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ゼロ災への道




はじめに



 この「ゼロ災への道」を書き始めたのが昭和61年の春でした。丁度3分の1ほど進んだ昭和62年4月から大阪労働基準局の菊池局長が提唱された“ゼロ災・大阪”運動が展開されました。グッドタイミングで、早速に局長および建災防大阪府支部・銭高支部長より「すいせんの言葉」をいただきました。さらに、私が勤務する松村組大阪本店で念願の「年間ゼロ災害」を達成し、本書に花をそえていだきました。ありがたいことです。
 ところで江戸前期の陽明学者の熊澤藩山(くまざわ・はんざん、京都出身1619〜91)の人生訓に、『為(な)せばなる、為(な)さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり』とあります。“ゼロ災達成”も為せばなると信じます。私は常日頃「安全キチガイ」でありたいと思っています。いつも新しいことへの旺盛なるチャレンジ精神と、創意工夫をこらして「ゼロ災への道」を力強く歩み続けたいと考えています。
 そもそも安全衛生管理は、理念(安全のこころ)と手法と実践が三位一体とならねばならないし、現場での安全活動は「人と人との心のふれ合い」によってはじまり、おのれの良心の「恥と誇り」と「ヤル気」で自ら動くものであると信じています。しかし、作業の変化や進歩が非常にめまぐるしい社会情勢のなかで安全衛生管理活動を推進することは、時の流れに沿った勉強や工夫改善を必要とします。
 本書は、著者が日常業務の中での考え方や、各種講習会での講義内容および各種紙上での意見発表等をおもい出しながら、自分なりに安全の信念(こころ)を述べたものです。したがって断片的でまとまりのない部分も多くありますが、曲げてご判読・ご理解をお願いします。この一冊の本を通じて日本各地の企業経営者、幹部そして安全担当者などの管理監督の立場である人びとの「えにし」をもつことができたことを感謝します。この「ゼロ災への道」を事業場の統括安全管理をされる現場所長、企業の安全管理担当者および安全関係者の身近な参考書としてご活用いただき、転機にきている建設業の労働災害防止に役立てば幸甚です。
 また本書編さんにあたり、災害防止関係諸団体や、諸先生のデーターを利用させていただき、さらに松村組上司からの指導・助言、知人、友人からの激励、および出版関係者のなみなみならぬご支援によって、ここに一冊の本が誕生しました。心から、お礼を申しあげます。
  昭和63年3月   
表 一郎



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おわりに
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