分かっている場合は索引から該当のページをひくとよい。


〈情報アクセスブック〉は行動をおこすためのガイドであること

 〈情報アクセスブック〉は、「情報を捜す」という行動をおこすための手引きである。読 めば、すぐに情報が手に入るというものではなく、〈情報アクセスブック〉で紹介をした 情報源を縦横に使いこなす、あるいは自身が各機関に足を運ぶことによって情報を捜す 知恵や術が身につくのである。事前の情報を集め地図・コンパスを持ち、装備をして山 に登るように、「情報の森」に入るにはそれなりの事前の知識を持つことがよく、そのた めのガイドの役を果たそうというのが〈情報アクセスブック〉である。しかし、〈情報ア クセスブック〉のようなガイドがあってもなお情報を捜すということは奥行が深く時間 と労力がかかることを知るべきである。


〈情報アクセスブック〉の記述 -- 情報源の「評価」について

 〈情報アクセスブック〉でとりあげた各情報源の紹介についての記述には、いわゆる私 自身の評価は入っていない。適切な評価があればこそ情報源というものは使いやすくも なるのだが、このような公刊のガイドブックのなかで評価を記すことは難しい。それぞ れの評価については、情報捜しの過程で読者各位がおこなうことが、すなわち情報探索 術をマスターすることにも通じるものである。


情報源には「レファレンスブック」と「人・機関」と「データベース」などが ある

 建築・都市・住宅・土木の情報源についてのイメージを示したが、大きく分け ればこの三つとなる。このうち、レファレンスブックとデータベースは静的であり、人 と機関は動的といえ、これを使いこなすには対応の巧拙や経験が反映される。


掲載機関のすべてが自ら[情報源]機関とは認識していないということに注意 すること

 基本的なことだが、ここに「情報源」として掲載した機関のすべてが、かならずしも 自らの機関が、すべての人々にとっての[情報源](情報提供サービス機関)であるとは 認識していないということを知る必要がある。特定の相手だけ(会員)を対象とする機 関もあれば、情報を提供することをほとんど考慮していない機関もある(その反対に、情 報サービスを目的とする機関においても、そこの職員すべてが職業意識を持ちサービス 精神に富んでいるとは限らない)。会員制度には比較的入会しやすいものから有資格者に 限るというものまで、あるいは会員を利用対象としながらも有料により一般の利用も可 とするもの、会員のみとするものなどがある。このように情報提供機関にはいろいろな タイプがありサービスを受けることがあたり前というような態度で接すると意に反する こともある。


情報源である人・機関は生き物である

 〈情報アクセスブック〉に記された情報提供機関を利用しようとする場合、これらは印 刷物や電子媒体と異なり、「生き物である」ことを知る必要がある。生き物であるからに は利用法の巧拙が情報捜しに深く関わる。


〈情報アクセスブック〉は図書室・情報センターのチェックリスト用にも使え ること

 〈情報アクセスブック〉は個人や組織における情報の捜しかたを対象としているが、こ の分野の図書室とか情報センターといわれるところの集書のためのチェックリストと、そ こで人々の質問に応える際の一助ともなると思う。これは、私が以前にそのような立場 におり、この分野のレファレンス活動に携わる人々の役に立ちたいという気持があるか らである。


情報源機関の確認をしていただきたいこと

 情報機関などの利用についてはここに記載した以後に変更する場合もあり、利用に際 しては、予め電話をして場所、利用時間、休館日などを確認していただきたい。


外国の情報源について

 〈情報アクセスブック〉では海外の情報捜し(情報源)についてはほとんど記していな いが、海外の場合はレファレンスブックの類も多く、〈情報アクセスブック〉によって情 報捜しの方法をマスターすればさほど困難はないはずである。


さらに組み合せと応用を

 建築・都市・住宅・土木はさまざまな情報が要求される分野である。ここに触れた以 外にもより多くの情報が必要とされると思うが、ここにあげた情報源を組み合せ応用す れば情報捜しは解決するはずである。


〈情報アクセスブック〉記載の各情報源の書誌的記述について

 ドキュメンテーションの世界も標準化が進んでおり、たとえば引用文献や参考文献の 記述の仕方にも一定のルールがある。それらの基準を示しているのが、ISO(国際標準化 機構)、JIS(日本工業規格)の情報関係の規格およびSIST(科学技術情報流通技術基準) である。SISTは科学技術庁が1973年10月に検討会を設置して制定した科学技術情報流 通技術基準(Standards for Information of Science and Technology)のことで、科学技術情報の円滑な流通を目的に制定されたものだ。

 SIST 02−1984「参照文献の書き方」によれば、学術論文の執筆における参照文献の 書き方は次のようなもので、いくつものケースがあるがその一例を示そう。

 図書1冊を参照する場合は、《吹抜敬彦。画像のディジタル信号処理。東京、日刊工業 新聞社、1981、292p.》で、雑誌の1記事を参照する場合は、《森康夫。熱工学の先端領 域と展望。日本機械学会誌。vol.87、782、p.34−39(1984)》という具合いである。

 〈情報アクセスブック〉は必ずしもこれによっていないことを断わっておく。これは読 者にとっては、〈情報アクセスブック〉の場合は書名や記事名が著者名よりも先にあった ほうが分かりやすいであろうこと、すべての掲載図書についてページ数や巻号を正確に 把握することは労力がかかることによる。その代わりに、問い合わせの便をはかるため に発行所の電話番号を入れたり、場合によっては価格を入れたりした。



情報アクセスブックの目的

情報アクセスブックの構成

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