聴く!技術士総合技術監理部門のツボ


はじめに


 あなたも知っているように、技術士総合技術監理部門の受験者のほとんどは、各技術部門における百戦錬磨の“技術士”である。
 これまでに長い業務経験を重ね、専門分野の筆記試験を通過し、それらの実務経験を体験論文としてまとめ上げ、そして口頭試験という修羅場もくぐり抜けてきている、そんな優れた技術者達なのである。
 しかし……毎年、7〜8割程度の受験者が筆記試験で、そして筆記合格者のうち1割程度が口頭試験で不合格の憂き目に遭っているのが実態だ。
 技術者として高い評価を得ている優秀な技術士達が、ことこの総合技術監理部門においては、筆記試験で大量に振り落とされ、さらに口頭試験でも振り落とされて、“総監技術士”の称号を手に入れるチャンスを逃しているのである。
 少なくとも一度は技術士試験のプロセスで成功体験を収めているだけではなく、責任技術者として数多くの重要な業務を鋭意こなしてきている、そんな立派な技術士達なのに……である。
 そんな、総監試験に、本書の執筆者である私は、一発で合格を果たした。
 年齢は38歳、試験申し込み時の技術業務の経験年数は受験資格ギリギリの7年での合格だった。
 といっても、特別に優れた技能を持っているわけではない。むしろ、技術者としては、経験の少なさも含め、実力不足を痛感することも多い。
 既刊『聴く!技術士二次試験論文のツボ』(学芸出版社刊)でも書いたように、あまりに続くミスに堪忍袋の切れた顧客から会社にクレームを挙げられたことすらある。正直に白状すると、もう、どこにも逃げ場がなく、苦しくて苦しくて、死んでしまいたいとさえ思ったことすらある。
 しかし、そんな挫折続きのダメ技術者である私が、ある学習方法を実践することによって、技術士の最上級資格とも言うべき総合技術監理部門に一発で合格してしまったのだ。しかも、それは相当な自信をもった中での合格だった。
 その理由は……やはり技術士試験には、技術者としての実力とは別の“ツボ”のようなものがある、としか言いようがない。
 そのツボとは、“総監の本質”や“青本の学習ノウハウ”“記述式問題の答案作成ノウハウ”など、抽象的なものから具体的なものまで多岐に渡る。
 だが、いずれも総合技術監理部門の一発合格を果たすうえで極めて重要なツボであると、私は考えている。
 私は本書で、あなたにその“総監一発合格のツボ”をお伝えしたい。

 ……もっとも、私はこれからあなたに情報を提供するに過ぎない。
 提供された情報を活用するかどうかは、あなた自身が自分に責任を持って判断すべきことだ。
 本書の内容を100%理解しなければ合格しないというわけではないし、これ以上の方法がもしかしたらあるのかもしれない。
 ただ、本書の読後、あなたの答案作成方法や意識、思考、価値観に何らかの変化が少しでも生じれば、それで十分に意義深いと私は考える。
 なぜなら、あなたの変化は、あなたの進化に他ならないからである。

 わが国における科学技術の流れは、新規開発・整備の時代を終え、サステナビリティ確保の時代へと移行しつつある。
 このような時代の流れの中、あなたが我々の先輩技術者と同じような人生の道のり、技術者としての成長の道を盲目的に歩んで行くことは、必ずしも正しく、安定した道とは言えない。
 言い換えると、あなたがこれから歩む道は、これまでの先輩が歩んできた道とはおのずから方向とテンポが異なっていなければならないのだ。しかも、その道とテンポは、あなた自身が選び、考え出すしかない。
 では、あなたは新しい時代に、どう変わり、どう行動するべきなのか。
 実は、そのヒントが、この総監受験学習の中できっとあなたに訪れる。
 なぜなら、総合技術監理部門とは、視野を広げ、自立を促すという点で、あなたにとってきわめて有意義な資格だからだ。
 それでは早速、総監技術士一発合格の第一歩を、あなたも踏み出そう。