エコブームを問う 東大生と学ぶ環境学


書 評
『環境緑化新聞』2006.5.15
 編者は、環境を考えることが企業や行政のアピール材料となっている、現在の環境問題がトレンド化した状況=「エコブーム」に疑問を感じている。同時に、大学の現場では、多方面の学部・学科が環境問題へアプローチを行っていることに気づいた。それをもとに自分自身の眼力で問題の本質を見極めることの必要性を感じ、本書は誕生した。これから環境問題を学んでいく人たちに必要な考え方や方法、視点や技術を、各分野の第一人者が中身の濃い新鮮な話で伝えている。
 編集は、東京大学環境三四郎「環境の世紀」編集プロジェクト。これは東大の環境三四郎という環境サークルの学生4人によるものだ。本書は、そのサークルメンバーが準備から運営まで協力してきた「環境の世紀XI〜環境学のスゝメ」の13のオムニバス講義をわかりやすくまとめたものである。2004年度の内容。
 同講義は10年前に誕生し、駒場キャンパスの人気科目の一つとなっている。工学、農学、経済学、文化人類学、科学史・科学哲学など幅広い切り口からさまざまな問題にアプローチしている。