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建築設計と高齢者・身障者




まえがき



 私どものグループが心をこめて書いた”健康環境システム研究会編”の2冊の姉妹書(「身障者を考えた建設設計」「身障者を考えた建築のディティール」)が店頭を飾って6年になる。
 また、建設省の通達や指導書の作成に参加した私どもが、全国を公演してから5年。
 日本中の福祉モデル都市や推進都市では人目でわかる身障者を配慮した設計に随所でお目にかかる今日である。
 しかしなお、私の卓上電話は鳴りひびき、様々のコンサルトや矛盾の解決を求めてやまない。
 私はコンサルタントではない。一企業のサラリーマンだから、こちらに電話をかけてこられる方は迷惑を承知で苦慮したあげく、それでも困りはててのことであろう。
 伺ってみると、なるほどすっかり感心してしまうような矛盾や困難が発見され、私はいつも勉強してしまう。
 それだけではない。私の机のすぐ脇でひいて上がってくる図面を見ても、全くこんなつもりじゃなかったのに、という身障者配慮の設計図が清書されてくる。私が手をとって指導してもこんなことになってしまうのだ、とすっかり反省してしまう。
 そうしたいくつかの例をを日々メモしていた中から数編を文章化してここにまとめてみた。ここに載せたのは、氷山のほんの一角である。文章化しにくいものが沢山あるが、それはまた機会を捜したいと思っている。
 私どもの設計業務はともかく現実に今建築を設計しなければならない。そしてそれがせっかく配慮したつもりでも何ら的(まと)を得ていないとしたなら、それこそもったいない限りである。この本では問題提起ではなく、私に直に聞きに来た人に私がいつも語りかけている手近な解決のコツを書いてみた。
 私も勉強の身であるから、皆様方とこうして語ることでさらに自分が発見していくことも多かろうと思うと、すっかりのってしまってこの原稿をまとめてしまったのある。
 この機会を与えて下さった多くの人々に感謝をしながら、なお一層の反響を乞う次第である。

 終わりに、私が執筆する机の端に来てチョコッとカットを書いてくれた娘、吉田舞にささやかな感謝を捧げたい。
1982年10月    −国際障害者年卦経過、第一年目に−
吉田あこ



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あとがき
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