都市計画はどう変わるか


あとがき

 本書の第1章の中心となっている内容は、約20年前に次の時代(21世紀システム)の都市づくりの仕組みがどのような方向に向かうのか考察したものである。

 その後、国の都市づくり関連制度、都市計画法、建築基準法、住宅政策関係法、さらに国土法などの制度の創設や改正に関わることができた。都市計画法、建築基準法の分野では、約20年前の地区計画制度の創設から始まり、一昨年のまちづくり三法までである。また多くの地方自治体の条例の創設にも関係することができ、先進的な街づくり制度の誕生に関わることができた。さらに計画づくりについては、東京都都市ビジョンの策定、神奈川県の都市計画マスタープランの策定などにも関り、多くの民間地権者と策定した地区プランもある。その代表が丸の内地区の計画づくりである。また横浜のMM21はじめ、多くの市街地再開発事業にも関わってきたが、現在関わっている高松市丸亀町商店街の事業は新しい制度づくりであり興味深いものとなっている。

 これらの都市づくりの仕組づくりは、それぞれ個々の小さな動きであるが確実に次の時代の都市づくりの仕組みに向かっていることは間違いない。しかし近代都市計画制度が1880年代にドイツ、イギリスで創設の動きが始まり、1900年頃に最初の体系的近代都市計画制度が生まれ、その後、先進諸国で採用されたことを考えると、現在は次の時代の都市づくりの揺籃期にあると考える。

 しかし問題は、近代都市計画が新中間階層という20世紀の中心的な階層の支持があり、支えられてきたように、次の時代の都市づくりの仕組みを支える階層の姿が十分には見えていないことである。

 次の時代の都市づくりを支えるキーワードは「持続可能性」と「創造性」である。現時点で「持続可能性」を支える活動の中心にいるのはNPOなどの地域とのつながりが必ずしも明確でない組織であり、一方「創造性」を支える活動は、そもそもまとまった意思表示をしない人々であるため、現在のところ新階層とはいえない状況にある。

 次の時代の都市づくりの仕組みは、「持続可能性」と「創造性」を実現するものとする必要がある。そのことによって次の時代の都市づくりを支える新たな階層が誕生し、次の時代の都市づくりはしっかりした基盤を持つことができると考える。