まちづくりイベント・ハンドブック
2章5節

まちづくり いろいろ

図
青葉通り大道芸フェスティバルは市民に親しまれている
(資料提供:静岡市都市整備部都市計画課)


 まちは常に新陳代謝を重ねながら、 時代と共に生きていく。 まちがそこにある限り、 『まちづくり』は継続されていく。 まちが住民にとって使いやすく、 親しみを持つことができる状態で存在するためには、 活性化の努力が必要となる。 まちが集まり都市になり、 都市も成長していくためには、 どこかで必ず活性化の努力が続けられていく。 古いまちでは昔の歴史を掘り起こしたり、 良き時代を再現したり、 現代生活に合わない部分を改修したり、 といったメインテナンスの必要がある。 新しくできたまちでは用意された立派な施設や、 建物を上手に使いこなすための方法が考えられなければならないし、 美しい環境を維持するシステムも工夫されなければ、 宝の持ち腐れとなってしまう。 常にまちのイメ-ジアップを図り、 よりよい環境を手に入れるために、 都市空間の新ソフトとしてイベントを活用したい。 そうした『まちづくり』のいろいろな要求に答えるイベントもまた多彩である。 目的が多岐に渡るため、 適材適所となった事例を紹介しよう。

 これらの事例では具体的にハ-ドとしてのまちづくりが予定されているのではなく、 まちの活性化のためのソフトとして、 イベントを活用しているのが特長である。 またイベントの表現としてはいろいろだが大きく分けるといくつかの特長が浮かび上がってくる。

〈現在ある施設や空間を活用する〉

 もともと市民に親しまれている空間をより活性化するために、 イベント会場として活用したり、 既に社会的使命を終えて次の活用を探っている施設の有効利用と、 新たなコミュニケ-ションの手段とを組み合わせてイベントを行なう。 すでにある空間を上手に活用したイベントの仕組が共感を呼ぶ。

〈複数のイベントを同時に仕掛ける〉

 大きな目的のもとに、 都市のそれぞれの地域やまちで、 いくつかのイベントを同時に開催する。 都市の多彩な居住者層、 それぞれに有効なイベントが考えられるため、 最大の効果を上げる方法として密度の高いイベント計画が必要となる。

〈小さい・単発のイベントを合体させる〉

 古くから日常的に行なわれてきたイベントが各まちにいろいろある。 これらは他の地域と関連なく行なわれることも多く、 隣り合ったまち同志で内容、 日程が重なり合っていたりして参加の機会が限定されている。 そんな小さなイベントを整理・統合してたくさんの人により多くの参加のチャンスを提供する。

 いずれもイベントとしては高度なテクニックが要求される上級編といえる。 いくつかのイベントを体験することによって、 イベントの達人が育っているのであろう。

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