オーダー・メイドの街づくり


書 評
『地域開発』((財)日本地域開発センター)2005.10
  「界隈プラン」とは、自治体が全権を持つ一般的法定都市計画を地域に適応するように修正し、身近な建物や界隈を柔軟に保護していく(保全的刷新)ための規制型都市計画である。この界隈プランによる街づくりが「オーダー・メイドの街づくり」であり、本書では、フランス・パリの都市計画史と界隈プランの生成、パリ市内8地区における界隈プランの事例、事例分析を通じた日本の都市計画への示唆などが、著者の独特の語り口で述べられている。
  序で著者は、都市計画のディテールよりもパリジャン達の狡猾さを感得して欲しいと言う。プランによる規制の限界を間接的手段で補ってしまうパリの都市計画家たちの創意工夫は興味深い。
  とはいえ、その狡猾さを感じ取るには、詳細に記述されている内容の理解も必要である。そのためにも、本書で紹介されているパリの事例地区を実際に訪れてみてはいかがだろうか。著者もその地区の表情を知るに最適な季節や時間帯をアドバイスしてくれている。