オープンカフェ/朝市/屋台/イベント
まち中に多くの人が集い、様々な催し物が行われ賑わう姿は、魅力ある都市景観の大きな要素です。我が国には祭りや花見、朝市など、様々な形で道路や広場などの公共空間を利用してまちを楽しみ、まちに賑わいをつくってきた文化的、歴史的伝統があります。
これらまち中の公共空間を利用した活動を通して賑わいをつくり出し、快適で楽しいまちづくりを進めていくことが、中心市街地や地域の再生を実現し、まちの魅力を高めていく上でますます重要になってきています。
我が国では、公共空間の利用については、交通混雑の防止、管理責任問題、食品衛生上の危惧等から多くの制約が設けられており、諸外国のオープンカフェ等に代表される公共空間の利用実態と比較すると不十分な状況にあると言えますが、最近では都市再生や規制緩和の流れの中で行政の理解も進んできており、各地で社会実験という形ではあるにしろ、公共空間の賑わい利用を模索する試みも増えてきています。今後こういった取り組みをより幅広く推し進め、各地で恒常的に行えるようにしていくことが重要です。
しかし、実際に取り組もうとすると行政上の各種調整をはじめ、組織、財源、ノウハウ等、多くの課題があり、簡単には実施できない現状です。ではいかにしてこれらの課題を克服するか。
本書は、(財)都市づくりパブリックデザインセンターが設置した「都市における公共空間の賑わい利用研究会」(平成14年度〜16年度)における研究成果をもとに、新たに全国の代表的事例等を加えたものであり、諸外国における公共空間利用の実態と制度等の把握を踏まえて、我が国の公共空間における賑わい利用の意義、方法、課題等を総括し、あわせて多くの事例によって様々な利用の仕方や工夫を紹介したものです。
今後公共空間の活用によりまちに賑わいを取り戻すガイドとして、地方公共団体や住民の関わり方、法制度の仕組みと実務レベルでの運用のあり方等について生の声を盛り込み、幅広い見地から解説を加え、公共空間の活用のために現行制度でも実現可能な方法を示すとともに、将来に向けた課題についても検討しており、まちの賑わい創出について今後の展望を示すとともに、色々な取り組みの実施にあたって大いに参考になるものと考えています。
本書がまちの賑わい創出に取り組んでおられる自治体、NPO、市民団体等の幅広い皆様にご活用いただければ幸いです。
最後に、論文執筆にご協力いただいた研究会メンバーの皆様、事例紹介にご協力いただいた多くの関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
(財)都市づくりパブリックデザインセンター
泰久
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