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建築金物の知識




あとがき



 本書を参考にしていかに適格な金物を選択されたとしても、取付ける位置が適切でないと、その機能が十分に発揮されない結果となる。たとえば、フロアーからの錠の位置ねそしてドアハンドルの取付位置、またサインプレートなどの取付け高さが重要な事項となる。さらに、身障者の人々にとっての取り扱いが可能な位置をも考慮に入れた金物の取付施工が必要となる。これらのことを本書において、またメーカー各社のカタログにもはっきりと明記されたものもあるが、今後の課題として、金物についても、施工を含めた取付位置を明確に具体的に表示する親切さが、そのものの機能をさらに向上させ、より以上の役目を果たすものと思われる。
 このような機能面での新しい金物のとらえ方の一方、金物を単一の物としてとらえるのではなく、あらゆる意味において“多次元”でとらえなくては、せっかく選んだ金物を十分に生かして使用することはできない。すなわち一個の錠や、一対の蝶番がそれぞれなくてはならない使命を果たし、建物の重要なポイントを握っている。それは一枚の板がドアとなるための機能を与え、さらに耐久力を維持するのであるが、そこにもう一つの使命をも兼ね備えていることも忘れてはならない。それは建物全体とのデザイン的な調和をはかるという役目であり、建物とドア、ドアと金物といった関係のものが、デザイン的にも色彩的にも、そして建物の用途との関連においても調和がとれているか、といった観点から多次元でとらえることがその金物の存在価値をさらに高めることになる。
 本書では建築金物の中でも建具金物を中心にとりあげた関係で、これに終始した感があり、分類上からは必ずしも適格でない内容であったり、また省略した部分などもある。したがって多少疑問視される点もあるが、これまでの経験によって得た知識と、可能な限り集められた資料をもとに最大限に網羅したつもりである。この度の執筆を通じて、今までに気付かなかった点や見落としていた事などの認識を新にした。今後はこれらを私に与えられた課題とし、今後一層の努力研鑚を重ね、責任を果たしていきたいと考えている。
 末筆ながら、資料提供に御協力を願ったメーカー各社に厚くお礼を申し上げる。そして本書が関連業界の発展に、また社会のお役に立つことを念願する。


もくじ
まえがき
著者略歴



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