市民・地域が進める地球温暖化防止


はじめに

 今や地球温暖化・気候変動は、人類にとって最重要問題になりつつあります。IPCC第4次報告書は、地球温暖化の進行でさまざまな悪影響がもたらされ始めており、それがほぼ間違いなく人間活動に起因していることを科学的に明らかにしました。このままでは人類の将来が危機的なものになることも推定されており、温暖化防止は待ったなしの状況にきています。世界と未来世代に対する責務を果たすには、「京都議定書」の目標を達成し、さらなる温室効果ガスの大幅削減を進めるとともに、安全で持続可能な社会を実現することが私たちに求められているのです。

 危機を回避するために、すでにEU諸国などは、温室効果ガスを大幅に削減する中長期目標を示しています。イギリス・フランス・ドイツなどは2050年までに60〜80%の削減を目指し、ノルウェーやコスタリカは排出量を0にする方針を表明しています。しかし、日本は自国の中長期目標を示しておらず、現実に削減も進んでいません。国が大幅な削減政策を打ち出し、排出量が最大の産業界での削減を推進することが不可欠ですが、私たち多数の市民や自治体などが地域での温暖化対策を積極的に推進し、その声を社会全体に広め、強めていくことを通じて、早急にそれらのことを実現しなければなりません。

 本書は、地球温暖化防止のために市民が中心になってさまざまな主体との協力、協働を通じて、地域での取り組みを全国に広げていくことを願って書かれています。温暖化防止の緊急性、市民、自治体、事業者などによる地域での取り組みの重要性を述べるとともに、各地で取り組まれている市民参加とパートナーシップによる温暖化対策、省エネ、自然エネルギー普及、温暖化防止教育、中小企業等の環境マネジメント、地球温暖化防止活動推進センターと推進員の取り組みなどの現状や克服すべき課題を示しました。また、各分野の多くの先進的事例を紹介しました。温暖化防止の取り組みが持続可能な社会への道を拓くことも論じています。温暖化防止に関心を持つ市民、自治体、企業、温暖化対策推進員など、さまざまな立場の方々が地域で互いに協力しながら行動していく上で参考にしていただけるよう努めたつもりです。今後、多くの皆さんとともに地球温暖化防止を推進していければ幸いです。