『地域開発』((財)日本地域開発センター) 2003.5
今にして思えば、1980年代、日本都市計画は岐路に立っていた。戦後の混乱から変化著しい成長期に至る戦後都市計画体系を、豊かな社会にふさわしい、土地利用コントロール体系へと組替える議論を十分にすべきであった。今からでも遅くはない。成長期社会、あるいはそれ以前に形成された、災害の恐れのある問題市街地を、社会と財政に余裕のある現在の成熟期社会に、タイミングよく、適切に再整備すべきである。土地所有より利用を重んじ、公的、共同的にコントロールしていく方策を確立すべきである。21世紀の始めの時点で、日本ほどゆるいコントロール、市場原理に任せている先進国はない。
昨今の状況を見るにつけ、もはや日本では計画文化は根付かないではないかという危惧さえある。こうした悲観論から抜け出るには、「日本都市計画とはなにか」を根本から捉え直す必要があろう。
本書では、欧米や第三世界との比較アプローチで、「都市計画とは何か」、さらに「日本における都市計画の特徴は何か」を明らかにすることを目的としている。
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