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新版 建築基準法を読みこなすコツ




はじめに



 国の経済活動の大きさを示す指標としてGNP(国民総生産)が用いられますが、わが国では、それが400兆円にも達しようとしています。そのGNPのうち、建築生産活動によるものが10%を超えていますから、年間に40兆円を超える建築投資が行われていることになります。
 これ程の大きな経済活動である建築投資のコントロールを行っているのが、「建築基準法」です。そこで、建築基準法の果す役割は非常に大きいものであると言って良いでしょう。
 ところで、この建築基準法は、例えば耐震設計法のような技術的内容の規定が多いために、どちらかというと建築技術者を中心にその運用が行われています。一方、建築技術者は、建築技術というテクニカルの面では強いのですが、どうも法令上の実務という面には弱い傾向があります。しかし、建築技術者も、法令に従って建築活動を行っているわけですから、何としても、建築基準法を上手に読みこなして、それを建築実務に役立たせて欲しいのです。
 さて、私は現在、ある大学で建築学科の学生に建築法規を教えていますが、技術系の学生に法律の実務を教えることは、なかなかむつかしいものだと感じています。そこで、技術系の人にも、何か法令を読みこなすコツのようなものはなかろうか、と考えて本書を執筆してみた次第です。
 しかしながら、なかなか法令を読みこなすことは、そう簡単ではありません。そこで、本書の内容もタイトルのように、とても「読みこなす」ところまでは至らなかったのではなかろうか、と反省しています。せいぜいが「読むコツ」程度ではなかったかと思っています。
 そのような訳で、本書は格調高い学術書ではありません。どちらかというと実用書の一種でしょう。そこで実用書として親しんでいただけるように、文章もできるだけわかりやすい表現にして、できれば、講義でも聞くようにして読んでもらえるようにと努めてみました。
 本書が、建築技術者の方にとって、建築法規に親しむキッカケとでもなれば、幸せです。
  平成2年3月
 新版の発行にあたっては、平成4年の建築基準法の改正に準拠させるため、全体を組替え、最新の内容に改訂しました。
  平成5年5月
高木 任之



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