パークマネジメント
地域で活かされる公園づくり

おわりに


 私たち著者の多くは(社)日本造園学会のランドスケープマネジメント研究委員会のメンバーであり、2002年度から学会の全国大会ごとに開かれた分科会でパークマネジメントのあり方について討議してきた。ランドスケープの仕事は、伝統的に言えば計画・設計、施工、管理・運営という段階を構成すると考えられているが、管理・運営の対象は公共財産に限らず、広い意味でのパブリックスペース、たとえば環境施設や地域制緑地、里山、優良農地、水辺などの地域資産などもマネジメントの対象として含めるべきであるという考え方が根底にあり、手法開発が重要な研究・実践課題になっていた。地域の自然環境の管理への取り組みも広がっていた。しかし、討議をスタートするにあたり、その具体的検討の対象として最も共用性の高い公園を中心に取り上げ、とりあえずパークマネジメントから進めようということになった。

 最初は“パークマネジメントの理論的構築を目指して”と題したやや硬い議論からスタートしたが、当時は“公園の管理・運営”から発展して、地域の環境管理をも含めた公共空間のマネジメントのあり方の検討を志向していた。行政に対する参画や協働という言葉も定着し、環境管理やまちづくりの市民運動も広範に展開されており、公共施設の指定管理者制度の導入が始まるという社会的情勢も手伝って、きちんとした理論を構築しておこうという狙いがあった。

 造園学会での議論では、わが国独自の公園管理の硬さをいかにして解きほぐしてゆくかということの検討を積み重ねてゆくことが先決で、討議の中からパークマネジメントの論理が見えてくるのではないかという態度が共有されたように思う。そして、その成果を多くの人に知ってもらいたいというのが共通の期待でもあった。そうした背景から、本書を刊行する運びになった。

 本書の出版にあたって、ご参加いただいた執筆者の皆さん、またご尽力いただいたすべての関係者に深く感謝申し上げます。

  2011年8月
編著者一同