第11回「コロナ禍から回復が遅れるサンフランシスコ(2)――落ちぶれた都市イメージの再生策」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
COVID-19の打撃から回復が遅れるサンフランシスコ(SF)ですが、そのSFをめぐる悲観論には、治安の悪化も影響しています。経済活動が停滞し、街に人影が少なくなっています。
在野の都市研究家で秀でたジャーナリストでもあったJ.ジェイコブズは、都市学のベストセラー『アメリカ大都市の生と死』を書き、街の優れた観察者でした。彼女は、街が元気であるためには、人々の活動が街に高密度に詰め込まれていることが大切である、と考え、そのために必要な街づくりの条件を明らかにしました。同書では、昼夜、街路を通行人が行き交うか、あるいは近隣の知り合いが立ち話をしている街(人の眼がある)は安全である、と書いていました。しかし、COVID-19以来、SFのダウンタウンでは、それと真逆のことが起きています。