サイン計画デザインマニュアル

医療・福祉施設を事例として


表紙
    具体事例で、サイン計画の全ノウハウを公開

■内容紹介■■  多くの人が訪れる建築には分かりやすく統一されたサイン・デザインが必要となる。駅からの案内に始まり、いかに目的地まで導くか。架空の病院を事例にサイン計画のプロトタイプを示し、利用者の立場からどこにどんな情報が必要か諸場面を想定して解説。サイズや書体、色彩等デザインの基本となるノウハウも具体的に伝授する。
■詳細情報■■
もくじ
はじめに
あとがき
著者紹介
書  評
 『病院建築』No.135
 『Singns in Japan』103号



■■本書の刊行に寄せて■■

 サイン計画という言葉自体は世の中である程度認知されてきたように思われます。しかしながら、現在位置がさっぱり示されていない全体案内図があったり、見た目には上品で美しいけれど、文字が小さかったり色彩の対比が微妙すぎたりして内容が読みとりにくく、要はサインの用をなしていないような事例も多いのが実状ではないでしょうか。サインとは何かがデザイナーに理解されていない場合が多いからだと思います。
 こうした状況の中で、サインについてその基本的な意味から実際的なあり方までを体系的・継続的に追求してこられた西川さんが、このたび医療施設をベースに本書をまとめられたことの意義は極めて大きいものと考えます。
 本書の最大の特徴は、施設の利用者の視点に立ち、利用者すなわちこの場合患者が病院等を利用するときに遭遇するであろう諸場面を想定しながら、必要とするサインのありかたを具体的・実際的に、しかも十分体系的に示していることだと思います。
 本書の陰には氏の長年にわたる研究があります。研究は「医療施設におけるサイン計画の設計指針に関する研究」として学位論文の形でまとめられていますが、氏はこの研究の中で、患者の病院内での行動についての詳細な実態調査の分析を通してサインの有効性を検証し、それをもとに設計の指針を導き出しています。併せて氏はサインのプランナーとして、実際の病院の現場において実践を重ねています。諏訪中央病院、松任石川中央病院、大阪市立総合医療センター、大牟田市立総合病院などです。こうした研究と実践の相互のフィードバックの積み重ねが基になっている点で、本書には類書にない重みがあると考えます。
 翻ってわが国の病院の現状を見ると、この半世紀ほどの技術のハイテク化に支えられて診療機能の高度化への歩みをひた走ってきたわけですが、最近ではこれと並んで「癒しの空間」をキーワードとして患者への暖かい視線を主軸にすえた計画の重要性が声高に叫ばれています。この意味においても、患者の視点に立って考究され構成された本書の出現を今日見たことは時宜を得ており、その意義は極めて大きいと確信しております。
 医療施設の計画や運営に関わる多くの方々に本書が活用されることを願ってやみません。

平成13年10月  日本医療福祉建築協会会長
筑波大学名誉教授
栗原嘉一郎





※本書は、品切れ・重版未定です。


学芸出版社/gakugei

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