サイン計画デザインマニュアル


あとがき


 サイン計画は施設の運用や管理に関わらないわけにはいかない。そうした面で、本書は個別の施設に基づいていないため矛盾や齟齬が見られるのではないかと危惧している。また医療施設では専門用語が多々使用される。間違いの無いよう注意したが、それぞれの専門の立場からみれば不適切なものもあろうかと思う。ご叱正を賜れれば幸いである。建築的にも、実際のプランを忠実にトレースしていないため不合理な点も見られるだろう。ディテールにこだわることで、本書の主題であるサインの表現(Visualization)がかすむことを恐れたからである。いずれにしても、皆様のご叱正を重ねてお願い申し上げる。
 かつて医療施設のサイン計画について論文をまとめた時点で、本書のような「絵」を中心にした本の出版をほぼ決めていた。多様な視覚的要素を目的にそって構成するサイン計画を、どのように論理的に述べようと無理がある。また美しい書体をバランスよく組むこと、あるいは分かりやすい平面図とは、などについていくら語を並べても限界がある。したがって論文のあとがきで、次にすべきことは具体的事例を示すことだと書いた。それがこの度、学芸出版社の支援で実現することになった。
 これまでの長い間、栗原嘉一郎先生には何度と無く励まされ、多忙な中、原稿にも目を通して戴いた。加えて推薦の言葉までお寄せ願った。また現場にいる専門の立場から大牟田市立総合病院勤務の村上学、則子ご夫妻にも貴重な意見を賜った。デザイナーの立場からは長年の研究及び実践上のパートナーである水口弘志氏に意見を求め、制作上の協力も願った。また共同建築設計事務所にはサイン計画の実践面で多くの機会が与えられ、また本書のフロアープランの事例として大牟田市立総合病院の使用を快諾くださった。皆様に心からお礼を申し上げる。
 なお今回は文字の入力、図版の制作、レイアウト等にパソコンを積極的に用いた。そのまとめには研究室の学生、長谷川彩子君が長期間にわたって、また金泰尚君は写真の加工など技術的な面で協力してくれた。出版に当たっては、先にも述べたが学芸出版社、とりわけ前田裕資氏のお世話になった。氏の理解と適切なアドバイスが無ければ、本書はまだ私のパソコンの中にセーブされたままであったかもしれない。
平成14年3月15日
西川潔









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