100%再生可能へ!
ドイツの市民エネルギー企業

おわりに


 エネルギーヴェンデという世紀の一大事業は現在進行形の物語である。それを取り巻く状況は、政治的にも、社会や市場、技術の面においても、日々刻々と発展、変化している。そのようななか、この本では2013年後半〜2014年初頭におけるドイツの分散型エネルギーヴェンデの様子を紹介した。

 取材においては、各地の第一線で再生可能エネルギー事業に取り組むパイオニアの方々に多大なご協力をいただいた。日本の読者と分散型エネルギーヴェンデのために、自らの経験を惜しみなく語って下さった皆様に、著者一同より心からお礼申し上げたい。なかでも、経営コンサルタントのトアステン・シュヴァルツさんには、組合と自治体公社のエキスパートとして貴重なアドバイスをいただいた。

 また前著に続き、3人の原稿を巧みに整理し、本の実現に尽力下さった学芸出版社の宮本裕美さん、そして魅力的な表紙をデザインして下さった吉村雄大さん、どうもありがとうございました。

 ドイツでは、分散型エネルギーヴェンデを阻止しようとするエネルギー大手や非再生可能エネルギーのロビー団体による政治的巻き返しが激しくなってきている。自治体や市民たちが築き始めた、エネルギーとお金が循環する社会ヴィジョンへの道は、広域で見れば、まだ長く、険しい。ドイツの市民社会が数々の課題をどのように乗り越えて、エネルギーヴェンデを前進させていくのか、今後も私たちは現地にて見届けたいと思っている。

 最後に、日本政府が原発再稼働に邁進するなか、本書が日本の市民や企業家の方々が地域のエネルギー事業者としての一歩を踏み出すための勇気を与える書となることを願っている。

2014年4月 スイス・ベルンにて
著者を代表して 滝川薫