阪神大震災復興市民まちづくり
vol. 2

概説('95.5〜7)


 1995年5月から7月までの3ヶ月間に発行された復興市民まちづくりニュースの状況を概説します。

●ネットワークニュース

 「きんもくせい」は、 阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク事務局が月2回のペースで発行しているもので、 7月末現在13号まで出ています。 この3ヶ月間に地元の(特に事業地区で)協議会づくりが活発な動きを見せており、 具体的な取り組み状況や課題が専門的立場から述べられています。 なお、 この間に主に全国の専門家に配布する体制も整ってきています。

 「明日の西宮」は、 西宮復興まちづくり支援ネットワーク事務局が約月1回のペースで発行しているもので、 現在まで4号となっています。 ネットワークメンバーが震災直後から地域分担をして取り組んできた調査結果を掲載するとともに、 地元支援のための支援策の紹介等を行っています。

 「AAN NEWS」は芦屋市をエリアにしてAAネットワークが約月1回のペースで発行しているもので、 現在9号(号外を除く)まで発行されています。 AAネットワークとしての復興まちづくりに対する提案や、 市民や行政を交えたシンポジウムの取り組み状況を具体的に掲載しています。

 「こうべまちづくり学生倶楽部」は、 神戸の震災復興まちづくりに取り組む全国の学生の交流の場をめざし、 その取り組み状況の報告等を行っています。

●地元ニュース

神戸市東部市街地

 「せせらぎ」は、 魚崎小学校復興対策本部が週1回のペースで発行しているもので、 主に避難所に配布されています。 一応16号を持って終了し、 地元子供会に引き継がれます。 ちなみに、 魚崎地区は重点復興地域外であり、 また関西建築家ボランティアが引き続きまちづくりの地元支援活動を行っています。

 「深江地区まちづくりニュース」は、 震災前から活動していた協議会が、 震災後に第10号として発行したもので、 震災後のまちづくりに向けた行政の制度の紹介等を掲載しています。

 「街づくりニュース-美しい街岡本協議会」は、 上記と同じく震災前から活動していた協議会が、 震災後に第25号、 26号として発行したもので、 CGF(クリーン、グリーン、フラワー)作戦の取り組みや、 震災後開催した定期総会の報告を行っています。

 「味泥復興計画」は、 震災後5号目の発行で、 4ヶ月目の地区の状況や共同建替えの取り組み状況及び震災後半年間の経過を報告しています。

 なお、 市街地再開発事業地区や土地区画整理事業地区では、 まちづくり協議会が最近結成されつつあるという状況で、 地元発行のまちづくりに関するニュースはまだ事務局では入手していません。

神戸市中央市街地

 「中四復興新聞」は、 震災後に街ぐるみで再開発に取り組んでいる中央区中山手4丁目地区のニュースで、 地元組織をつくり、 再開発に向けた勉強会や現地視察等を行っています。

 その他、 神戸の代表的な観光地でもある北野山本地区では、 震災で被害を受けた民間所有の異人館の修理活用のための募金活動などを展開しています。

 なお、 中央市街地は、 神戸の商業・業務中心である三宮地区や元町地区、 近代洋風建築が立ち並ぶ旧居留地などを抱える神戸の顔ともいうべきエリアですが、 居住者が少ないこともあって市民レベルでのまちづくりの動きは今のところ低調です。

神戸市西部市街地

 「復興」は、 新開地周辺地区まちづくり協議会が発行しているもので現在まで4号を数えます。 震災前から商業活性化及び再開発に取り組んできており、 引き続き共同化等の取り組みが活発化しています。

 「松本地区まちづくり協議会ニュース」は、 震災で火災にあい土地区画整理事業に指定された地区で、 まちづくり協議会の発会式の様子や、 住民自らまちづくりに取り組む重要性を呼びかけています。

