『日本経済新聞』1999年8月17日、夕刊
日本庭園を、池や遣水(やりみず)、石組みといった構成要素ごとに歴史を追い、成立の背景を探っている。たとえば、室町時代の枯山水の庭を象徴する石組みは、縄文時代の遺構にも原型がうかがえ、江戸時代には富士山を見立てた築山に発展していったという。庭の鑑賞方法に、新しい視点をもたらしてくれる。
『學鐙』Vol.96 No.9
泉からあふれた水が流れとなって園地に注ぐという「遣水」は平安時代の重要な庭園構成要素である。日本最古の造園書『作庭記』には、水が無い所での作り泉や「遣水」の技法は単なる自然模倣ではなく、河川の風景の特徴を取り入れる事が大事だと書かれている。本書は「園地と風景」「流れと風景」「築山と風景」「庭園植栽と風景」「借景と縮景」「立地条件と風景」の6章から成り、古絵図や文献資料をもとに庭園の歴史や特質を風景との関わりから考察。