まちづくりイベント・ハンドブック
2章4節

まちづくりを仕上げる

図

瀬戸田町ではアーティストに彫刻の設置場所を
決めさせるという斬新な試みで個性を作っている
(資料提供:瀬戸田町観光商工課)


まちづくりを仕上げるイベントとしては、 起工式やオープニングイベントが一般的である。 ここでは、 予算や集客数で競うのではなく、 地域からの発想でひと工夫することにより、 まちづくりと連動させている例を紹介する。

まちづくりを仕上げるイベントを分類すると次のようになる。

〈竣工式にあわせてイベント〉

関係者とマスコミだけで行う竣工式より、 地域住民や遠来の客を交えたイベントをあわせて行う方がパブリシティは高い。 いわゆる街開きイベントと呼ばれ、 このタイプのイベントは仕上がったまち・都市施設の認知度を高めるのが第1の目的であるが、 地域に即したひと工夫が欲しいものである。

〈大規模施設と地域とを融和するイベント〉

大規模な住宅団地が忽然と建設されるニュータウンの街開きイベントも、 工夫されるようになってきている。 新市街地と旧市街地の融和は一朝一夕にできない。 時間と共同体験が必要である。

〈まちの知名度を上げるイベント〉

一つの事業の完成を祝う「竣工式にあわせてイベント」に対して、 まち自体への関心を高め、 まちを売り出す、 つまり知名度を高めることを目的とするイベントである。 いくつかのプロジェクトが終わりそれぞれのオープニングが済んでも、 複合的な魅力のアピールをしたり、 さらに付加価値をつけていくには仕掛けが必要である。

〈コミュニティ形成促進イベント〉

先に紹介した街開きイベントでもコミュニティ形成促進を目的の一つとすることは多い。 また、 事業の直接的展開がなくても地域の課題として常にある。 成熟したまちでもニーズのあるイベントでありながら、 行政主導ではなかなかうまくいかない分野である。

〈まちを見直すイベント〉

 成熟したまちで事業を起こすとき、 一番の障害になるのが人々の無関心である。 このままでよい、 まちづくりの必要もない、 と。 統計データを使い、 科学的分析をいくら重ねても住民の生活感覚にゆさぶりをかけることは難しい。 住民自らが感じとることのできる体験をとおした認識の共有化にイベントは欠かせない。

〈タイムキーパー型イベント〉

 博覧会・国体など大規模なイベントがまちづくりの完了目標、 つまりタイムキーパー役になることはよく知られている。 一過性のイベントでもよいのだが、 継続的にまちづくりに関わる工夫もほしい。

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