 「浜山まちづくり子どもニュース」は、 震災前から土地区画整理事業に取り組んでいる浜山地区で、 震災後地元のまちづくり相談所に地域の子ども達が遊びに来たのをきっかけに、 小学校とも協力しながら子ども達がまちづくりを勉強している状況を知らせています。

 「神戸湊川町1〜4丁目まちづくりニュース」は、 重点復興地域外のエリアである湊川町地区が、 まちづくり協議会を立ち上げ、 街区ぐるみで共同化のまちづくりを推進している取り組み状況を報告しています。

 「ひまわり」は、 第4号から新たに名前が付いた大道周辺地区の新聞で、 共同化に向けた具体的な取り組み状況や、 大きな火災跡に建てられたまちづくり相談所の周りなどに蒔いたひまわりの開花状況などを知らせています。

 「真野っこガンバレ〓」は、 発刊以来毎週発行している真野地区のニュースで、 7月末で22号が発行されています。 真野地区は、 住民主体のまちづくりで全国的に有名で、 全国からの支援の様子や身近な真野地区の出来事を精力的に掲載しています。

 「Weekly Needs(ダイジェスト版)」は、 「すたあと」というボランティア団体が毎週発行しているもので、 長田区全戸に新聞折り込みとして配布されています(本紙はB4、 3〜4枚もの)。 身近な生活情報から車椅子ガイドなどユニークかつ住民に役に立つ情報の提供を行っています。

 「みすが通信」は、 大学の教官である森栗氏の個人通信ですが、 御菅地区の復興まちづくりを都市計画の専門家とともにとりまとめている様子を精力的に伝えています。

 「長田東部まちづくりニュース―希望」は、 重点復興地域に指定されている長田東部地区で、 まちづくり協議会結成やアンケート調査結果、 まちづくりの基本方針等について知らせています。

 「細田町4・5丁目まちづくり」、 「水四まちづくりニュース」、 「水5まちづくりニュース」、 「御屋敷通6丁目まちづくりニュース」、 「千歳町4丁目まちづくり協議会」は、 震災後土地区画整理事業区域に指定された新長田駅周辺地区で、 街区ごとに結成されたまちづくり協議会の状況と取り組み方針について知らせています。

 「野田北部まちづくりニュース」は、 2月から発行されていましたが入手がvol. 1の締め切りに間に合わず今回1〜12号まで掲載しています。 土地区画整理事業に指定された地区東半分の取り組み状況や、 住宅再建の情報等について掲載しています。 「長田区野田北部復興フロンティア-まちつくり通信」は、 同じ地区で早稲田大学のボランティアグループが発行しているまちづくりニュースで、 被災地と外部とをつなぐメディアともなっています。

 「鉄腕ATOM」は、 重点復興地域以外のエリアで、 震災後地元建築士が中心となりまちづくり協議会を立ち上げ、 学生ボランティアの援助も得ながら活動している様子を伝えています。

●行政ニュース

 「震災復興まちづくりニュース」は、 神戸市都市計画局及び住宅局がその時々の都市計画に関する事柄や住宅再建に関する行政情報を提供しています。 新聞折り込みその他の方法で神戸市全域に配布されています。

 「六甲道駅南地区まちづくりニュース」は、 JR六甲道駅南の市街地再開発事業地区の情報を伝えています。

 「震災復興土地区画整理事業によるまちづくり」は、 土地区画整理事業区域内の住民に神戸市が配布しているニュースで、 1〜2ヶ月に1回のペースで発行されています。

 「復興ニュース」は、 6月末に策定された神戸市復興計画についてのダイジェストを掲載しています。

 「富島震災復興ニュース」は、 vol. 1に掲載した「ほくだん地震災害広報」に引き続き新たに発行されたもので、 土地区画整理事業区域に指定された富島地区についての行政情報を掲載しています。


 このほか、 芦屋市、 西宮市、 宝塚市など、 都市計画事業が行われている各市のニュースについては、 事務局ではまだ入手していません。


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