建築トラブルにみる常識非常識


書 評
『建築技術』((株)建築技術)2004. 12
  欠陥住宅や悪徳業者の手抜き工事がマスコミで報道され、建築に対する一般ユーザーの眼が厳しくなっている。この背景には、ユーザーの建築に対する知識不足による誤解(=非常識)と互いのコミュニケーション不足による不信感がある。例えば、コンクリートのひび割れなどの不具合が見つかったとき、ユーザーに説明することなく、補修してしまうことはないだろうか。
  本書は、ひび割れや左官工事、基礎と地盤、施工精度、木の性質などについて、実例を用いながら建築の実情(=常識)を解説している。トラブルが起こったときに、補修工事を行えば問題ないことをユーザーが納得するように説明できる知識が得られる。また、ユーザーとの信頼関係を構築するためのコミュニケーション方法も伝授している。

『新建築』((株)新建築社)2004. 12
  近年、欠陥建築に関する問題がマスコミ等で多く取り上げられ、一般の人びとの大きな関心を集めている。しかしその被害が生々しく取り上げられるあまり、不具合に対し過敏に反応する人が増えている。これについてゼネコンの技術部長を務めた著者は、建築関係者と消費者との相互不信が原因であるとし、コンクリートのひび割れ、左官や木材、また施工技術全般についての基礎知識を事例ごとに解説している。一般の読者にも読める丁寧な内容で、建主に建築の実態を説明する際にも役立つであろう。

(L)

『防水ジャーナル』((有)新樹社)2004. 11
  建築業界で当たり前になっていることでも、一般消費者にしてみたら当たり前ではなかったことからトラブルが発生することが多々ある。本書では、一般消費者の建築を見る目が厳しくなっており、中には行き過ぎて過敏になっている面もあるのではないかと危惧している。それらの人達に正しい知識を与えてくれるのが本書である。また、建築をよく知っている人にとっては、知らない人に説明する時に役立つ1冊である。
  内容は「コンクリートはなぜひび割れるのか」、「左官は職人の技術」、「施工技術は意外にローテク」など全7章から構成されており各章分かりやすく解説されている。