観光まちづくりのエンジニアリング
観光振興と環境保全の両立

あとがき


 本書は建設コンサルタントの3社で構成された国土総合研究機構の「観光まちづくり研究会」のメンバー(主に土木系の技術者)が中心となって、近年多く見られる観光まちづくりを持続可能なものとするために必要なエンジニアリングの技術をまとめたものです。

 本書の中で私たちは、持続可能な観光まちづくりのためには観光振興が“環境容量”を超えない配慮が必要であることを強調するとともに、観光まちづくりの目的は旅行者が増えることではなく、観光振興をすることで、地域の住民の暮らしや産業が豊かにならなくては意味がないことを指摘しています。そして、観光振興が地域の環境を破壊するのではなく、保全し、より良いものとするために必要な技術的な知識を、入門編という位置づけで整理しています。

 観光まちづくり関係者の中でも、これまで技術的な知識を持ちあわせなかった方々に是非本書を読んでいただき、本書に示した技術的な知識を今後の観光まちづくりに活かしていただければ幸いです。

 出版に際し、観光まちづくり研究会の活動をずっとご指導いただき、本書の監修をしていただいた立教大学観光学部の安島博幸教授に深く感謝いたします。そして、学芸出版社編集部の宮本裕美さんには、遅筆な私たちに温かくご指導と助言をいただきましたこと、心よりお礼申し上げます。

観光まちづくり研究会座長  上田裕之 


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 国土総合研究機構は、以下を目的に、株式会社建設技術研究所、日本工営株式会社、パシフィックコンサルタンツ株式会社の3社によって、2000年12月に設立された組織です。
 ・社会資本のあり方ならびに良質な社会資本形成に向けた技術面の共同研究
 ・建設コンサルタントの新たな市場開拓と社会的地位の向上に関する提言
 ・構成企業および建設コンサルタントの経営基盤の強化
 現在、同機構には、七つの研究会(「次世代ビジネス研究会」「インフラストラクチャーマネジメント研究会」「教育研修研究会」「LCDM(Life Cycle Data Management)研究会」「観光まちづくり研究会」「電子納品実務研究会」「デザインビルト研究会」)を設けて活動を行っています。
 観光まちづくり研究会は2005年6月に設立された組織で、第9章で紹介した「日本で最も美しい村」連合の活動支援などの具体的な地域づくりのお手伝いとともに、2008年からさまざまなテーマのセミナーを実施しています。
 今後も定期的に開催予定です。外部からの参加も歓迎ですので、ご興味のある方はhttp://www.kanko-machiken.jp/までアクセスして下さい。