社宅街 企業が育んだ住宅地


目次

第T部 近代の企業開発住宅地─社宅街

1章 企業が育み、企業とともに成長する街

1 「社宅」および「社宅街」とその変遷
2 『職工問題資料』から見た社宅の先進性
3 社宅街の類型化
4 社宅の暮らしを支えたもの

2章 社宅を読み解く視点

1 鉱業の社宅
2 紡績業の寄宿舎
3 工業の社宅
4 海外の社宅

第U部 社宅街の誕生と展開

1章 苫小牧/カンパニータウン

1 王子製紙の北海道進出とその背景
2 「企業城下町」苫小牧の形成
3 社宅街の変遷
4 社宅
5 社宅街開発による都市生活の享受
6 単一企業都市・苫小牧の現在

2章 鴻之舞/消えた東洋一の金山

1 住友による金山の開発
2 社宅街のうつりかわり
3 人々の暮らしと住友による庇護

3章 釜石/近代製鉄発祥の地

1 社宅開発と更新・分譲
2 社宅の配置
3 社宅の平面構成と変遷
4 釜石製鐡所社宅街の福利施設
5 社宅と釜石市の現在

4章 小坂/記憶をつなぐ鉱山町

1 近代秋田の鉱山事情と小坂鉱山
2 鉱山町小坂の原型とその空間構成
3 鉱山「都市」小坂の形成
4 記憶をつなぐ鉱山町―鉱山町小坂の現在

5章 日立/鉱山町から工業都市へ

1 日立鉱山の社宅街
2 日立製作所の社宅街
3 日立の産業遺産

6章 生野・神子畑・明延/鉱石の道がつなぐ三鉱山

1 近代生野鉱山の広がりと変遷
2 旧銀山町に混じり込む近代の社宅街
3 支山の開発と飛び地的社宅街の建設
4 三鉱山の社宅街の構成

7章 倉敷/大原孫三郎の労働理想主義と寄宿舎の改良

1 倉紡の設立と初期の寄宿舎
2 分散式家族的寄宿舎と御崎社宅の建設
3 万寿工場の新設と田園都市風社宅
4 分散式寄宿舎への回帰
5 職員社宅の建設
6 大原孫三郎の「労働理想主義」と福利施設
7 郊外開発と道路計画
8 企業家の限界と集合式寄宿舎への集約

8章 新居浜/社宅街という生活文化の遺産

1 「文化財」としての社宅街―新居浜の住友山田社宅
2 別子銅山の始まりと展開
3 谷間斜面に建つ東平の社宅街
4 島を埋め尽くす四阪島の社宅街
5 なだらかな傾斜地の新居浜・山田社宅
6 長年の企業活動が空間化した遺産としての社宅街

9章 串木野/「伝統」対「革新」、「島津家」対「三井財閥」

1 薩摩の金山―山ヶ野と芹ヶ野
2 島津家鉱業館と役宅群
3 三井鉱山による再編と社宅群
4 生き続ける鉱山と社宅街

10章 樺太/「内国植民地」の社宅施策

1 施設の構成と配置
2 社宅とその変容
3 僻地での生活を支えた施設
4 樺太における製紙業社宅街の位置づけと足跡

11章 台湾・金瓜石/植民地統治下の社宅

1 金瓜石鉱山を巡る経営者の変遷と増加する鉱夫
2 斜面に展開する社宅街 
3 社宅街の生活を支えるさまざまな施設
4 「光復」後の社宅街
5 「黄金博物園区」になった金瓜石鉱山

12章 南洋群島/熱帯気候下の社宅

1 南洋群島を支えた製糖コンツェルン―南洋興発
2 常夏の楽園サイパンの一大RC造社宅街
3 熱帯気候下の社宅と生活

第V部 社宅が語る近代日本の住文化

1 実習報文が映し出す生きられた住宅街
2 社宅が作り出した先進の街
3 「博愛主義」の前提にあった共同体意識
 
 
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