地方都市の再生戦略


おわりに


 筆者は、長く大学に在籍し、都市計画を専攻する中で、ささやかではあるが、地方都市を調査研究のフィールドとして研究活動を行ってきた。また、行政担当者や計画コンサルタントの方々と実践的な計画、デザインに取り組んできた。その中で、地方都市が豊かな文化や秩序を有していたこと、それらが急速に失われてきたことを実感し、そうした地方都市を再生させていくことが必要であるという思いを強くしてきた。すでに全国の各地においてそうした取り組みは始められつつあるが、今後も長く続いていくものであろう。
 本書は、そうした取り組みを紹介し、今後の再生のための戦略を描こうとするものである。取り上げているテーマは必ずしもすべてを網羅しているわけではなく、参考として参照している事例も限定的ではあるが、わが国における地方都市の再生を考えるに際して必要かつ主要なテーマである。他の地方都市の再生のためのヒントや指針を提供しているものであると確信している。
 本書の企画段階から、金沢市木谷弘司氏と鞄本海コンサルタント埒正浩氏に相談に乗っていただいた。両氏は、行政担当者や計画コンサルタントとして、都市計画の実務に精通しており、大変的確な助言をいただいた。また、その他の大学研究者、行政担当者、計画コンサルタントの20名の著者には、編者からの企画の提案に賛同いただき、こころよく執筆を引き受けていただいた。その上、なにかと業務多忙な中、本書編集の検討のための論文骨子の提出や、編者からの些細な依頼まで丁寧に対応いただいた。
 出版に際しては、編者の企画提案を学芸出版社に快く受け入れていただき、同社の前田裕資氏には、企画の内容や編集方針および原稿案について的確な示唆をいただいた。また、印刷用原稿の整理段階から、同社の森國洋行氏には丁寧に担当いただいき、貴重な助言をいただいた。
 これらの方々の真摯なご協力と貢献により本書は実現することができた。こころから感謝したい。
2013年3月
川上光彦