神戸の震災復興事業
2段階都市計画とまちづくり提案

第1章 遅れた政府の初動体制と既存制度による震災復興政策

 1−1 阪神・淡路大震災の発生
 1−2 政府の危機管理対応
  1 震災発生当日の政府の行動
  2 震災発生当日の政府の対応
 1−3 設置されなかった内閣総理大臣直轄の「危機管理本部」
 1−4 従来の法制度の活用による震災復興政策

第2章 自治体の行政課題としての創造的な震災復興事業

 2−1 大規模被災地域の出現
 2−2 密集市街地での大規模被災の原因
  1 大規模火災の原因
  2 老朽木造住宅の被災
 2−3 震災復興事業の課題
  1 基盤未整備な住宅密集市街地形成の背景
  2 基盤整備地区と未整備地区の被災状況の比較
  3 震災の被災経験を活かした創造的復興事業の必要性

第3章 2段階都市計画による震災復興都市計画の形成

 3−1 震災復興事業の基本方針
  1 国との事前協議へ
  2 建築基準法第84条による建築制限
  3 震災復興事業の骨格となる基本方針の決定
  4 「神戸市復興計画」の策定と震災復興事業の調整
  5 神戸市の「震災復興市街地・住宅緊急整備の基本方針」の発表
 3−2 2段階都市計画の仕組み
  1 建築制限期間と住民参加のジレンマ
  2 既存制度の応用による「2段階都市計画」の新手法
  3 第2段階の都市計画までの建築制限の継続
  4 2段階都市計画のモデル事例の住民参加手法
  5 都市計画決定告示までの日程
  6 2段階都市計画の効果 ── 住民参加による計画過程の導入
 3−3 第1段階の都市計画案の策定と発表
  1 「創造的復興」事業の目標としての「防災モデル都市」の設定
  2 創造的復興事業に適合した面的整備事業
  3 震災復興都市計画内容の発表
 3−4 「被災市街地復興特別措置法」の施行と意義
  1 「被災市街地復興特別措置法」の制定と施行
  2 「被災市街地復興特別措置法」の施行日の意義
  3 2年間の建築制限の意義
 3−5 第1段階の都市計画の決定
  1 第1段階の都市計画の案の内容
  2 防災空地確保のための近隣公園の都市計画決定
  3 住民からの意見書と都市計画審議会の付帯意見
  4 第1段階の都市計画決定の帰結
  (補論)「2段階都市計画」の呼称と性格規定について

第4章 震災復興事業における「まちづくり協議会」の役割

 4−1 第2段階の都市計画における「まちづくり協議会」の役割
  1 行政側が想定した「まちづくり協議会」結成の呼びかけ
  2 まちづくり協議会の組織化要請に対する住民側の対応
  3 震災前のまちづくり協議会の存在意義
 4−2 まちづくり協議会の設立と活動
  1 まちづくり協議会の設立
  2 動き出したまちづくり協議会活動
 4−3 まちづくり協議会の制度基盤としての神戸市まちづくり条例
  1 まちづくりのプロセスを示した条例
  2 条例における「まちづくり提案」の意義
  3 まちづくり協議会の性格と役割
  4 まちづくり協議会の認定

第5章 震災復興土地区画整理事業の実施過程

 5−1 「まちづくり構想」作成への課題
 5−2 まちの復興の将来像
  1 まちの将来像のイメージ
  2 安全な市街地への具体的な課題
 5−3 都市計画公園の変更
  1 第1段階の都市計画決定施設の変更の模索
  2 近隣公園の都市計画変更までの過程
  3 防災公園の整備の意義と評価
 5−4 都市計画道路の変更
  1 都市計画道路の変更の可能性
  2 森南地区における都市計画道路の変更
 5−5 被災者負担軽減の仕組み
  1 減歩率緩和政策の背景
  2 減歩率を緩和するための土地区画整理事業のノウハウ
  3 国庫補助金による被災自治体の財政負担の軽減
  4 被災者負担の実質的ゼロ化
  5 減歩率緩和の結果
 5−6 第2段階の都市計画の手続きと決定
  1 「まちづくり提案」の提出と受理
  2 第2段階の都市計画の決定

第6章 震災復興再開発事業の実施過程

 6−1 第1段階の都市計画の位置づけ
  1 震災復興市街地再開発事業の第1段階の都市計画
  2 「第2種市街地再開発事業」としての都市計画決定
  3 新長田駅南地区の大規模再開発事業決定の理由
  4 20haの再開発事業区域設定の意義
  5 第2段階の都市計画に向けての基本的な方針
 6−2 まちづくり協議会の設立と活動
  1 震災復興再開発事業地区におけるまちづくり協議会の設立
  2 震災復興再開発事業地区における「住民」の特殊性
  3 六甲道駅南地区での第2段階の都市計画 ── 1haの防災公園の変更
  4 新長田駅南地区での第2段階の都市計画 ── 第2地区の若松公園の変更
 6−3 震災復興再開発事業と2段階都市計画
  1 2段階都市計画は震災復興再開発事業に適合したプロセス
  2 震災復興再開発事業の使命 ── 経済性か生活再建か

第7章 創造的震災復興事業の完成

 7−1 第2段階の都市計画決定から事業化そして完成
  1 震災復興事業の完成
  2 事業化後の新たなまちづくり提案の意義
 7−2 まちづくり提案による特徴あるまちづくり
  1 せせらぎ
  2 シンボルロード・コミュニティロード
  3 建物共同化事業 ── 飛び換地手法の活用と共同化事業用地の確保
  4 借家人対策としての受皿住宅
  5 地区計画制度を活用した建ぺい率の緩和
 7−3 安全で安心して暮らせるまちへ
  1 住民が戻れてこそ復興
  2 持続可能なコンパクトな都市へ
 7−4 創造的震災復興事業の成果
  1 創造的復興の成果としての「防災モデル都市」の実現
  2 創造的震災復興事業の完成の意義

第8章 2段階都市計画と協働のまちづくりの意義

  1 「2段階都市計画」の意義 ── 全市的な「都市計画」と地区的な「まちづくり」の調整
  2 創造的復興事業における協働のまちづくりの意義
  3 被災市街地復興特別措置法による段階型都市計画への提言