『ガバナンス』((株)ぎょうせい)2004. 10
自然再生型の川づくりが提唱されて、地域の水辺に人々が帰り始めている。治水や利水に加えて、「環境」と「参加」がキーワードになったことで、森と海を繋ぐ動脈を守る確かさや、ふれあいを楽しむ豊かさに気づき始めたからだ。
本書は98年に始まった「川の日ワークショップ」を基礎に、いい川とは何かの論理的・体系的な整理を試みる研究会の視点を整理したもの。各地の事例もふんだんに盛られていて参考になる。いい川・川づくりとは何か、を深く考えさせられると同時に、読み進むほどに川と地域のくらしの密接性に思い至るのである。小誌が9月号から始めた連載と併せてお読みいただきたい。
『環境緑化新聞』 2004. 8. 1
500団体、のべ2500人が参加し、川と川づくりの新しいあり方を発見する「川の日」ワークショップの実践レポート。河川法改正を機に、河川管理者側と市民組織が連携し、市民が育てる「いい川」、行政が取り組む「いい川づくり」の活動が展開されている。市民・行政・専門家がソフト・ハードの壁を越えて川づくりの現況と展望を示す。
97年に河川法が改正された。河川管理の目的に、これまでの治水、利水に加え、河川環境の整備と保全が加わった。川の楽しさを取り戻す、川の恐さと一緒に生きていく関係もあわせて考える。こうした目的で「川の日」ワークショップが開かれる。98年から03年まで「いい川」に関する応募はのべ464件にのぼる。02年からはいい川とは何かを論理的、体系的に整理し、概念化を図る目的で、「いい川・いい川づくり」研究会がはじまった。この本は、ワークショップや研究会に関わった人たち11人の視点、考え方をそれぞれの切り口で論じている。
企画者の森清和さん(全国水環境交流会代表理事)は今年1月に急逝された。未完になった遺文も収録されている。
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