技術士第二次試験 合格者たちの勉強法


はじめに

 私が技術士受験対策の通信講座を新設してみようと考えたのは、私自身が試験勉強をしている最中だった。私は平成23年に併願受験(機械・総監)するも機械部門が不合格で失敗。翌年、リベンジで併願合格した。
 私の受験対策中は、都内の講座をいくつも受講していた。某大手講座では、1回目の添削で「これは技術士試験の解答ではない!」と一言書かれていて呆然としたこともある。おそらく、この添削で解答できるようになる人はいないと思った。
 また、集合型のリアル講座では、北海道、広島、福岡などから受講者が来場していて、費用や時間的負担の大変さを目の当たりにした。
 そのため、これだけIT機器や通信環境が揃っているのだから、通信教育を始めようと考えたのが始まりだ。
 ここで、意外な事実を書いておこう。技術士試験対策の講師の大半は、ITツールが苦手だ。動画講座やビデオ通信など使ったことが無い人が多い。高齢者が多いと言うこともあるが、おそらく先端技術に興味がないのだと思う。今でも手書きの資料を配付している講座もある。パソコンが使えないのだ。
 また、これも講座内の話だが、添削を受けるのが最も効果的な学習だが、そこに力を入れない講座も多い。集合型のリアル講座だけで終らせる講座が多いのだ。この理由は簡単だ。それが一番簡単だからだ。何度も添削を行うのは、講師の負担になるのだ。
 私自身は、元々コンピューターが好きだったこともあり、講座では、Zoom、Skype、メルマガ、ステップメール、動画講座とあらゆる媒体を使っている。これは、受験者のモチベーション維持に役立っていると思う。また、添削に最も力を入れている。コースによって20~40回程度の添削を受けることができる(上限回数に達する人はほとんどいないが)。トレーニングの効果で解答力を鍛える。講座内のキャッチフレーズは、アウトプット7:インプット3である。また、これは本の中でも繰返し述べたことだ。
 初受験の方は論文の書き方自体、あるいは日本語の文章能力自体をトレーニングする必要があることも痛感した。
 本書は、これまでの6年間の活動から得た、技術士試験対策をまとめたものだ。実績というほどではないが、連絡を頂いた受講者の試験結果は以下のとおり。
 平成26年は6名中4名合格。
 平成27年は24名中13名合格。
 平成28年は44名中21名合格。
 平成29年は75名中34名合格。
 平成30年は講師が私を含め5名体制。
 101名中筆記合格が、39名。
 ただし、途中で連絡がなくなってしまう人が30%はいる。
 他、企業の技術士講座に講師として参加し、5年で100名以上にアドバイスしている。
 企業内での研修講座の場合、1日で終る場合が多く、効果が出にくい。そのため、後日課題を送ってもらうなど追加サービスもつけている。部門は、機械、電気、経営工学、化学、上下水道、衛生工学、総合技術監理部門等だ。
 受講者には、技術士を初めて受験する人、他の講座を受けて不合格だった人等、様々な人がいて、業務の内容も一人ひとり異なる。そのため、十把一絡げでアドバイスすることはできないと言って良い。学習の効果を上げるためには、1対1で対応してもらうことが重要である。おそらく、それが一番合格に繋がると思う。モチベーション維持ができるからだ。
 受講者の悩みは割と同じような内容である。要するに勉強時間が確保できない、従ってモチベーション維持ができない。ほとんどこれにつきる。技術士第二次試験は、学生が受ける試験ではなく、社会人、しかも受験者平均年齢42歳と現役バリバリの人が受ける試験である。「今年は、閑だから技術士試験でも受けるか!」等と言う人はいない。エンジニアの矜持として本気で技術士取得を目指すならば、自分で勉強時間を確保するしかない。
 受講者の30%は途中で止める。さらに30%近くは、ほとんど課題を送ってこない。逆に、真面目に最後までやれば大抵受かるのだ。
 本書では、新制度の試験内容変更について、様々な角度から説明した。新制度の試験では、評価項目が明確になり、要求される能力がこれまで以上にハッキリしたからだ。
 択一試験が筆記試験に変わったことなどより、評価項目が明確になったことの方が遙かに重要である。新制度の試験で技術士を目指す人はそこを考えて欲しい。また、もし試験対策講座を受講されるなら、その部分をしっかり教えてくれる講座を選んで欲しい。
 本書中で繰返し説明しているが、要求されている能力が解答文章の中に表現できなければ合格できない。
 課題と問題点の定義なども解説している本はあまりない。また、ネット時代の弊害で間違ったデータが溢れ、それが信じられている。その辺り、頻繁に見る間違いを解説した。
 本書は、初めて受験される方はもちろん、何度か受験して合格できない方にも読んで頂きたい試験対策の本質が書かれている。内容を理解して、試験対策を行って頂ければきっと、良い結果に繋がると思う。それだけの準備はしたつもりである。
 また、私の運営する対策講座では動画講座も公開している。さらに本書の読者限定100名の方には合格判定が出る無料添削サービスを行うこととした。ぜひ活用いただき、合格をつかんでもらいたい。


2019年2月
技術士Lock-On:二次試験対策講座 代表
匠 習作